骨酒を気軽に楽しもう!骨酒の作り方のコツから魚に合う日本酒まで!

旅行先や料亭で骨酒を口にして、その美味しさの虜になった人も多いでしょう。贅沢な嗜み方と思われがちなところもありますが、実は家で簡単に作れてしまいます。骨酒の作り方、魚の種類ごどの味わいなどを紹介します。

この記事をかいた人

釣りにキャンプや登山までアウトドア大好きライターです。 最近狩猟免許を取得しました。
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骨酒ってどんなもの?

どことなく敷居の高さや気取ったイメージを抱く人もいるでしょう。しかし元を辿ると渓流釣りを趣味とする人が川辺で始めた豪快な嗜みでもあります。作り方はいたって簡単で大胆に言うと日本酒と魚さえ揃えれば作ることができてしまいます。

骨酒は日本独特の飲み方

世界中を見てもなかなか例がありません。古くから魚食文化とコメから作られる酒が浸透する環境で、それらの文化が自然に交わり誕生した稀有な嗜好品といえます。文化的な価値も非常に高い日本独自のスタイルです。

骨酒で使うお酒と魚に決まりはない

これといった決まりはなく極めて自由です。どんな魚と酒でも作ることができます。季節や好み、その時の気分で選ぶことができます。限りない組み合わせでもそれぞれに特徴的な味わいがあり人々を魅了し続けています。

骨酒は簡単に作れる

目が飛び出るくらい容易に作れます。いつもよりも焦がしたくらいの魚と燗酒を用意しましょう。そこに魚を浸し、しばらく蒸らせば完成となります。立ち上る芳醇な香りと味に気持ちが満たされます。

骨酒のここが魅力!

外食した時に初めて口にして感動し自宅でも試してみたという人が結構います。では、これほどまでに虜にする魅力は一体どこにあるのでしょうか。強く惹きつけるそのわけについて解説していきます。

骨酒は酒が美味しくなる

素材の出汁が浸透することで香りに豊かさがでます。また時間の経過とともに味に変化も表れます。最初は焦げの部分から出る香ばしさを、そして徐々に材料の個性が出てきます。一杯一杯で違った印象を与えてくれます。

骨酒は魚も美味しくなる

酒が染み入ることでふんわりとした柔らかい食感の身になります。これを別皿に添えた醤油や塩などの調味料で味付けすれば最高のつまみになるので、ついつい呑みすぎてしまいそうになるほどです。

骨酒は風情を楽しめる

趣のある飲食店のメニューにある訳は単に旨いだけではなく場の雰囲気をより一層飾り立てる風情が備わっているからです。その画には色気や優美さが宿っています。専用の酒器もあり、これによってさらに情緒のある大人な時間を過ごすことができます。

骨酒の作り方とコツは?

きわめて簡単にできてしまう、それゆえに基本を押さえないと口に含んだ瞬間、魚の生臭さが広がる結果につながります。基本的なレシピと共に特に重要なコツを5つ取り上げました。参考にしてみてください。

骨酒の基本の作り方

ご覧の通り工程だけを書くと至ってシンプルなものです。丸々鮮魚を使う場合は内臓処理をしたのちに火入れします。干物を使ってもかまいません。徳利の中が黄金色になった頃が飲み頃のサインです。

  1. 魚をよく焼きます。塩気は香りや味に悪影響があるので極力控えます。
  2. 燗酒を作ります。
  3. 魚を浸します。液体が黄金色になり始めたら飲み頃です。

作り方のポイント①干そう

生臭さを防ぐため焼く前に風通しの良い直射日光の当たらない場所で陰干しします。材料のサイズに左右されますが干す期間は半日から長くても1週間程度です。冬のような気温が低く乾燥した日は絶好のコンディションです。

作り方のポイント②しっかり焼こう

臭みの原因は焼き加減です。特に干してないものを焼く際は『しっかり焼く』ということを意識します。隅々まで火を通してあげることで生魚が持つ嫌な匂いを断つことができるのです。表面が黒く焦げつくくらいグリルします。

作り方のポイント③温度に気をつけよう

燗酒といっても約30度の日向燗や約50度の熱燗などいろいろあるのですが熱めの80度前後がベストです。ぬる過ぎると不愉快な匂いの原因となり、出汁も出にくくなります。好みの温度があると思いますが、初めての人は80度を目安にして作ってみてください。

作り方のポイント④温め直しはNG

冷めたものを再び温めると生臭さを生じます。熱いのが欲しい場合はなるべく飲みきるか、残りを捨ててから新しいものを注ぐようにしてください。大きさによっては2〜3回はしっかりとダシが出ます。

作り方のポイント⑤蒸らしの時間

飲み頃になるまでの間ラップを使って蒸らします。風味が出やすくなるほか液体が濁りにくなる効果が期待できるからです。蓋を取った時に立ち上がる豊かな香りは何にも代え難い至福の時をもたらします。

骨酒の種類①王道はこれ!

さきほどのポイントさえ把握しておけば材料はなんでもいいのですが、ここではその中でも王道と言われるものを中心に特徴をまとめてみました。初挑戦の人は一先ずオーソドックスなものでチャレンジしてみましょう。

イワナの骨酒

内臓以外は余すことなく利用できます。仕上がりやすさを考慮し小ぶりのものを選びます。釣った直後に焚き火を囲んでいただくなんてのもアウトドア好きには人気です。渓流好きな方は一緒にこちらもどうぞ。

鮎の骨酒

鮎の腹わたを捨てるのはもったいないという人はまずは塩焼きにして身と腹わたはつまみとして食べ、余った中骨などの部位を骨酒にするといいでしょう。養殖ものよりも天然ものはいいことは言うまでもありません。芳しさの点で差が出ます。

フグヒレの骨酒

フグのダシが染み入り上品な口当たりになります。既に焼いてあるものも売られていますが、それでも一度炙ると香ばしさがアップします。トースターを使っても構いません。ヒレ入りのワンカップも売られています。

鯛の骨酒

濃厚な旨味が出る鯛は存在感たっぷりです。頭はスーパーでも安く売られているので容易に手に入れることができます。余裕があればは半日から3日ほど陰干しましょう。特に頭部は大きいのでこうするとで匂いの解消に繋がります。

骨酒の種類③身近な魚でも!

ごく当たり前にスーパーや魚屋に売っているものでも十分おいしくなります。食べ慣れているとしてもいつもの調理法では体験できない味を経験できます。季節に沿って選ぶことも可能です。いろいろ試してみてください。

サンマの骨酒

塩焼きにして食べたあとに残った部分を使います。付着した身は匂いの元になるので完全に落とします。そのままでは長いので半分に切りトースターへ2分ほど入れたら完了です。ひと味違ったサンマの味が口に広がります。

ししゃもの骨酒

ししゃもの卵は水分量が多く焼き加減が難しいので、子持ちではないものを使いましょう。できれば大きいサイズをそのまま使うと出汁が出やすくなります。丸みのある優しい味わい、ふっくらした白身が絶品です。

ハゼの骨酒

東北地方では干したハゼを使って椀物が作られるほど美味しさには定評があります。保存に適しているのでたくさん釣った時などぜひ挑戦してみてください。上品で芯のあるしっかりした味を楽しめます。

カジカの骨酒

小ぶりなサイズでもしっかりとした味が出ます。じっくりと表面がカリカリになるくらいに焼いて使いましょう。川魚の中では特に人気があります。専用に真空パックした焼き干しも売られています。

骨酒の種類③変わりダネ!

他の海の幸でも大丈夫です。「素材と日本酒の個性を楽しむ」ことが醍醐味なので、要するに風味が出るなら魚以外でもなんの問題もありません。例えばこんな素材はどうでしょう。意外性はありますが味は確かです。

スルメの骨酒

つまみとして右に出るものはないといえるほど多くの人に愛されています。軽く焦げが付く程度に焼いて浸すとみるみると酒の色が赤っぽく変化します。濃い出汁と元から含んでいる塩気も相成ってパンチのある味に仕上がります。七味を振ると味にメリハリも出ます。

カニの甲羅の骨酒

正式にはカニの甲羅酒のことを指します。甲羅に入れたお酒を味わうものですが、よくカニ味噌も溶いて飲むものと勘違いされがちです。楽しみ方は千差万別、こうする人も中にはいますが正しくは炙ってカラカラに水分を飛ばした甲羅に注いだ酒を楽しむ作法です。

骨酒に合う日本酒は?

どれを使ってもいいと言われても星の数ほどある中から選ぶのは悩んでしまうところです。飲み慣れたものがあればそれでも構いません。親しみある味に新しい一面を見出せます。もしくは以下もおすすめです。悩むことがあれば参考にしてください。

手頃な安い酒

大衆的なものとの相性が抜群にいいので高価なものは避けましょう。上等品はそれ自体に個性があるので風味がぶつかり合ってしまい、ぼやけた味になってしまいます。ワンカップや紙パックの酒で十分です。

辛口の酒

好みもありますがキレのいい辛口がおすすめです。温めることによって本来の風味や甘みが強く出てしまう傾向があります。よって甘口だと余計に香り高く、飲み込んだあと口の中に香味も残りやすいので味の邪魔になりがちです。

生産地が魚と同じ酒

旅先で泊まった旅館などでははその土地のものを組み合わせる場合が多く、粋な飲み方として人気があります。素材を生み出した土地に思いを馳せながらいただく一献も風情があって素敵なものです。

名産地から紐解く魚別おすすめ日本酒

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