土鍋の目止めにはどういう意味があるの?
まだ土鍋を使用したことのない方にとっては、この目止めというのがどんな行為なのか、そしてどんな意味があって行うのかを知らないかと思われます。しかし行わなければならないタイプの土鍋ではちゃんと意味を知っておかなければいけません。ということで、まずはこのコーティングを行う意味などについてをご紹介していきます。
目止めは土鍋の目に見えない穴をふさぐ作業
土鍋を購入したら、そのまま使用することができるというわけではありません。購入直後でまだ手を付けていない新品の状態では鍋の表面に人間の目には見えないくらいの小さい穴が開いています。その穴が開いてしまっているままの状態だと料理に差し障ってきますので、これをふさぐために行うのです。
目止めはひび割れや水漏れ・匂い移りを防ぐ
これを行う意味としては、例えば小さくとも穴が開いてしまっていれば水漏れが起こってしまったり、後述するでんぷんによるコーティングが行われないせいでひびが入ってしまったり、鍋のにおいが他の料理器具に映ってしまうこともあります。これらを防ぐためにも必須の工程なのです。
目止めはお粥や小麦粉・片栗粉を炊いて行う
そんな目止めには具体的にどんなものを使用して行うかというと、お粥や小麦粉、または片栗粉といった目の細かい粉を主に使用して行います。これらの中にはでんぷんが含まれていて、このでんぷんが前述した小さい鍋の穴をふさぐ役割を担ってくれるのです。
全ての土鍋に目止めは必要?
土鍋に必ずやっておかなければならない目止めがどんなものなのかややる理由、何を使用して行うのかなどについて簡単にではありますがご紹介しました。美味しい料理を作るためにも大切な工程なのですが、では、どんなものでも必ずやらなければならないのでしょうか。
セラミック製の土鍋は基本不要
実はすべての土鍋に必ずやらなければいけないということにはなっていません。例えばセラミックのモデルの土鍋の場合、元々粒子が細かくなっているためでんぷんでふさぐような穴が存在していません。ですので、セラミックの土鍋については目止めの必要は基本的に無いのです。
伝統的な焼き物土鍋は目止めを!
逆に必ず行わなければならないのは、伝統的な焼き物系の土鍋になります。後述する系統の土鍋に関しては前述のセラミック製のもののように穴が細かいから不要というようなことは全くありませんので、後述するやり方に合わせてコーティングをしましょう。
代表的な土鍋①伊賀焼
代表的な伝統の焼き物の1つに、伊賀焼というものがあります。三重県は伊賀市の周辺で作られている陶磁器の名称で、熱への耐性が非常に高いために今回ご紹介している土鍋の他、耐熱仕様の食器などにも使われています。伊賀焼の土鍋には一対の取っ手が付いているのが特徴です。
代表的な土鍋②萬古焼
もう1つが萬古焼になります。ペタライトともいわれる葉長石という石を素材に使用して作られており、こちらも当然ではありますが伊賀焼と同じく耐熱性に優れています。伊賀焼同様こちらも三重県は四日市市の伝統工芸品に指定されています。
土鍋の目止めをする前の準備
土鍋に目止めをする理由や行う際に使用するもの、そして目止めが必要なものと必要ではないものについてをご紹介しました。それではここからは、実際に目止めを行っていく手順を1つ1つご説明していきましょう。まずは取り掛かる前の準備段階に行うべきことからです。
土鍋を水洗いして乾燥させる
最初は、水道水で水洗いしておいてから乾燥させましょう。この準備段階でしっかりと乾燥させておかないと、たとえ目止めを行ってもひび割れが発生してしまう原因に繋がりますので十分にやっておきましょう。特に、日が直接当たることになる鍋の裏部分は濡らさずにしっかり乾燥させておいてください。
土鍋の目止めのやり方①お粥を炊く方法
ここからはお粥や片栗粉、小麦粉などを使った目止めの本段階のやり方の手順をご説明していきますが、どれを使うとしてもご紹介した水洗いしてからの乾燥の手順は必須となります。ご紹介しました通りちゃんと乾かさないと逆効果になってしまいますので、しっかり確認してから手順を進めるようにしましょう。
①水を八分目程と茶碗一杯分のご飯を入れる
まず1つ目はお粥を焚いて行う方法になります。最初は水を鍋の8分目まで程度と、お茶碗1杯分くらいのご飯を入れておきます。生米の状態で入れるとでんぷんが溶けだすまでに非常に時間がかかってしまいますので意味がなくなってしまいますから、必ず焚いてあるご飯を準備して使いましょう。
②火加減は弱火で蓋をせずお粥にしていく
水とご飯を入れたら、弱火の状態でゆっくりとお粥にしていきます。このとき蓋は閉めないで行いますが、弱火でも吹きこぼれてしまう可能性はあります。そうなってしまうと後処理も大変になってしまいますので、目を離さずにゆっくりと過熱していきましょう。
③炊きあがったら十分冷ましてから取り出す
少しずつ加熱をしていってお粥が炊き上がったら、火を切って十分に鍋を冷ましてからお粥を取り出します。冷めるまでにかかる時間について1時間であったり2,3時間だったり、または一晩ともいわれていて振れ幅が大きいですが、大事なのは鍋がしっかり冷めているかどうかです。自分でちゃんと確認をしましょう。
④再び水洗いしよく乾燥させてから保管する
時間を置いて鍋が冷め中のお粥も取り出せたら、最初の準備段階で行ったのと同様にもう一度よく水洗いをしてから充分に乾燥させておき、収納袋などに入れて保管をしておきます。この水洗いをしてから乾燥させるというのは土鍋の管理における基本になりますので、綺麗に洗って十二分に乾燥させましょう。
土鍋の目止めのやり方②片栗粉・小麦粉を使う方法
お粥を使ってのやり方の手順をご紹介しました。ちなみにですがここで使ったお粥はもったいなければ食べても構いませんし、どうするかは個人の自由です。続いては、片栗粉や小麦粉を使ってのやり方の手順をご紹介していきます。
①水を八分目程と粉を大さじ2杯入れる
まず、共通の準備段階で行う水洗いからの乾燥を完了させたら、お粥の時と同じく水は鍋の八分目くらいまで入れておき、小麦粉や片栗粉はスプーン大さじで2杯程度入れておきます。粉は絶対に大さじ2杯までという決まりはありませんが、基本8分目に対して大さじ2杯で問題はありません。
②お粥と同様の処理手順で目止めを行う
ここまでできたら後はご紹介したお粥の手順と同様の処理を行います。弱火にかけて時間としては10分から20分程度沸騰した状態のまま加熱してから火を切り、鍋がしっかりと冷めきってくれるまで放置しておきます。時間が経って完全に冷めたら中の水と片栗粉もしくは小麦粉を捨てて、水洗いと感想をさせれば保存できます。