イトウとはどんな魚?:幻の淡水魚
アングラーの中には「一度は釣ってみたい魅惑の魚」として、よく名前があがる魚です。一方、釣りをしない人でも昔話などで一度は耳にしたことはあるのではないでしょうか。
その姿は大きく迫力に満ちた姿をしていますが、個体数は極端に少なく絶滅危惧種にも指定されています。まさに釣り人のロマンともいえる幻の魚です。
イトウはサケの仲間
サケ目サケ科に属しています。一般的なサケと同じように海と川を行き来しますが、ほとんどを川で過ごしており、逆に海での生態は明らかにはなっていません。
さらに通常サケは一度の産卵で死んでしまうのに対してイトウは生涯何度でも産卵をすることができる特徴をもっています。
イトウの生態
「糸魚」と書くように大きい割に体高が低いので細長く見えます。以前は岩手や青森でも確認されましたが、現在は北海道の一部の河川や湖沼にのみ生息しています。
肉食で水辺に暮らす昆虫を食べますが時として他の魚や共食いをするなどの魚食性、さらに大きくなるとヘビやカエルなども食べる獰猛さを持ち合わせています。
イトウはどんな魚?:2mオーバーが見つかったことも!
大きい魚という印象が強い魚ですが、実際どのくらいかご存知ですか?一般的なサケは大きくても70cm〜80cmほどですがそれを簡単に上回ってしまいます。
多くの個体は優に1mを超え中には1.5mに達する巨大なものもいるほどです。ここでは大きさにまつわる話を伝説的な話も交えてご紹介します。
イトウはとても大きな魚
1937年2.1mというサイズが捕獲されるという事件が十勝川で起き「日本に生息する最大の淡水魚」という肩書きを確実なものにしました。
他にも捕獲には成功していないものの「巨大」というキーワードを伴った目撃情報が後を絶ちません。巨大魚というイメージが定着するイトウ。夢の魚として追い求める釣り人が多いのも頷けます。
イトウはクマを飲み込んだ?
北海道の先住民アイヌの言い伝えには40〜50mのイトウがクマを喉に詰まらせていたのを目撃した狩人の話が残されています。
狩人によれば然別(しかりべつ)湖を泳いでいたクマが突然溺れだしたため様子を見に船で行ってみるとクマの前脚を口から出してもがき苦しむイトウがいたそうです。
イトウはどんな魚?:唯一無二の食感と食味
魚屋やスーパーに売っているわけでもなく、飲食店でもほとんどメニューに見かけません。ともするとやっぱり気になるのは味ですが一体どんな食味がするのでしょうか。
天然物と養殖物では若干違いはあるものの、ここでは味の特徴について解説します。
イトウは川のトロと呼ばれている
サケの食感や食味とは違い、非常に淡白でコリっとした食感が特徴です。力強く泳ぐ白身魚のような印象さえあります。一方で養殖ものはそこに上質な脂ものるため「川のトロ」とも呼ばれています。
骨は意外なことに柔らかく場所によっては軟骨のような食感も楽しめます。
食べられるいとうは養殖のイトウ
河川工事やダム建設などで今や絶滅危惧種になってしまいました。また一生のうちの産卵回数は多いものの10年かけて成魚になる点は希少性をも生み個体数の少なさに繋がっているとも考えられています。
よって現在食べられるのは養殖ものがほとんどです。がしかし味は間違いない高級魚。見かけた際はぜひ味わってみてください。