「すいっちょん」という鳴き声をもつ虫ウマオイ!その正体は獰猛な肉食系

「すいっちょん」が鳴くのは夏~秋の夜

出現する季節は6月から10月に掛けてと割と長い期間活動してますので、潜んで居そうな場所をジックリ探す余裕が有ります。そして夜行性の昆虫ですので当然ながら活動がより活発になる夜が狙い目です。鳴く時は音を遠くまで響かせようと葉の上に出て居る事が多い為、音を頼りにすれば見付けるのはそれほど難しくないでしょう。

「すいっちょん」が鳴くのは林の中の草むら

そして、発見率の高い環境はこれも当然ながら「すいっちょん」に取って居心地の良い棲息域である林の中の下草と言う事になります。「ハヤシノウマオイ」の鳴き声は上の動画の3:25辺りから確認出来ますが、この鳴き声は繁殖期にオスがメスを呼ぶ為の声なのですが、多少騒がせても意外としぶとく鳴いてくれたりします。

因みに「ハタケノウマオイ」のピッチの速い鳴き声については音量が少々小さいですがこちらの動画で聞く事が出来ますので、是非聞いてみて両種の鳴き方の違いを確認してみるのも良いかも知れません。

「すいっちょん」と間違いやすい虫

キリギリス科の昆虫と言えば代表格のキリギリスやクツワムシ、その他もササキリ、ツユムシなど基本的に草の色を保護色とする仲間なので、昆虫観察に慣れてない人が一見しただけだと「すいっちょん」との見分けは付かないかも知れませんが、それぞれ目印となる特徴がちゃんと有りますのでしっかり抑えて置きたい所です。

ガチャガチャと鳴くクツワムシ

「すいっちょん」と同様バッタ目キリギリス科の「クツワムシ」はメスだと10㎝近くなるかなりの大型の昆虫で褐色部分が大きく目立つのが特徴。個体によっては褐色部分が全身に渡る事も有りますし体高も高くズングリとしています。秋の風物詩としても知名度が有る虫ですが動画で判る通り鳴き声が全く違い「ガチャガチャ」とした声になります。

好む環境は「すいっちょん」と同じく林の下草ですが、その食性は非常に雑多で肉食だけではなくマメ科の植物なども好みます。その中でも特にくずの葉が大好物で飼育下では金魚や亀の餌などでも喜んで食べてくれたりします。

ジ、ジ、ジと鳴くツユムシ

同じくバッタ目キリギリス科ですがこのツユムシは雑食の「クツワムシ」とも肉食の「すいっちょん」とも違い完全な草食性の昆虫です。動画の通り鳴き方も非常に地味でこちらを見付ける方が却って難しいかも知れません。体長は「すいっちょん」に似ており29~38㎜前後ですが形は「すいっちょん」より更にバッタに近くなります。

また褐色部分が大きく違っており、「すいっちょん」は複眼まで褐色となっているのですが、「ツユムシ」の方は羽の付け根のみが褐色で頭まで色が届いていませんので覚えておくと見分けるのに役立ちます。

童謡「虫の声」にも登場する「すいっちょん」

今も親しまれ続ける童謡「虫の声」ですが、この歌に「すいっちょん」が登場するのをご存じでしょうか。この歌は1912(明治45)年に発行された唱歌集「尋常小学唱歌」第三学年用に掲載された文部省唱歌で、日本の秋の風情を感じられる歌でも有りますが虫の声と名前をセットで自然と覚えられるので教材としても秀逸な作品です。

童謡「虫の声」とはどんな歌?

松虫、鈴虫、コウロギ、クツワムシ、そして「すいっちょん」と秋の夜を賑やかす虫が揃って登場する素朴で素直な曲で子供も大人も親しめる「虫の声」は日本の秋の原風景が浮かんで来そうです。蛇足ですが、二番のトップバッター「コウロギ」は発表当時キリギリスだったのですが差し替えられてしまいました。

何故かそうなったかと言いますと、その昔の日本、つまり「枕草子」などの古典では「キリギリス」と「コウロギ」を取り違えていたと言う説を採用した為です。「きりきりきりきり、キリギリス」と踏んでいた韻が失われてしまったのは少し惜しい気がします。

歌のトリに出てくる「すいっちょん」

一番までしか覚えていないと言う方もひょっとしたら居るかも知れませんが「あとから馬おい、おいついて、ちょんちょんちょんちょん、すいっちょん」と言う歌詞で二番のトリを務める虫が「すいっちょん」です。

ちゃんと「馬おい、おいついて」と、韻を踏むと同時に本来の名前「ウマオイ」と絡めた歌詞になっているのが、子供が自然を学ぶ教材としても作られた歌なのだと感じさせます。この童謡「虫の声」にトリとして登場した事も、方言だった「すいっちょん」の名前を全国区に広げるのに一役買った可能性は有りそうです。

「すいっちょん」の飼育方法

「すいっちょん」は棲息している林の草むらなら比較的簡単に見付けられる虫で、夜間で有れば草の上で鳴いているのを、昼間なら若干難易度が上がりますが葉に隠れた裏側を探せば採集は然程難しく有りません。他の秋の虫と同じく飼育は可能ですが、肉食性の昆虫ならではの注意点などが有りますので幾つか大事な点を挙げておきましょう。

前述した通り用意した餌の食い付き具合次第で簡単に共食いを始めてしまいますので、基本的に一匹ごとにケースを用意してあげた方が無難です。「すいっちょん」は小さい虫ですから飼育も産卵まで含めて小ケースで可能ですので経済的にも然程負担は無いでしょう。

ケースには土を敷き詰める

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クツワムシやキリギリスと同様にケースに赤玉土を敷き詰めて置けば、繁殖を考えている場合もそのまま産卵床としても使ってくれるでしょう。ただ「すいっちょん」のつがいを一つのケースで飼育してしまうと2~3日でオスがメスに食べられてしまいますので、餌をタップリ与えて共食いを抑えなくてはなりません。

ですが9月以降に捕まえたメスは大抵交尾済みで、つがいで捕まえて来なくても産卵する可能性が高かったりしますので、こちらを狙うのも手です。産卵後の土は年内の内は多少乾燥気味でも問題なく、年が明けた後くらいから卵に水分を与えると孵化が始まります。

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