藁人形は自分で作ることだけが入手方法ではありません。実のところ藁人形は買えます。便利な世の中ですと言っていいのか、どんな人が買うのか、まさか買った全員が誰かを呪おうとしているわけではないでしょう。どんな場所で買えるのか、値段はどのくらいなのか、興味はありませんか。
出品サイトに出回ることも
メルカリやヤフオクが有名な、それ以外にも多くある出品サイト。そこには藁人形が出品されていることがあります。ご紹介した作り方に似た藁人形を始め、素材が藁というだけで、インテリアやストラップなどのアクセサリ用品としての藁人形もあります。これらは呪いの人形ではなく、身代わりになってくれるお守りとしての人形です。
高いものでは1万円近くするものも
呪いの藁人形というイメージの物も多く出ています。安ければ千円程の物もありますが、高い物であれば1万円近くします。高い藁人形を見てみると、藁人形単体ではないようです。何かとセットにしてあるから値段が上がっているようです。
丑の刻参りセットも売っている
藁人形とセット販売、となるとやはりありました。丑の刻参りに使う道具とセットになって売っている物が。五寸釘や金槌という最低限のものから、ハチマキやロウソクを含めた豪華セットも売られています。残念ながら白装束はセットではないようです。
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丑三つ時と牛の関係
丑の刻参りをする時刻と言われる丑三つ時、丑はウシと読みます。動物の牛とは違うのでしょうか。この丑は干支にもなっており、干支では牛を示します。本来は無関係だった二つのウシは庶民に分かりやすいように動物の牛が当てはめられたものです。そのため「土用の丑の日」のように牛とは無関係の事柄も多くあります。
牛に見る呪い
しかし丑の刻参りとも牛は無関係とも言えません。丑の刻参りの絵には牛が書かれていることも多く、7日の儀式の後、寝ている黒牛に遭遇するので、これを跨ぐことで呪いが成就するという説もあるくらいです。それに恐ろしい怪談の一つに「牛の首」があります、興味がある方はこちらもご覧ください。牛も意外に呪いに関係するのかもしれません。
藁人形に関する事件
呪いの儀式自体が罪になることはなくても、事件が起こり、その中で藁人形が用いられる事例があります。なぜ彼らは藁人形を用いたのか、どんな気持ちが込められていたのか、当事者ではないため推測することしか出来ません。ここでは事件の概略を述べるだけに留めたいと思います。
事件①小学生を標的にした脅迫事件
子供の遊ぶ声がうるさいと、怨嗟の言葉を公園のベンチ等に落書き、それがエスカレートして11カ所の公園、約30件という広い範囲への落書きが行われました。さらには女児の自転車にはサドルに脅迫文が、そして歩道橋にも脅迫文をつけた藁人形をつるす行動。この歩道橋の件が防犯カメラに記録されており、逮捕につながったという事件です。
事件②高校生による殺人事件
高校生が同級生を待ち伏せ、牛刀で殺害したという事件です。高校生は二本の牛刀を用意していたらしく、殺害現場には血がついていない牛刀も残っていました。そして、同じ現場に残された30センチの藁人形。過去に出した脅迫文もあり、憧れていた相手だとか、片思い相手だとか、憶測されてはいますが真実は不明です。
危険!?藁人形よりも強い呪術
呪いと藁人形の関係は、日本人にとっては馴染み深いものですが、呪いとはそれだけではありません。丑の刻参りとはまったく別の呪いもあります。言霊、怨霊、陰陽師、創作の物語でもよく用いられる数々の呪術、その一つについてご説明します。
宮古島に伝わる「ザア」
「ザア」とは呪いの儀式をもって女性が変化する化け物です。妖怪の一つとも数えられる「ザア」は、失恋した女性が相手の男を恨み、儀式を行って丑三つ時に自らを「ザア」と化す。「ザア」に恨まれた男性は病にかかり、やせ細って死ぬのだといいます。
呪いのビジネス
呪いとは必ずしも自分で行わなければならないものでもありません。感覚的には恨んでいる本人が行ったほうが効果がありそうに思えますが、古来から仕事として呪いを扱っている人々が存在するのも事実です。
呪術師
アフリカや中東の一部地域では今も呪術師という職業が存在します。呪うことが専門、というわけではなく、占いや民間医療の担い手として地域に根付いた仕事をしています。ただし、恐ろしい話が皆無でもありません。ポーションと呼ばれる薬の材料に、アルビノ(先天性白皮症)の体が使われるとして、材料に攫われる人が居るのだと聞きます。
代行業
日本にも呪いのビジネスが存在します。それが呪い代行です。見るからに怪しい呪い代行ですが、ネットで検索するだけでも意外に数が見つかります。ものが呪いなだけに詐欺の場合もあるようですが、詳しい記事を紹介しておきますので興味ある方はご覧になって下さい。
呪う相手はリスクを背負う価値はありますか?
呪いとは恐ろしいものです。それは呪う側であっても呪われる側であっても変わりありません。前項の「ザア」のように先に自分が人の身を失い、その後で相手を呪うようなリスクの高い方法、それが呪いの持つ側面なのです。それは、丑の刻参りのように、自分の身を損ねないように見える呪いでも変わりません。
人を呪わば穴二つ
呪いとは返ってくるものだと言われます。それが「人を呪わば穴二つ」、つまり人を呪う際には相手と自分、二つの墓穴が必要だという意味です。嫌いな人は誰も居ない、恨みなんて一つもない、そんな人間は居ないでしょう。しかし、その嫌う気持ち、恨む気持ちは自分の身を損ねてまで晴らす必要があるでしょうか。
自分がその場から離れるだけではダメ?
相手を呪いたくなるほど嫌う、そんなこともあると思います。それは呪い以外に逃れる手段はないのでしょうか、相手から距離を置く、縁を切る、酷い気持ちで相手と向き合っていくよりも、その相手に関わりのない所で生きて行く、そういう方法はありませんか。
呪いは救いか?
どんな方法もなく、呪い以外に選択肢がないのであれば、呪うことによって救われるのであれば、それでもいいのかもしれません。しかし、日本では呪いが罪ではないと判断されるほど、確実に効くものではありません。
藁人形は呪いの道具だけではない!
藁人形と丑の刻参りを始めとした呪いについて述べてきましたが、藁人形の使い道は呪いだけではありません。人の形を模した藁人形は、呪いを込めるだけではなく、人に降りかかる悪い物を代わりに引き受けてくれるありがたい物でもあるのです。
岩手県の白木野地域での風習
岩手県の白木野では毎年1月19日に「白木野人形送り」という厄払いのお祭りがあります。そこでは藁人形を地区境に置き、集落に災いが入り込まないように、にらみを利かせるというものです。ここでは藁人形が集落を守る役割を持っています。
開運などの儀式にも
小さな藁人形をアクセサリーとして身につけ、悪い物を代わりに引き受けてもらう。そんな身代わり人形としての役割も藁人形にはあります。藁人形が厄を肩代わりしてくれます。キーホルダーやストラップの形で売られているものが多いです。
インテリア?ただの人形として扱う
藁で出来ていても、人形は人形です。草で作られた感触は、畳や藁ぶき屋根といった日本の古い景色によく合います。その年の干支を巨大な藁人形で作る、そんなお祭りも日本には複数ありますし、個人で購入できる小さなものも販売されています。勿論、干支ではない、ただの藁人形を飾るのもダメなわけではありません。厄除けになるかもしれません。
呪うなら己自身も呪われる覚悟を決めよ
呪いとは恐ろしいものです、呪うならば、呪いが効かないことも、呪いが返ってくることも覚悟しなければなりません。それでも呪うのか、呪う以外に方法はないのか、よくよく考えることをお勧めします。呪いでは誰かを不幸にすることはあっても、幸福には出来ないのですから。
「牛の首」についての記事はこちら
呪うビジネス。呪い代行についての記事はこちら