世間を賑わせたスタンフォード監獄実験。実験内容をモチーフにした映画がある?

Array

この映画の公開は2015年です。実話に基づいて作られたサスペンス映画になります。映画を監督したカイル・パトリック・アルバレスはサンダンス映画脚本賞を受賞しています。35歳の若手監督になります。脚本はティムタルボットで、この映画がデビュー作になります。

映画の内容

PIRO4D / Pixabay

スタンフォード大学心理学部のジンバルドー教授は、校舎を使って心理実験を行う。被験者は男子学生9名ずつ。看守と囚人という2つのグループに分けて役割を与え、刑務所内での生活を疑似体験させるという内容だった。そこで役割がもたらす心理的作用を観察するのが目的でした。

囚人役は食事も貧相なものを食べさせられ、無駄な腕立て伏せを強要されるなど、フラストレーションをつのらせて行きます。そこで口答えするものが現れ始めます。看守は囚人に暴力を振るうことを禁止していたにもかかわらず、囚人が反抗的だとして看守から暴力をふるわれてしまいそこから歯車が狂っていきます。

映画の出演者や演出について

skeeze / Pixabay

出演者も比較的若くキャリアの少ない俳優が多いです。若い監督と新人脚本家という、若い人だらけの作品ですがベテランのような風格まで感じさせるような重厚な構成になっています。不気味さや、これからどうなるのかというドキドキがあり、後半はドアップの連続で見る人を飽きさせないパンチ力があります。

世間の反応

mohamed_hassan / Pixabay

この映画は恐怖系や不気味系と位置づけられます。ヤフー映画では、この映画の評価は55件で2.98でした。ただ、こういった映画は人によって評価が別れます。このジャンルで評価2.98は十分高いです。他の有名な恐怖系、不気味系の映画と肩を並べる評価となっています。下記に詳細を記します。

評価の良い人はこの映画の忠実さが面白かったと言っています。一方で「es/エス」は少し脚色されていたようです。評価の悪かった人は「es/エス」よりもパンチが弱く、退屈だったと語っています。カメラアングルや構成が評価されることが多く、映画が”分かる人”に対して訴える力がある作品です。

当時被験者だった彼らのいまは?

Pexels / Pixabay

このブロックでは当時の被験者について調べてみました。世界的に有名な実験なだけあって、インタビューの動画もあり、信憑性があります。インタビューの中では赤裸々に語られていて当時の状況を知るにはもってこいの情報だと言えます。その中のひとりを取り上げて行きます。

当時の心境

geralt / Pixabay

彼は実験の36時間後、泣きながら暴れ始めました。実験参加者の中でも早い段階で精神に錯乱をきたしてしまいました。他のメンバーにも愚痴をこぼしており、「逃げることも、やめることもできない」と主張していました。精神的な苦痛があまりにも大きかったため、彼は早期に実験のメンバーから外されました。

実験後の心境

KELLEPICS / Pixabay

ジンバルドー教授は彼のこの時の様子を「急性の情緒不安定」であると評価しました。実験が終わった際、名前を読んであげて状況を説明するとすぐに正気を戻していました。泣き止むと悪夢から目覚めた幼い子供のようだったと報告書の中に書いてあります。

当時を振り返って何を思うか

geralt / Pixabay

色々な被験者が当時のことを思い出すと、「まるで別の人間のやったことのようだ」と語っています。役割や権力を持った”別の自分”が出てきて、変貌してしまう。実験の終わりにそれが無くなったことを認識すると正気すぐ戻れる、というのはこの実験の怖いところだと言えます。

同じような研究ではどのような結果が?

geralt / Pixabay

スタンフォード監獄実験に衝撃を受けたり、正当性を疑問視している他の研究者が同じような実験を行っています。様々な角度から検証を行いましたが最終的に疑問を持つ研究者の方が多いです。では何が違うのか、ということをこのブロックでは見ていきます。

ニューサウスウェールズ大学での実験

geralt / Pixabay

オーストラリアにあるニューサウスウェールズ大学のシドニーロビボンド教授は、監獄体制を3種類用意し実験しました。1つは警備が通常である一般的な監獄、他の2つは囚人が体制に意見することが出来る、いわば個性を発揮できる監獄を用意しました。

実験結果

Santa3 / Pixabay

実験の結果、個性を発揮できる囚人に対して看守は権力の行使を行いましたが、囚人は素直に従わない場面も有りました。これにより、被験者の見せる行動は、被験者個人の特性や与えられた役割ではなく、監獄体制の「社会組織」と結論づけました。

スタンフォード監獄実験との違い

skeeze / Pixabay

人は役割に従い、疑問を持たずに人権をないがしろにするほどに、権力を乱用する。というのがジンバルドーによる研究結果です。これに対し、今取り上げたニューサウルウェールズ大学の実験では、権力ではなく、その組織の方が大事であるという結果になりました。

被験者がこの実験から早く立ち直れた理由

geralt / Pixabay

この実験が終わる時、「今までの実験は架空のことで、囚人番号○○番はもう居ないんだ」と伝えればすぐに立ち直ったと言われています。これは架空の自分が架空の役割を与えられた”だけ”で、大きく精神を揺さぶられていたということです。いわば、その”ラベル”が無くなれば自分の個性が復活するということです。

身近なところでいうと、職場や学校であなたに与えられた責任や役割は単なる”ラベル”でだということです。○○会社の○○係に所属するが故の役割。これが自分の精神に大きく影響していると自覚するべきでしょう。この役割を別人格が担っていると考えれば、今苦境に立たされている人は少し気が楽になるのではないでしょうか?

geralt / Pixabay

その他にも恐ろしい実験が

Gellinger / Pixabay

人間の闇にスポットを当てた実験は他にもいくつかあります。社会心理学や歴史が好きな方にとっては有名な話なので、既にご存知の方もいるかもしれません。せっかくですのでこのブロックでは恐ろしい実験を3つ取り上げていきます。

ミルグラム実験

元ナチスでユダヤ人を大量に虐殺し、ホロコーストに関与したことで知られるアドルフ・アイヒマンという人物がいます。彼は性格も穏やかでいかにも小市民のような受け答えをする人物でした。誰もが、あのホロコーストで重要なポジションにいたことを疑いました。

ここで心理学者が考察します。ホロコーストの指揮をとった人物は羊の革を被った狼なのか、それともどこにでもいる一般人が特殊な権力を与えられ、命令とあらば恐ろしい残虐な判断を下すのか、ということです。心理学者はとても興味がわき、実験を行いました。

422737 / Pixabay

この実験の内容ですが、教師役の被験者がマイク越しに簡単な出題を出し、生徒がそれに間違えたら被験者がボタンを押して生徒に電気ショックを与え、間違える度に電気ショックの電圧を上げて行くという実験です。(引用:人間は残酷だ…。電気ショックを用いた精神実験『ミルグラム服従実験』の内容がエグすぎる)

 

これに参加した学生のうち、(ショック死もあり得る)400ボルトを超える電気ショックを与えた被験者が、全体の65%になります。これは驚異的な数字です。もちろん電気ショックは実際には流れてなく、教師役と実験者が手を組み、一芝居打って被験者を試していました。

無表情のふれあい実験

geralt / Pixabay

神聖ローマ帝国の皇帝が行った恐ろしい実験です。まず55人の乳幼児を隔離し、一切のスキンシップを禁じ育てさせました。目を見ることも、語りかけることも、笑いかけることも許しませんでした。結果、55人中、27人が2年以内に死亡。他17人も成人前に死亡。残る11人は成人後生き続けたが、知的障害や情調障害が残りました。

人間にとって、何が大切なのかを考えさせられる実験だ。 もうひとつ衝撃的な実験がある。神聖ローマ帝国ホーエンシュタウフェン朝の皇帝フリードリヒ2世は、言葉を教えずに育った「赤ちゃん」がどんな言葉を話すのかに興味があった。(引用:怖すぎ!人間の本質が、暴かれる「5つの心理実験」)

 

tookapic / Pixabay

現代でこれをやってみた人もいます。もちろん数分間で終わる軽度の実験です。長い時間やってしまって死者が出てしまったら大問題です。無表情のまま自分の子供の前に立つ母親、子供はそれを見て徐々にストレスを感じていき、最後には泣き出してしまいます。人間の無表情が凶器にもなり得るという恐ろしい実験です。

ブアメードの水滴実験

Skitterphoto / Pixabay

思い込みだけで人は死んでしまうという実験です。目隠しをして、囚人に足の親指を切ったと伝えます。そして水滴の落ちる音を延々と聞かせます。実はその時、実際に親指は切っておらず血も流れていません。水滴の落ちる音は水道から出る水で代用します。しかし囚人は自分の足を切られて血が滴っていると思い込むのです。

そのままの状態で囚人に対して、「こんなにまで血が出ればもう致死量だな」と伝えます。すると囚人は死んでしまった、という実験です。これは思い込みだけで人間の脳みそが生命維持をしなくなる、というとても恐ろしい実験です。

もっと恐ろしい記事を読みたい方はコチラ

被験者がこの実験から早く立ち直れた理由

geralt / Pixabay

この実験が終わる時、「今までの実験は架空のことで、囚人番号○○番はもう居ないんだ」と伝えればすぐに立ち直ったと言われています。これは架空の自分が架空の役割を与えられた”だけ”で、大きく精神を揺さぶられていたということです。いわば、その”ラベル”が無くなれば自分の個性が復活するということです。

身近なところでいうと、職場や学校であなたに与えられた責任や役割は単なる”ラベル”でだということです。○○会社の○○係に所属するが故の役割。これが自分の精神に大きく影響していると自覚するべきでしょう。この役割を別人格が担っていると考えれば、今もしも苦境に立たされている人は少し気が楽になるのではないでしょうか?

geralt / Pixabay

恐ろしい実験!スタンフォード監獄実験から学べること

TeroVesalainen / Pixabay

スタンフォード監獄実験から学べることを書いていきます。スタンフォード監獄実験は疑惑は残るものの、「すべてが嘘か」と言われたらそれはNoです。このことを解説していきます。

すべてが嘘では無いところがこわい

GDJ / Pixabay

スタンフォード監獄実験には正当性の疑惑があること紹介した通りです。程度の差はあれど、他の研究者が示している通り、環境が人の善悪に影響するのは間違いありません。ジンバルドー教授も幼いころスラムでたくさんの”悪に染まる”友人を見たと言います。

その”悪に染まる”というのは子供だけでなく大人にも当てはまります。例えば職権濫用という罪があるように、政治家が自分の利益に誘導することがあります。銀行員がお客さんのお金を着服してしまうこともあります。その際権力が大きいかったことが問題になります。

CreativeMagic / Pixabay

もっと身近なところで例えると上司や教師が自分の居心地が良いように他人を誘導します。これは適度であれば丁度良いのですが、度を越してしまうとその組織を壊しかねません。この時、上司や教師などの権力を持つ者は周りから恨まれる事もあります。この教訓を自分の行いを見つめなおすきっかけにしたいものです。

イヤミスに関する記事はこちら

ゴア表現に関する記事はこちら