世間を賑わせたスタンフォード監獄実験。実験内容をモチーフにした映画がある?

非個人化

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権力を持つ者の元々の性格はほどんど関係なく、権力をもっただけで誰でも変貌してしまう。これを「非個人化」と言います。今回の実験で例えると、看守役と囚人役はくじ引きで決定しました。サディストな性格の者、人種差別意識が強い者は実験から外していました。つまり、至って普通の大学生たちがフラットな気持ちで参加したのです。

それにもかかわらず、権力の暴走を起こしてしまい、囚人役の自尊心を傷つける行動をとったのはなぜなのでしょうか?それは看守役という権力が、看守役の一人の人間の個性を殺してしまったからです。役割を与えられ、環境を与えられることで自分の個性や感性を捨てて、役割に徹してしまうというのが、この「非個人化」なのです。

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この「非個人化」は今回の実験だけでなく、歴史的なホロコースト(大量虐殺)の場でも多く見られる現象です。もっと身近なところに置き換えることもできます。職場や学校で、状況によって言われたとおりにする。または言われた通りの指示を出す、ということを繰り返すと自分の”個人としての個性”がなくなってしまうのです。

実験を行った「フィリップ・ジンバルドー」はどんな人物?

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この実験の責任者であるフィリップ・ジンバルドーは1933年に生まれて、現在86歳になります。思春期には南ブロンクスというニューヨーク都心部のスラム街で育ちました。学歴はブルックリン大学卒業、イエール大学大学院修了です。現在スタンフォード大学の名誉教授です。社会心理学に関する書籍を執筆しています。

彼の研究内容は?

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彼の研究を一言で言ってしまえば「善と悪」の研究です。この「善と悪」に対し、人はなぜ悪に染まってしまうのか?どこからが悪なのか?怪物、または英雄になる要因とは何なのか?というテーマを役割・権力・環境という視点から分析を研究内容としています。こちらの動画もご覧ください。

「普通の人物がどうやって怪物、または英雄になるのか?」という公演を行っています。善悪の根本を研究し、人は環境によって悪魔になりえてしまうのか。という研究です。スラム街で育った彼は、周りの友人達がドラッグをやり、トラブルに巻き込まれていく姿をとても近くで見ていたと言います。

そこから良い友人が悪い方向に誘い込まれるのを何度も見て、善と悪とは何なのか?その境界線はどこなのか?ということを考えるようになり、それが生涯の研究テーマとなります。堕天使「ルシファー」からルシファーエフェクトという言葉を定義し、書籍を執筆しています。

スタンフォード監獄実験での反応は?

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スタンフォード監獄実験は、衝撃的でかつ、構図のシンプルさから多くの人の関心を集めました。ドイツや共産主義圏の国々でよく知られています。米国では高校の教科書に載るほどに有名になっており、社会学の中で最も有名な実験だと言えます。

当時の記録は音声ファイルのみでしたが、追跡インタビューや取材も多く行われました。また、他の研究者へ与えた影響も大きく、追随して同じような実験が行われました。ジンバルドー教授に対し、さらなる研究成果の公開を求める研究者もいて、盛り上がリを見せました。

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スタンフォード大学監獄実験はイカサマだった?

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実はスタンフォード大学監獄実験には、ジンバルドー教授が看守役に強気に出るようヤラセの指示をした、囚人役には仕込みで狂乱を演じさせた、という疑惑があります。実験は本当に公平な状態で行われたかという言及をしている研究者も多く、それについて詳しく見ていきます。

ジンバンドー教授の素顔

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ジンバルドー教授には多くの批判が集まっています。ジンバルドー教授のほとんどの受賞歴がこの実験に起因するものだからです。彼に対し批判的な研究者は彼のことを、「例の実験で大きく名前を広めた一発屋の研究者」だと痛烈に揶揄しました。

また本人の性格も(カリスマ性があることは間違いないのですが)脚光を浴びることを好み、テレビに出たり、科学をバラエティー向けに通俗的に解説することもしばしばです。スタンフォード監獄実験はこれまで3度映画化されており、2015年の『プリズン・エクスペリメント』のプレミア試写会には招かれていました。

被験者の声

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実験が終わって暫く経つと、元看守のスタッフからの内部告発が出てきました。ある元看守はサディストな振る舞いをあえて行ったという。それはジンバルドー教授が指示をし、研究者にそういった振る舞いが期待されていると感じたからだと言っています。

彼はわざわざいい仕事をしていると告げにきました。実際、人間の性質の理解に多少なりとも貢献したので、何かいいことを行なったような気がしていました(元看守)

上にあるように、サディストな振る舞いに対して責任者が肯定をすればそれはgoサインと同じということになります。加えて、囚人役は警棒も用意されているので、視界に入っただけで威圧感を与えるものを持たせるのは公平と言えるのか?という疑惑も残ります。

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