犯人逮捕後、容疑者の父親は「気は弱いし、とても引っ込み思案の性格で、まさかこんなことをする息子とは思ってもみなかったので、わたしたちもびっくりしている」と話した。息子がこのような凄惨な事件を起こしていたとはつゆにも思わなかったようだ。
また、この父親は「廿日市市には、私も連れて行ったこともないし、関連性もない。広島でなんやかんやという話は聞いたことも、話したこともない。14年間このつかえが胸の中にあったと思うので、私が早く見つけてあげれれば、ここまでにならなかったのかもかなと思うと悔やまれてならない」と息子に対する配慮をしめしました。
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廿日市女子高生殺人事件の動機が明らかになるも不明な部分も
犯人の逮捕により、今まで推測の域を出なかった事件の動機が明らかになりました。しかしその犯行動機には疑問の残る点もいくつか存在していました。犯人と関連性のない広島県での凶行に及んだ理由は何だったのでしょうか。
廿日市女子高生殺人事件は通りすがりの犯行?
容疑者は、イライラがたまるとよく原付バイクに乗り遠出をしていたそうです。事件当日も、山口県宇部市からバイクで約3時間ほどの広島県廿日市市に来ていました。その前日に仕事をクビになったことでイライラがたまっていたそうです。
廿日市市にストレス解消に来ていた際に学校帰りの被害者を見かけ、そのまま後をつけて犯行に及んだ、つまり被害者を狙ったのは偶然であると容疑者は供述しています。ですが離れの2階というわかりにくい所で就寝中の被害者の元まで迷うことなく向かっていたこと、被害者を執拗に刺したことから、偶然であるというには疑問が残ります。
本当にわいせつ目的だったのか?
また、被害者を尾行したのは彼女がとてもかわいかったからだ、とも供述し、わいせつ目的で犯行に及んだことが分かりました。ですが殺害された被害者の衣服には乱れがなく、わいせつ目的にしては疑問が持たれます。本当の動機は別にあったのではないかとも考えられます。
廿日市女子高生殺人事件の犯人鹿嶋学の本当の動機は?余罪も?
容疑者が顔見知りでもない被害者を尾行してまで襲った動機がわいせつ目的だとしたら、なぜ彼女の衣服にはみだれがなかったのでしょうか。廿日市市もバイクで通りがかっただけで土地勘のない犯人がどうして彼女の部屋が母屋ではなく離れの、しかも2階だと分かったのでしょうか。
まだまだ疑問の残る犯人の証言と当時発生していた他の事件との関連性の有無から、警察に証言されていない本当の犯行動機や余罪を容疑者はいまだに隠し通しているのではないか、という説も存在しています。そのことについてご紹介します。
空き巣に家に被害者がいて殺害してしまった?
犯行当時、現場である廿日市周辺では空き巣被害が多発していました。犯人は、イライラがたまるとよく原付バイクにのって遠出をしていたことから、廿日市市にきたのが犯行当時が初めてではなく、その前から何度か廿日市市を訪れて強盗に入る家を物色していたのではないか、という説もあります。
余罪がある可能性も?
容疑者が実は空き巣に入るつもりで入った家にたまたま被害者がいて鉢合わせしてしまい殺してしまった、という話もあります。もし他にも同様に鉢合わせして殺害してしまったの余罪があるとすると、その事件の発覚を恐れて嘘の動機を語っていることもあるかもしれません。
鹿嶋学はサイコパスだった?
容疑者が偶然見つけた被害者を自宅まで尾行し、彼女とその祖母を10数か所刺し、その後に14年間新たに仕事に就き、日常生活を送っていたという点からも、容疑者はサイコパスでもあったのではないかとも言われています。数多くの犯罪や犯罪をモチーフにしたテレビなどにもよく登場するサイコパスとはどのような人物のことなのでしょうか。
サイコパスとは
サイコパスとは、心理学において反社会的なパーソナリティ障害をもつ精神病質者のことです。一般の人と比較してとても偏った考え方や行動を取ることで、対人コミュニケーションに影響を与えるパーソナリティー障害の一種です。
サイコパスの主な特徴としては、感情に異常があり他人を思いやることができない、自己中心的である、倫理や道徳観が存在しない、恐怖を感じないといったことがあります。サイコパスになる原因としては、先天的なものである脳の障害や後天的なものである虐待を受けた経験など、いくつか考えられていますが、定かではありません。
サイコパスの特徴
サイコパスの特徴として、見た目上のコミュニケーション能力が高かったり、自慢話を当然のように話したり、自分の間違いを認めなかったり、結果をすべてだと考えたり、人を意のままに操ろうとしたり、人に平然と嘘をついたり、スリルを求めて危険な行動に走ったりと様々です。
これら以外にも自己中心的なふるまいをしたり、人に共感ができなかったり、良心というものが欠如していたりなど、基本的に自分の利益のことしか考えず、他人の心情を推し量ることができない、ということからの行動を行いがちです。また、一度感情に火がついてしまうとそれを抑えることができません。
鹿嶋学の行動はサイコパスか
これらの特徴に当てはめてみると鹿嶋学容疑者はどうなのでしょうか。引っ込み思案で気が弱く、大人しい性格といわれている鹿嶋学容疑者は一見するとサイコパスの特徴には当てはまってないように見えます。
しかし鹿嶋学容疑者の同級生からの証言にあった鹿嶋学容疑者の暴力性、仲間が引いている中ただひとり楽しさをあらわにしながら動物を殺害している、という所にはサイコパスの片鱗が見られます。サイコパスに興味のある方はぜひこの記事もごらんになってください。
犯罪心理学から見てみる鹿嶋学
鹿嶋学容疑者はなぜこのような凶行に及んでしまったのか、どうにか気づいて止められるすべはないのかについて、犯罪心理学を用いて学術的に考察することで、これからの犯罪を少しは防ぐことができるのではないでしょうか。鹿嶋学容疑者の犯罪傾向とはどのようなものなのでしょうか。
犯罪心理学とは
犯罪心理学とは犯罪行為を行った人の背景にある心的要因を明らかにする心理学です。様々な人々が犯罪を犯し、その人々の数だけ性格は存在しますが、その性格の特徴を理解しているだけでも人が犯罪に走らないよう気を付けることができるでしょう。
性格の特徴として誘惑に負けやすい意志欠如型、調子のよい軽そう者、突然怒り出す爆発者、自己中心的な自己顕示者、後ろめたさを感じない情性欠如者、機嫌が変化しやすい気分易変者、自分に自信のない自信欠乏者。ほかにも、捨てられる不安をもつ境界性格障害、自分だけを愛する自己愛性格障害、人を信じられない妄想性人格障害などがあります。
鹿嶋学容疑者の傾向
犯罪心理学の系統によると、鹿嶋学容疑者はストレスをため込み発散できずに爆発した爆発者や、動物を殺しても後ろめたさを感じず、犯罪を犯しても14年間何事もなかったかのように逃げ続けたことから情性欠如者の系統にあたります。
これらの性格傾向から改心の方法として、ストレスの上手な発散の仕方を学び、刑務所の中で被害者の気持ちになって考えるということが挙げられます。これからの刑務所生活の中で鹿嶋学容疑者が改心してくれるといいのですが。
廿日市女子高生殺人事件被害者家族の現在
発生から14年の時を経て、ようやく解決するに至った廿日市女子高生殺人事件。ある日突然家族を奪われたその遺族の方々の悲しみはどれほどのものだったでしょうか、そして事件が解決したいま何を思っているのでしょうか。遺族の方が語った心境をご紹介させて頂きます。
娘に会えないことには変わりない
14年間警察とともに戦い続け、精力的な課外活動をも行っていた聡美さんの父親は、犯人が逮捕された報告を警察から受け、犯人逮捕当日の午後には廿日市警察署で会見を行い、心情を語りました。
その内容は「この日を迎えるまで、不安な気持ちがとても大きかったが、やっともやもやした気持ちが払拭(ふっしょく)された。事件が解決してよかったと思うが、娘と会えないことに変わりはない」とのこと。彼は鹿嶋容疑者が逮捕のされたとしても帰らぬ娘をおもって無念さをにじませました。
ブログを開設し思いを綴る
犯人が逮捕された際、聡美さんの父親は事件後に開設した自身のブログにて、娘さんへの思いをつづっています。彼は娘さんに胸の中で「事件が解決したよ」と伝えたそうです。14年もの歳月をかけ、ようやく報われるときがきました。
さらに「守る事が出来ないで、ごめんなさい」という想いの方が大きいし、これからも、その想いは持ち続けていくと綴り、そして新たな闘いに負けそうとかくじけそうになった時には娘の写真を見て、絶対に負けないように頑張っていくと述べています。
集会や講演で積極的に話をしている
現在も講演や集会など、積極的な活動を続けている聡美さんの父親。事件が解決した今も活動を続けているのには、自分のような思いをする人が一人でも減ってほしい、また同じような事件にあった人々と気持ちを共有したいという思いが感じられます。その活動により風化してしまう事件も減っていくことでしょう。
聡美さんの父親はブログで自身が所属している「宙の会」の会員の皆さんや広島県内に限ったとしても数多くの事件が今でも未解決のままとなっていることを述べ、残された家族の願いをかなえ、事件が早期解決するためにも関心をもってくれた多くの人に事件解決のご協力をしてくれるよう、強く願っています。
事件発生から14年目にして解決した廿日市女子高生殺人事件
何の罪もない女子高生が自宅に押し入った殺害され、犯人は14年間も逃亡し続けたこの事件。事件から14年と長い年月は経ってしまいましたが、やっと事件は解決に向かいました。犯人が逮捕されて少しでも被害者やその遺族の心が癒されることを願うばかりです。
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