VXガスの成分、致死率は?製造は容易なのか?
VXガスは最強の毒ガスとも呼ばれていますがどれほど強力なのでしょうか?そんな強力な毒ガスを民家などで作ることは可能なのでしょうか?ここではVXガスの代表的な特徴をいくつか紹介します。
VXガスは一体なにで作られているのか?
VXガスはまずメチル化した三塩化リンにエタノールを反応させます。次にその生成物にN,N-ジイソプロピルアミノエタノールを作用させエステル交換反応を起こし、その前駆体に硫黄を反応させ製造します。
VXガスは実は簡単に作れてしまう?
上で述べたように、VXガスは三塩化リン、エタノールなどのエステル交換反応で生成されます。この反応はこの類の反応ではかなり簡単な方だそうです。ただし、VXガスはその強力さ故に扱いが難しく民家での製造は難しいです。
VXガスの致死率はかなり高い!
VXガスの致死量は体重1kgあたり0.02mgほどであり、ごく少量で人を死に追いやります。VXガスとありますが実際は琥珀色の液体で皮膚からも吸収されてしまいます。少しのVXガスが皮膚についただけでもその強力な毒性を発揮します。
VXガスの危険性や特徴!
VXガスは他の毒性を持ったガスと違った特徴がいくつかあります。VXガスはサリンの100倍の致死率がありますが今回は、それ以外でVXガスが強力で最も恐ろしい毒ガスと呼ばれいる理由となる特徴をいくつか紹介します。
VXガスはかなりの即効性がある
VXガスは体内に取り込まれるとたった数分で突発的な痙攣を起こし、心肺停止に至ります。VXガスの主な中毒症状は嘔吐、呼吸困難、意識障害、痙攣、心肺停止などですが、なにが起こっているのか分からないほど症状が突発的に現れます。
触れてしまうと水では洗い流せない
VXガスは実際は琥珀色をした液体で親油性が高く皮膚に吸着します。さらにVXガスは呼吸器だけでなく皮膚からも吸収されるので触れてしまったら最後です。親油性が高いため化学洗浄でないと取り除けないのですぐに手遅れになってしまいます。
VXガスは無味無臭
VXガスは無味無臭で持ち歩いても分からないし、散布されても分からないため暗殺などに使われることが多いです。実際、金正男氏暗殺に使われたのがVXガスだと言われています。VXガスに気付く間もなく手遅れになってしまうことが多いそうです。
VXガスの誕生の経緯や歴史
少量で人を死に至らしめ、さらに無味無臭で存在すら認識できない、これほどまでに恐ろしいVXガスはいったいどのようにして誕生したのでしょうか?そんなVXガスの誕生の経緯や歴史を紹介します。
殺虫剤の研究中に作られた
他の毒ガスでもあるようにVXガスは殺虫剤の研究中にたまたま作られました。1952年にイギリスでラナジット・ゴーシュ博士が殺虫剤の研究をしているとサリンと同じくらいの威力のものが生成されました。これがVXガスのもとです。
VXガスに似たVRガス
旧ソ連でVXガスに似たVRガスというものが作られたと言われています。無害の液体を2、3種類混ぜ合わせるだけで発生し、VXガスより保存が簡単だそうです。ただその存在は未確認で謎の神経ガスと言えるでしょう。
もっと強力な毒ガスが研究されている可能性
現代は科学技術が格段に向上しているので新しい強力な毒ガスが開発されているとしてもおかしくありません。さらに、化学兵器の使用、開発、保存が禁止されている化学兵器禁止条約に署名していない国もあります。
化学兵器に並ぶ大量破壊兵器
毒ガスとして知られる化学兵器と並ぶほどの威力を持つものとして核兵器と生物兵器があります。どちらとも化学兵器とはかなり違ったものですが大量に人を傷付けたり殺したりするために開発されました。
核兵器
大量破壊兵器でまずはじめに思い浮かぶのは核兵器ではないでしょうか?核兵器は核分裂や核融合によって発生する強力なエネルギーを使って爆風や放射線を発生させ直接人を傷付ける恐ろしい兵器です。
生物兵器
生物兵器は細菌やウイルスや動物、またそれらが出す毒によって人などを攻撃する兵器です。一見毒ガス類と似ていますが毒ガスは化学的に生成されたものであって化学兵器と生物兵器は全くの別物です。
様々な種類の毒ガスが存在する?
毒ガスは神経ガスだけではありません。世界には何百種類もの毒ガスが存在します。その中で神経ガスとよく比べて考えられるものに窒息ガスがあります。ここでは神経ガスと窒素ガスの特徴についてまとめました。
神経ガス
神経ガスは神経伝達を阻害する作用を持つ化合物です。神経伝達を阻害して麻痺や痙攣などの症状を起こし、窒息や心肺停止に至ります。呼吸器から吸収されるのが一般的ですが、恐ろしいことに皮膚からも吸収されるのでガスマスクなどでは防ぎきれません。
窒息ガス
窒素ガスとはそれ自体は有毒ではないが酸素供給を阻害して動物を窒息させるガスです。窒素・二酸化炭素・不活性ガス、低分子の炭化水素などがその代表であり、塩素などの有毒ガスを含める場合もあります。致死確率は格段に神経ガスよりは低いです。
日本での毒ガスの規制について
人を呼吸困難や死に至らしめる毒ガスは日本国内において果たしてどのような扱いになっているのでしょうか?日本での毒ガス規制の現状と国内で毒ガスが製造される可能性について製造面からお話します。
勿論法律的には規制されている
大量の人をの同時に傷付けることのできる毒ガスが日本で規制されないわけがありません。化学兵器はもちろん、工場や車の排ガスも人体に影響を与えることがないように厳しく法律や条例が定められています。
材料や成分も調達しにくい
主な毒ガスは生産されないように警察などが入手ルートを広く網をかけているので材料の調達は困難です。ただし、これは日本国内の話であって一部の国では容易く材料の調達ができてしまうみたいです。