カツオについて
カツオはスーパーでもよく目にする魚です。鮮魚としてだけでなく、鰹節や缶詰の加工品として、私たちがよく口にする魚でもあります。意外と身近なカツオですが、どのような特徴を持つ魚なのでしょうか。
カツオはサバの仲間
カツオは、スズキ目サバ科に属する魚です。サバ科の魚は種類が多く、日本ではカツオの他に、マグロやサバなど21種類もの魚が生息しています。カツオの見た目は背部が濃い青色で腹部が白銀色、そしてお腹の縞模様が特徴です。
生息域は太平洋や大西洋、インド洋などで、熱帯から温帯にかけて大きな群れをつくって回遊しています。春になると南から黒潮に乗って日本に近づき、10月頃になると水温が高い南の海へ帰ります。冬以外は日本に生息している魚です。
カツオの生態
回遊するときは、「なぐら」と呼ばれる大きな群れをつくって集団行動しているカツオ。大型魚の中で、このように群れで行動するのは珍しいといわれています。もちろん餌を仕留める時も集団でおこないます。食性はどんなものでも食べる雑食で、おきあみ・イワシ・イカ・エビなど実にさまざまです。
カツオは食用として利用されている
カツオの大きさは成魚で40~70cm、体重は10kg以上にもなる大型魚です。主に食用として水揚げされ、日本では刺身やタタキ、鰹節など様々に調理され出回っています。世界に目を向けてみると、タイでのカツオ加工が最も盛んで、カツオフレークなどの缶詰にして世界中に輸出されています。
カツオとマグロの違い
カツオとマグロは同じ分類の赤身魚で、姿形が非常に似ています。お刺身として口にすれば判断しやすいでしょうが、見た目では分かりにくいです。ここでは、カツオとマグロの似ている点と違う点についてご紹介します。
24時間休まず泳ぎ続ける魚
どちらも大型の回遊魚で、24時間泳ぎ続けるという特徴を持っています。泳ぎ続ける理由は、酸素を体内に運ぶため。なぜならカツオとマグロは、エラの機能が衰退しているためエラ呼吸ができません。
そのため高速で泳ぎながら海水を口から一気に吸い込み、酸素を体内に取り込んでいます。どちらも時速60km以上で泳ぎ、カツオに関しては生涯に約100万kmも泳ぎ続けるといわれています。
見分け方について
カツオとマグロの一番分かりやすい違いは、カツオには腹部に縞模様があることです。またカツオは細身なのに対してマグロは太めの姿をしています。刺身にすると、カツオの方がマグロより赤身の色がやや暗めです。このような違いがあります。
カツオの旬な時期をご紹介!
カツオは1年を通して出回っていますが、旬の時期はいつ頃なのでしょうか。やはり旬に食べるカツオは格別です。日本では旬が2回訪れますので、それぞれの違いについてこれからご紹介していきます。
カツオの旬について知ろう:基礎知識
春から秋にかけて日本にやってくるカツオ。太平洋側を集団で回遊しながら大きく成長していきます。カツオは産卵時に10~200万個の卵を産みますが、そのうち生き残れるのは1%にも達しません。無事成長できるのは体が丈夫で生命力がある証だといえます。
カツオの旬は一年に2回
日本でのカツオ漁は3月ごろ九州ではじまり、その後三陸沖や北海道南部で10月頃までおこなわれています。長い期間に渡り水揚げされますが、その中で旬は1回目が4~5月、2回目が8~9月といわれています。
1年のカツオの動き
日本を南から北まで長距離移動するカツオですが、どうのように移動するのかご説明していきます。まず南の鹿児島県に3月ごろから入ってきて、その後5月ごろに本州中部、最後は8~9月ごろに三陸北部まで進みます。10月ごろになると温かい場所を求め、九州に向け南下していきます。
カツオの旬について知ろう:初鰹について
年に2回、旬があるカツオ。実は獲れる時期によってカツオの性質が異なるのです。旬ごとに初鰹と戻り鰹という名前で呼ばれています。まず「初鰹」と呼ばれるカツオについて、獲れる時期や特徴についてご説明していきます。
初鰹とは
初鰹とは、カツオが餌を求めて北上する時期(3~5月)に水揚げされるもののことをいいます。主に鹿児島県・宮崎県・高知県で獲れるカツオが有名です。初鰹には、食べると長生きするといった謂れがあり、昔から好んで食べられています。
プリッとした食感がたまらない!
初鰹はこれから成長する段階のカツオで、十分に餌を食べておらず身が引き締まってします。脂質が少ないため、プリッとした歯ごたえで味はあっさりしています。特有の香りも少なく、透明感のある赤みが特徴です。
カツオの旬について知ろう:戻り鰹について
続いては「戻り鰹」についてです。戻り鰹は初鰹が成長した姿と考えると分かりやすいでしょう。元々は同じ魚ですが、成長するにしたがって性質が変化してきます。その性質について詳しくご説明していきます。
戻り鰹とは
カツオは餌を求めて北上しながら成長し、その後は産卵のために九州に向け南下します。戻り鰹は、南下する際に水揚げされるカツオのことをいいます。8~10月にかけて、静岡県や宮城県など三陸沖で水揚げされる戻り鰹が有名です。
脂がのって濃厚な味わい
戻り鰹は餌をたくさん食べて十分に成長しているので、脂がのっています。初鰹とは違い、もちもちした食感で、そのジューシーな味わいからトロ鰹と呼ばれるくらいです。秋の味覚として親しまれています。
カツオの旬について知ろう:高知県の旬
カツオといえば高知県!特に「藁焼きたたき」をご存知の方も多いでしょう。高知県は全国の中でも漁獲量・消費量が共に高い地域です。ここからは高知県とカツオの関係についてご紹介していきます。
高知県はカツオの本場
高知県では、1人当たりのカツオ消費量が全国平均の5倍以上。全国1位のカツオ消費県といわれています。そして初鰹も戻り鰹ともに漁獲量が多い特徴があります。特に土佐佐賀で行われている、伝統漁法の「土佐カツオ一本釣り漁業」が有名です。
漁師が一本一本丁寧に釣り上げるこの漁法は、網漁と比べると水揚げ効率が落ちてしまいます。しかし一本釣りであれば、魚同士が接触して傷をつけ合うことがありません。鮮度の低下を防ぐことにつながります。一本釣りは自然に優しい漁法として、水産協会から認められています。
高知県の旬は秋
高知県では黒潮の流れに乗って、春と秋にカツオの群れがやってきます。春の初鰹も美味しいですが、高知県では秋の戻り鰹が一番の旬とされています。旬のカツオはなんといっても脂ののりが最高です。脂質は初鰹の10倍はあると言われ、トロのような食感を味わうことができます。
また「日戻り鰹」といって、釣ったその日のうちにカツオを食べる、という贅沢な食べ方があります。新鮮なうちに刺身として食べることもできます。こいった食べ方があるのは、カツオ漁が盛んな高知ならではの食文化だといえるでしょう。
高知のカツオやおすすめの市場を知りたい方はこちらをご覧になってください。