ねぎの花にもアゲハが飛んできますがヤブガラシやネギは小さな花が集まって咲いており、口吻の短いアゲハが好むのです。口吻の短いアゲハチョウは大きな花の蜜を吸うことができません。虫は羽化してから1~2週間しか生きられませんがその間にたくさんの花の蜜を吸うのです。
成虫は口吻と呼ばれる口を伸ばして花の蜜を吸います。口吻には細かい毛が生えていて蜜の味を知ることができます。口吻の長さはアゲハチョウによって違っています、モンキアゲハは約40mm、ナミアゲハは約22mm、アオスジアゲハは約12mmと同じアゲハの仲間でも、長さが違うことで吸える花の種類も違ってきているのです。
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アゲハチョウの幼虫の入手方法
さてアゲハチョウを幼虫や卵から飼育するにはどうすればよいでしょうか?どこに行けば手に入れることができるでしょうか?それは意外と簡単に見つかるかもしれません。次は幼虫を獲得するやりかたのご紹介となります。
食草、食樹を調べ探す
アゲハチョウを含むチョウ類の幼虫たちはとても食べ物が偏っていてで特定の草や木の葉しか食べません。食草や食樹といいます。食草や食樹には成虫が産卵した卵がついていたり、幼虫がついていることがあるのです。これらの食草や食樹を探してみるのもよいでしょう。
若い新芽に生んでいることが多いですが、暑い夏は葉の茂った下の方にいることもあります。幼虫がいれば葉をかじった跡があります。家庭にある木などに卵を産んだときは木にネットをかけて逃げないようにしましょう。また幼虫を飼育ケースに移すときは筆などを使うと良いです。
花屋に相談してみる
卵を入手する一つの手として花屋さんに相談してみるのも一つの手です。花屋さんに入荷する苗などにはアゲハチョウの卵がついていることが稀にあります。幼虫になると葉を食い荒らすので嫌がられるので、あらかじめお願いしておき卵のついた苗を購入しても良いでしょう。
オンラインショップで飼育セットを購入する
飼育セットが通販で購入することができますので、購入するのも良いでしょう。アゲハチョウの卵や食草(アゲハ草)などがセットになっており、すぐ飼育を始めることができます。近くに食草や食樹が無い場合とか庭やベランダが無い場合には手軽に始められる方法です。
アゲハチョウ幼虫の飼育前に用意するもの
アゲハチョウを育てるにはどのようなものを準備しておけばよいでしょうか?卵や幼虫を手に入れてから慌てないように事前に準備しておきましょう。飼育に必要なものを選ぶ際の注意点などもご紹介していきます。
飼育ケース
ホームセンターなどで売っているプラスチック製の小魚や昆虫などの飼育用ケースを準備しましょう。上面は網目になったふたのついているものが良いでしょう。ただしそこがアミになっているものは幼虫のフンがこぼれてしまいますので避けた方がよいかもしれません。
餌用の食草と割り箸や木の棒
餌用の食草を必要な量準備しましょう。ナミアゲハの場合にはミカンや山椒の葉を枝ごと与えておけば良いでしょう。餌の量ですが4齢までは一日葉っぱ10枚くらい、4齢を超えると50枚くらい必要です。カゴの中が葉っぱでいっぱいになるくらい入れておいても良いでしょう。
アゲハチョウは羽化するときに木につかまって羽を乾かしていきます。羽化の際につかまる木の棒を準備しましょう。割り箸でもいいです。羽化の際に木から落ちてしまうとハネがうまく広がらなくなります。
ティッシュペーパー
ティッシュペーパーを準備しましょう。キッチンペーパーでもいいですが新聞紙などでも代用できます。飼育ケースに入れて使用しますが目的は飼育中の中の余分な水分を吸着し、飼育ケースの中の湿度を保つためです。結露の発生などで幼虫が病気になってしまうことがあります。飼育用ケースの底に敷いて使用しましょう。
筆
アゲハチョウの幼虫を移し替えるときにあると便利です。手で触ると幼虫が弱ったり、小さいときにはつぶしてしまうかもしれません。大きくなった幼虫には必要ないので小さな筆があれば十分です。
アゲハチョウの幼虫飼育時の様子①孵化から5齢
アゲハチョウ(ナミアゲハ)の幼虫飼育時の様子を写真や動画でご紹介します。まず卵の孵化から5齢幼虫までの成長の様子ですが見た目も大きさもとても大きく変化します。まるで同じ種類ではないかのような幼虫の変化はとても興味深いものです。
孵化~4齢はまるで鳥のフン
ナミアゲハは成虫が卵を産んでから5日~7日で生まれてきます。孵化した状態の幼虫の外見は全体に黒っぽく白い大きなスジが入っています。鳥のフンにそっくりです。鳥のフンに擬態することで鳥に捕食されるのを防いでいると言われています。その後3回脱皮をし4齢までは同じ外見です。4齢まで2~3週間です。孵化の動画をご覧ください。
ナミアゲハの幼虫は孵化した後に自分の生まれてきた卵のカラを食べてしまいます。生まれたばかりの幼虫はとても小さく体長は1~2㎜程度ですが、これから食草を食べて脱皮を繰り返し短い期間に5cmの幼虫に成長します。
5齢からは色鮮やかに変化し食欲も旺盛
ナミアゲハの幼虫は脱皮をして5齢になっていくと緑色に変化します。とても鮮やかです。体長も5cmほどになり食欲も旺盛です。食草を切らさないようにしましょう。蛹になる準備をしているのです。5齢で2週間から3週間過ごします。5齢幼虫が脱皮する様子の動画を見てください。
元々黒地に白い模様のあった4齢ですが5齢幼虫は緑色です。ただし脱皮した直後は、体色は薄く茶色に見える部分もあります。時間がたつと色鮮やかな緑色に徐々に変わっていくのです。目のように見える特徴的な模様も見ることができます。
稀に6齢や7齢になる幼虫もいる
ナミアゲハは孵化してから5齢幼虫になったあと次のステップとなる蛹に変化します。ところが中にはさらに脱皮を繰り返す個体もいます。過齢幼虫というのですが理由は良くわかっていません。なにか成長過程でエサ不足などの問題があると過齢幼虫になるという説もあります。
アゲハチョウの幼虫のからだ
アゲハチョウの幼虫の頭には固い毛があり、大あごや吐糸口と言う糸を吐く口があります。大きな目に見える模様は眼状もんと呼び幼虫はlここを膨らませて敵を驚かします。本当の目は頭に左右6個ずつありますがほとんど見えません。
体は頭から、前胸、中胸、後胸、第1腹節から第10腹節まであります。足は吸盤のような腹部のあしと成虫の足に相当するむねの足とがあります。また前胸と第1~第8腹節には気門とよばれる呼吸する穴があります。
幼虫にはたくさんの敵がいます。アゲハヒメバチやカマキリです。アシナガバチや鳥なども幼虫たちの敵です。幼虫は臭角や眼状紋などで威嚇しますが必ず身を守れるものではありません。幼虫たちの多くは蛹にさえなれないのです。
アゲハチョウの幼虫飼育時の様子②蛹から羽化
ナミアゲハの幼虫が5齢から蛹そして羽化してアゲハチョウになるまでどのように変化していくかをご紹介します。アゲハチョウなど昆虫などが幼虫から蛹そしてチョウへと変化していく様子を完全変態(メタモルフォーシス)と呼んでいます。
アゲハチョウの幼虫の蛹
アゲハチョウの蛹は緑色のものと茶褐色のものとの2種類があることが知られています。周りの状況に合わせて蛹の色を変化させ保護色となるようにしているのです。蛹の時は全く動けないので鳥などから捕食されないようにするためだと考えられています。ナミアゲハが蛹になる動画をご紹介します。
10日から2週間程度がナミアゲハの蛹の期間ですが、これは夏型と秋型のナミアゲハの場合です。春型のナミアゲハの場合には蛹の状態で長い冬を約5ケ月間過ごすことになります。(越冬蛹と呼ばれています)蛹になる前は体内の水分を出すためにフンが水分を多く含むようになります。
アゲハチョウの羽化
ナミアゲハは羽化直前には蛹がだんだん黒ずんできます。そしてハネの模様が外側から透けて見えてくるので、そろそろ羽化するのだということがわかります。蛹の上部が割れ成虫が出てくるのですがとても短い時間なので羽化を見るには注意が必要です。羽化の動画をご紹介します。
ナミアゲハの完全変態(メタモルフォーシス)の最終段階です。羽化する時間は様々で特定することが難しくなっています。じっと見ていても少し目を離していたら、羽化がが完了してしまい、もうチョウが飛んでいたということもしばしばです。成虫は1~2週間過ごします。
アゲハチョウにもいろいろな性格がある
ナミアゲハを触ったりすると、頭の後ろの方から黄色いツノのようなものを出します。臭角や肉角と呼ばれるもので、少しいやなにおいを発します。ただし触ったりしてもすぐに臭角をだすものとのんびりとして出さないものがいます。性格なのかよくわかりませんが面白い習性です。
アゲハチョウが産卵時に食草を見分けている方法
アゲハチョウのメスは食草や食樹といった幼虫が食べられる植物にしか産卵しません。メスが本来と異なる植物に産卵してしまうと、その種は途絶えてしまうでしょう。ではアゲハチョウはどのように産卵する植物を選んでいるのでしょうか?
アゲハチョウもドラミングする
アゲハチョウのメスは、産卵する植物を選ぶ際に葉の表面を前脚でコンコンとたたいてその葉が産卵するべき植物かどうか調べます。これは「ドラミング」と呼ばれています。その時に植物が持つ特有の味のようなもの(フラボノイドやアミノ酸)を感じ取っているのです。
蛹からの羽化は一瞬の出来事、見逃さないように!
アゲハチョウの種類や生育場所、成長の様子、飼育方法などご紹介してきました。育てるのはとても楽しく神秘的な体験です。羽化はその集大成ともいえる場面です。でも羽化の時はとても短く予測が難しいものです。見逃さないように、アゲハチョウの飼育を楽しみましょう。
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