イシナギとは
イシナギとは、モロコやオオヨなどといった様々な呼び名で呼ばれており、日本各地でとられて食べられている魚です。体の大きさが非常に大きくその見た目からは力が強そうな印象を受けます。しかし一口食べれば美しく上品な味が魅力の一つです。そんなイシナギとは一体どんな魚なのでしょうか。その釣れる時期や特徴などについてみていきます。
イシナギの釣れる時期
イシナギは、厳冬期から春先にかけてよく引き揚げられる魚の一種です。冬から春という長い旬の中でも、釣りあげる時期によって、少しずつ食べたときに感じる味の印象が異なります。特に産卵期にあたる春に釣れるイシナギには、寒く厳しい冬を乗り越えて産卵のためにパワーを蓄えてきた大きな体に程よく脂がのっているため、とても味が良いです。
イシナギの生息域
イシナギは、卵から孵化した後のしばらく間は比較的浅い海で過ごしています。それからどんどん成長していくにしたがって、水深400m~600mと海の深いところで暮らすようになります。成魚になってからは5月~6月頃の産卵期を迎えるときに、水深150mほどまで上昇してくるので、釣りに行くには暖かい春のこの時期が特におすすめです。
イシナギの特徴
体は長楕円形になっています。成魚になるにつれて少し分かりにくくなりますが、体の表面には白色と褐色の縦の縞模様がついています。また、胸ビレの始点の真下に、腹ビレが付いているところも、イシナギを判別するのに非常に便利な特徴の一つです。さらにかつてはハタの仲間ともいわれていましたが、現在ではスズキの仲間とされています。
イシナギの価格
市場での流通価格はあまり高くなく、1㎏あたりで1800円程度です。2㎏ほどのものでも3600円程度です。しかしそれ以上大物になればなるほどどんどん値段が上がっていき、20㎏を超えると1尾で36000円を超えることもあります。大きなものを自分で市場で買うには高いので、自分で釣って狙う楽しみ、食べる楽しみを味わいましょう。
イシナギの毒に注意
イシナギの肝臓には、ビタミンAが非常に多く含まれているため、一度摂取してしまうとビタミンA過剰症になる可能性があります。頭痛や吐き気、睡眠障害、皮膚荒れなどを引き起こす危険性が高いです。食品衛生法で肝臓は食用禁止と定められていますので、釣り上げたイシナギを自分で料理する際には、肝臓に注意しながらさばいていきましょう。
イシナギ以外にも毒のある魚はたくさんいる
今回ご紹介したイシナギの他にも、日本の近海で釣りを楽しむことのできる魚の中には、その体内に危険な毒を潜ませているものがたくさんいます。実際に釣りに行く前に、まずはしっかり危険な魚たちのことをチェックしておくと、より安心して快適に楽しい釣りライフをエンジョイすることができるでしょう。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
イシナギの種類
一口に「イシナギ」といっても、異なるものを指している場合があるのです。主に、大きく分けると二種類のイシナギがこれまでに確認されています。その呼び名や生息地などの観点から、どのような違いを持っているのか、種類ごとにそれぞれ見てみましょう。
オオクチイシナギ
成魚になると、体長が2m前後、重さも20㎏から100㎏超えになることもよくある大きな魚です。もともとこのオオクチイシナギのことを指して「イシナギ」と呼ばれていましたが、アメリカなどでコクチイシナギの存在が発見されてからは、この二種類を区別するために現在のオオクチイシナギという呼び方が主流として使われるようになりました。
イシナギの名前の由来
イシナギは漢字で書くと「石投」と表記されます。主に東京近郊で漁をする漁師たちが、この魚のことを「イシナギ」と呼んでいます。イシナギの「イシ」は「斑紋」もしくは「磯」を示す「ひさ」という言葉がだんだん変化していったものです。つまりイシナギは、斑紋の魚、もしくは岩礁域に多く生息している魚という意味が込められた名前です。
オオクチイシナギの呼ばれ方
イシナギは、日本全国それぞれの場所で付けられた呼び名で親しまれています。例えば青森県や山形県は、「大魚」という表記から発展して「オオヨ」「オヨ」「オオイオ」「オオナ」などと呼ばれています。また、山口県では「カラス」などとも呼ばれています。時代の変化や地域性を感じる呼び名にも注目すると、釣りをより楽しめるかもしれません。
コクチイシナギ
コクチイシナギも、オオクチイシナギとともに「イシナギ属」に属する魚です。日本海およびカリフォルニアなどの北米海岸に生息していることが確認されていますが、日本海ではこれまでに一度しか捕獲されていません。そのため、日本の近辺において釣り上げられたイシナギというと、ほとんどの場合は、オオクチイシナギのことを示しています。
イシナギの味と美味しい料理5選!
大きな体のイシナギは、定番の刺身などの料理から、一風変わった食べ方まで、様々な形の楽しみ方ができる魚です。上品で綺麗な白身がとても魅力的なので、イシナギを釣ったら、美味しい料理にしていただきましょう。ここからは、ゲットしたイシナギを美味しく食べる料理法を見ていきます。
イシナギの刺身
釣りたてを刺身にするのも十分美味しいのですが、少し熟成させてからいただくとより美味しくなります。イシナギを柵取りした後に一晩ほど寝かせることで、透明だった白身がほんのり赤く色づき、より綺麗に仕上がるのです。食感はしっかりしていて、とても食べ応えがあります。程よく脂がのっている上に甘味も感じられ、非常に上品な味わいです。