ウバザメの特徴的な鰓裂(さいれつ)
サメの仲間最大の特徴
ウバザメとホホジロザメは同じネズミザメ科です。そのため、口を閉じているときのウバザメはホホジロザメとよく似ています。しかし、ほとんど体を一周するほど大きな鰓裂と、大きく口を開けたときの姿で見分けるのは難しくありません。
ウバザメの体長はどれくらい?
魚類ではNo2の大きさ
現在、ウバザメの全長は通常3mから8mほどですが、記録に残っている中ではカナダで捕らえられた体長12,27m、体重は推定16トンの個体が最大です。かつては10mを超える個体もいましたが、長年の乱獲によって現在では6m前後の個体がほとんどです。
クジラのほうが大きい?
クジラは哺乳類なので魚類には含まれません。魚類のウバザメですが、卵胎生という不思議な生態の生き物です。ウバザメの子供は母親の胎内で卵のままで成長し、胎内で卵から孵化した後に親と同じ姿で生まれてきます。その後は哺乳類のように親から乳をもらうことなく成長していきます。
口の中の構造
ウバザメの口の中には、軟骨の骨組みがまさに柱のように並んでいて、そこに櫛のような器官が生えています。そこでエサをこしとったあと、残った海水をエラから排出します。肉食のホホジロザメのような鋭い歯はなく、かぎ状のごく小さな歯があるだけです。
ウバザメとジンベエザメの口の大きさの比較
体長と口の大きさ
ウバザメもジンベエザメも、水中のプランクトンや小魚を櫛状の器官でこしとって食べています。ジンベエザメは体長10mから20mで、口の大きさは約1.5m。ウバザメは体長6m前後なのに対し、口の大きさはなんと1.2mから1.5mほどもあります。
体より大きく開く口
ウバザメは体より大きく開く口を持っているため、泳ぎながら自然に口に入ってくるエサを食べるという習性には有利そうですね。そのとき、なんと1時間あたり2000リットルもの海水をろ過していると言われています!
ウバザメはおとなしい魚
優しい巨人
大きな口を開けてこちらに迫ってくる巨体を想像するとかなりの迫力ですが、見た目に反してとてもおとなしい性質のサメです。動きがあまりにゆっくりで簡単に捕まってしまうため、かつてはバカザメという和名で呼ばれていたこともあるくらいです。アホウドリと似たようなネーミングですね。
マンボウのようなサメ?
英語名では Basking shark、つまり、日向ぼっこをするサメと呼ばれています。これは、実際に海面で日向ぼっこをしているような姿から名づけられました。のんびりしすぎて船にぶつかってしまう事故が起きるほど、マンボウのようにのんびりした性質のサメなのです。
ウバザメはとても遅い
泳ぐのは苦手?
どれくらい遅いかというと、通常時で時速3.6㎞ほど、最速でも時速6.4㎞ほどといわれています。そのため、銛で簡単に捕まえられてしまうことから大きく数を減らしました。しかし、2014年に放送されたテレビ番組「ダーウィンが来た!」の中で、ブリーチングと呼ばれる大ジャンプをしている様子が撮影されました。
イギリスでの研究結果
最近になって、イギリスの研究者がこれまで考えられていたよりウバザメも頻繁に大ジャンプをしているという研究結果を発表しました。それほどの運動能力があるならなぜ簡単に人間に捕まってしまったのでしょう。やはり穏やかすぎる性質のせいでしょうか。
ウバザメの大ジャンプ
普段はのんびり泳いでいるウバザメが大ジャンプをするのは、仲間とコミュニケーションを取るためという説や、体についたヤツメウナギなどを落とすためという説があがっています。どちらにしても、のんびり屋のウバザメにとってはかなり気合が必要な行動なのは間違いなさそうです。
ウバザメの天敵
巨大魚のウバザメですから、大人になれば天敵といえるほどの生物はいません。生まれたばかりの子供でさえ体長1.5mから2mほどもあります。しかし、シャチやイタチザメなどの大型肉食動物がウバザメを襲うことがあるため、子供のウバザメにとっては大きな脅威でしょう。