アカマタクロマタは撮影禁止の訪問神!豊年祭・人魚伝説との関係は?

アカマタクロマタは沖縄の離島に伝わる豊穣の神です。7~8月に行われる豊年祭で、訪問神として島民の家を訪問します。訪問している様子を見ることは、島民以外禁止されています。また、島によって詳細が異なるアカマタクロマタについての伝承や謎を解説します。

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アカマタクロマタとは?

アカマタクロマタとは、とある沖縄の離島で信仰されている豊穣の神様の名称です。この2柱の神は離島で行われるある祭において島民の家を訪問して回りますが、その様子を見ることは島民以外禁止、写真や動画撮影も禁止されているという、謎の多い神々です。

アカマタクロマタの詳細

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とある沖縄の離島で信仰されている神であるアカマタクロマタですが、いったいどのような神様なのか、どの島で信仰されているのか、どんな姿をしているのか、など多数の疑問点が出てくるでしょう。そのうちいくつか判明していることについてご紹介していきます。

アカマタクロマタの詳細①豊年祭の来訪神

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アカマタクロマタはとある沖縄の離島で行われるある祭の間に島民の家を渡り歩く豊穣の来訪神であるといわれており、普段は島に存在していませんが、この祭の時期にのみ島に訪れ、島民に豊穣をもたらしてくれる神様であると考えられています。

アカマタクロマタの詳細②登場する島

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アカマタクロマタが祭られている島として最も有名なのは新城島という西表島から見て南東、石垣島から見て南西に位置する2つの島を合わせた島で、新城島の北東側の島を上地島といい、南西側の島を下地島といいます。この2つの島が合わさった新城島がアカマタクロマタが登場する舞台となります。

アカマタクロマタの詳細②その姿は門外不出

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アカマタクロマタの姿については次以降の見出しで詳しく説明しますが、アカマタクロマタの来訪する祭は写真や動画の撮影は厳禁のため、その姿は島民か、もしくは幸運にも祭りを見ることの出来た極一部の訪問者しかその神の姿を知らず、門外不出となっています。

アカマタクロマタはどんな姿のどんな神か

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とある沖縄の離島に1年に1度訪れて島民に恩恵をもたらしていると考えられているアカマタクロマタですが、島民や祭りを訪れた島民に関連のある人にのみ姿を見せるこの神はいったいどんな姿をしているのか、またこの神はどこから伝えられてきたのかについて説明していきます。

アカマタクロマタの姿は?あのポケモンに似ている?!

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アカマタクロマタの姿として言われているのは、全身が蔓草のようなもので覆われており、その歯はギザギザしていて髭が生えた姿。それぞれ赤と黒のお面をかぶり音楽にのせてこの沖縄にある離島を訪れます。その姿は神秘的かつやや不気味に人間の目にはうつるそうです。

その姿はまるでナッシー

とある人にはその姿が国民的大人気ゲームであるポケモンに登場するナッシーというヤシの木の姿に顔が3つあるキャラの顔を1つだけにしたような感じ、とも言われています。南国をイメージしたポケモンのシリーズにも首の長くなった姿で登場したナッシー。この祭に何か影響を受けたかもしれません。

アカマタクロマタはどんな神?どんな意味?

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アカマタクロマタは先ほども述べた通り沖縄にあるとある離島で行われているある祭にのみ現れる豊穣の訪問神であり、その名前は赤面であり女神の意味であるアカウムティと黒面であり男神の意味であるクロウムティを由来としています。実際の祭りにはこの2柱の神様に加えて2柱の子供が2人加わり、4柱の神が島を訪れています。

アカマタクロマタはニーロ神・ニライカナイに通じる神

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ニーロとはまるで底がわからないほどの深い穴という意味をもち、そこに存在すると考えられているニライカナイをさしています。ニライカナイとは沖縄にある伝承に存在している理想郷のことで、地や海の底か彼方に存在するとされていて、神の住まう場所であると伝えられており、アカマタクロマタはこの場所から島に訪れていると考えられています。

アカマタクロマタは南太平洋から伝わった説がある

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アカマタクロマタは周辺の島のどの神々と比べても違った特徴を持っていること、またこの神は南太平洋にあるとある島周辺の仮面神との類似した特徴を持っていることから、この神は沖縄周辺で生じたのではなく、南太平洋から伝来してきた神なのではないか、という説もあります。

ニライカナイに通じる琉球神道

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アカマタクロマタはとある離島独自の神なのに対し、沖縄にはこの神以外にニライカナイから来ているとされている神々を信仰する宗教が存在していて、その中でも琉球王国時代に国教とされていたのが琉球神道です。この宗教は現在も民間信仰とそのかたちを変えて受け継がれています。

琉球神道の考え方の元には太陽がある

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以前は国教であったでしたが、現在は形はほぼ滅んでしまっているこの宗教とは実際どのようなものであったのでしょうか。多くの研究者によって考えられることでわかったことは、この宗教の教え方の元には太陽が存在しているのだ、ということです。

琉球神道の最高神とされるティダ

この宗教でで最高神だと考えられている神様はティダという神様です。ティダというのは沖縄の方言で太陽を意味しています。この宗教では国家の最高権力者となる国王を、国の最も優れている神とされている太陽と重ね、その太陽がこの世に登場する東の方角のさらに彼方にあるのが、神さまの領域であるとして考えられていました。

神域の反対側は死の領域

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東の方角を神域としているこの宗教では、その反対に位置する西の方角を死の領域と考えました。そのことから、当時は風葬であった死者の埋葬などの死に関連することは、西側に位置している崖や洞窟で行われていました。また、西の方角には魔界が存在するなどという事も言われていました。

琉球神道で最も神聖な場所といわれているフボー御嶽

琉球の聖地の頂点とされている島なのが久高島です。さらにこの島の中央部に存在するフボー御嶽はこの宗教で最も神聖な場所であるといわれています。ここは太陽の穴そのものと伝えられ、昔から男子は絶対禁制で、現在にいたっては男女関係なく立ち入り禁止となっている聖地です。

琉球神道にもタブーは存在する

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琉球の聖地の頂点とされているこの島では、島に存在しているものを島の外にもち出すことはタブーとなっています。たとえなんであっても島の外に出してしまうと禁忌に触れてしまいます。以前に島のものを外に出したという人が存在しましたが、その人はすぐ体の様子がおかしくなってしまったようです。禁忌に触れぬよう決まり事は守りましょう。

琉球神道の神様はどこから来ているか

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この宗教において神がいる場所としてニライカナイ、そしてオボツカグラがあげられています。これらはどのような場所にあるのでしょうか。そしてどのような神様が存在しているのでしょうか。考えられていることを以下に述べていきます。

海の彼方に存在するニライカナイ

ニライカナイは地もしくは海の東の方角の彼方に存在しているとされていて、ここには離島に存在するアカマタクロマタのほかに庶民的な神々が多く住まう神域であると考えられています。八百万の神々のおおくがここに存在しているのかもしれません。

空の果てに存在するオボツカグラ

オボツカグラは天空のどこかにあると考えられていて、こちらはどちらかとゆうと国教だった時の宗教的な支配のために存在をつくられた神域と考えられ、ここには権力をもつ神々が存在しているとされていました。王家の権威をつけるための役割が大きかったと考えられます。

琉球神道の様々な神様

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この宗教は多神教であり、その信仰とされる神々は日本神道と同様に八百万ほどの神が存在するとされています。その神様の種類をざっくりと分けてみると、異界の神様とされている来訪神、子孫を守る守護神、巫女信仰と関連しているヲナリ神の3つとなります。

異界の神様である来訪神

アカマタクロマタと同じく普段は人里がある場所とは異なるところにある異界に存在しており、祭などをきっかけとしてこの地に降りてくる神様のことを言います。この神々は独自の神であることも多く、多種多様の神が来訪神として存在しています。

子孫を代々守ってくれる守護神

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島の出身者がお亡くなりになる際に霊となり、これからの子孫の守り神となるのが守護神です。お亡くなりになったこの霊は7代の時間をかけて東の方角の彼方にに存在すると考えられているニライカナイへと移動し、そこで守護神として生まれ変わることとなります。守護神になりその子孫を守っていくのです。

巫女信仰と関連をもつヲナリ神

ヲナリ神とは沖縄の方言により姉妹の意味をもつウナイのことをさしています。ヲナリ神は兄弟の守護神であるといわれていて、沖縄本島においてはすべての女性には神様に通じることにできる力が存在すると伝えられていて、兄弟をもっている女性はだれでもヲナリ神であることとなり、このことは巫女信仰につながっていきます。

来訪神は仮面を持っている?日本に伝わる神々とは

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アカマタクロマタ以外にも日本には数多くの来訪神が存在しています。その多くが仮面をつけていたり仮装をしたりしていて、そのうちのいくつかの神々は何とユネスコの無形文化遺産にまで登録されています。世界が注目する日本のユーモアあふれる来訪神とはどのようなものなのでしょうか。

平成28年に神々がユネスコの無形文化遺産に登録されるよう申請

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いくつかの来訪神がユネスコの無形文化遺産に登録された経緯として、まず全国の来訪神の行事のうち10件をグループとしたのちに平成28年度にユネスコの無形文化遺産への登録申請を行っていましたが、この年は各国からの申請件数も多くその審議は1年先送りとなっていました。その後1年越しの平成29年に再提案ののちに登録となったのです。

登録された神々は合計で十神

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グルーブ化された神々は以下の十神で、それぞれ個性のある地元では有名な来訪神たちです。この神々がユネスコの無形文化遺産に登録されたことで、この神達は各地の活性化に一役買っていくことでしょう。

鹿児島県薩摩川内市のトシドン

甑島のトシドンと呼ばれ正月に行われる行事に現れる来訪神となっています。この神は大みそかの夜にこの神が山の上に降り立って、そののちに首のない馬にこの神が乗って人里に現れ、家々を巡り歩き新年を祝福するという祭が行われています。

秋田県男鹿市のナマハゲ

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ナマハゲは日本人であれば聞いたことがあるというぐらいに有名な来訪神です。いろいろなものの題材にも使用され、国民に親しまれています。この神の訪問時期は大みそかの晩。トシドンと同じく家々を巡り歩き新年を祝福して回ります。

石川県輪島市のアマメハギ

この神は能登のアマメハギまたはメンサマとも呼ばれ、石川県の輪島市と能登町で親しまれている神です。正月か、あるいは節分の時期に行われる行事の際に人里に現れ、新春の祝福を行うかにとして地元では有名な来訪神となっています。

沖縄県宮古島市のパーントゥ

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パーントゥはこれより下の奇祭の欄で詳細に述べるが、沖縄県の宮古島市に来訪する神です。季節の変わり目に人里に現れ、災厄をはらって無病息災を祈ってくれますが、その方法が独特すぎるために、奇祭として有名になっています。

山形県遊佐町の小正月行事 アマハゲ

行う時期を変えながらも現在まで受け継がれてきた来訪神がこのアマハゲです。この神様は以前は旧暦での小正月に当たる1月15日に人里を訪れていましたが、現在は正月の中の特定の時期の夜に人里を訪れているとされています。

宮城県登米市の水かぶり

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この行事は米川の水かぶりと呼ばれ、宮城県の登米市に代々伝わっているとされている行事です。2月ごろに行われていり、しめ縄とかぶり物を身に着けた奇妙な姿の人々が火災にならないようにを願って周辺の家に水を掛けつつ神社や寺を訪れます。

佐賀県佐賀市のカセドリ

佐賀県佐賀市に伝わる行事で見鳥のカセドリと呼ばれ初春に行われています。以前はアマハゲと同様に旧歴の小正月に当たる日に行われていましたが、現在は変更されて2月の第二土曜日に行われ、カセドリが家々をねり歩き新年を祝福してまわります。

岩手県大船渡市のスネカ

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吉浜のスネカと呼ばれるこの神様は岩手県大船渡市に伝承される正月に行われる行事の際に現れます。旧暦の小正月の夜になるとスネカと呼ばれるこの神が山からおりてきて人里に現れ、その地の家々をねり歩きながら春の到来を祝福して回ります。

鹿児島県三島村のメンドン

この神様は鹿児島県の三島村にある硫黄島に伝わる季節の節目となる時にに行われる行事に現れる神さまです。薩摩硫黄島のメンドンと呼ばれ、毎年の行事日となっている 夏のある日にこの神が現れて地域自体、そしてそこに住む人々の邪気を祓ってくれます。

鹿児島県十島村のボゼ

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この神は悪石島のボゼと呼ばれ、毎年お盆の最終日に人里を訪れ、地域の人々に溜まっている邪気を追い払ってくれるという来訪神です。地域の人々の間ではお盆の恒例行事にやってきてくれる神として、とても大切にされています。

アカマタクロマタが現れる豊年祭とは?

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実際にこの神を見ることのできる唯一の機会として、1年に1度のみ開催されている豊年祭があります。門外不出であるこの神と関連している豊年祭は謎の多い祭として多くの人々の関心を集めていますが、この祭になんかできる人は島民か、もしくは島民と関連のある人に限られています。いったいどのような祭なのでしょうか。

アカマタクロマタが登場の豊年祭①7~8月に3日かけて開催される

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アカマタクロマタがとある離島に来訪する1年に一度だけの機会であるこの祭りは7月から8月にかけて合計日数3日間をかけて行われる祭であり、その詳細な日程については島民にしか知らされておらず、この祭の参加者も島民とその関係者約400名ほどに限られています。

アカマタクロマタが登場の豊年祭②祭の時期は準備期間含め立ち入り禁止

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この祭の開催地である新城島の上地島では観光ツアーなども数多く行われていますが、この祭の開催期間が近づいてくると観光ツアーであっても島に上陸することも海岸に近づくことも禁止となってしまいます。まさに島民のために行われている謎めいた祭なのです。

アカマタクロマタが登場の豊年祭③録音・撮影・スケッチ厳禁

この祭の特徴として有名になっているのが録音、撮影、スケッチなどの姿を保存する行為の一切の禁止という事です。島のいたるところに注意事項の看板が設置されており、撮影禁止を徹底している様子が見られます。このことがよりこの祭を謎めいたものにしています。

アカマタクロマタが登場の豊年祭④夜間は島民以外立ち入り禁止

アカマタクロマタは祭の際にこの離島に来訪し、夜になると明かりを消して神様を迎える準備の整った島民の家を回りだします。そこから先は島民以外立ち入り禁止となっており、家を回る順番ももちろん公開されておらず、あとをついて行ってもおつきの人々に止められることになります。

禁じられた地というのは駄目だというのがわかっていてもつい行ってしまいたくなりますが、島民と神様のことも考えて行動しましょう。他の禁じられた地について興味のある方はこちらもぜひご覧ください。

アカマタクロマタを撮影してはいけない理由とは?

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アカマタクロマタがとある離島にのみ伝わる謎めいた神様として多くの人々の関心を集めた理由として、その姿が撮影禁止という規則から伝わっていないという事があげられます。なぜ撮影は禁忌となっているのか、その理由としては色々と考えられますが、そのうち伝えられているのが以下のことです。

アカマタクロマタが撮影禁止の理由①島民談「昔から決まっている」

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島民の話では昔から代々この方式でやってきたことであるし、昔からこうだと決まっていることなので今更なにか言われたからと言って撮影を解禁する意味が分からない、という考えだそうです。過去に琉球王国から禁止されても続けて来た背景もあり、外部の人間に敏感になっているようです。

アカマタクロマタが撮影禁止の理由②神秘性を守るため?

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この神様の撮影が禁止される理由として、神事であるアカマタクロマタの訪問はみだりに人前に出すものではないという考え方から来ています。この1年に一度だけその姿が見られることで神秘性が上がっています。また、とても大事な神事ですし、外部の人間に介入されることを忌避するのが当たり前なのかもしれません。

アカマタクロマタが撮影禁止の理由③祭りの意味を保つため?

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