控訴の取り下げは無効となりましたが、高等裁判所は地方裁判所の判決を支持しています。その後上告をしますが最高裁判所は上告を棄却したため藤間静波の死刑が2004年に確定しています。死刑確定から3年後の2007年に47歳で死刑が執行されています。
Contents
独居房で13年目。死を待つだけの藤間静波の姿
同じ拘置所で獄中生活を送っていた人の藤間静波の印象や体験談などを紹介していきます。また、家族の中では唯一母親のみが面会に訪れていたとされていますが、小学4年生の時から愛情を向けず見捨てていた母親がなぜ面会に来ていたのかなどを考察していきます。
母親だけは面会に来ていた
藤間静波は独居房で26年間過ごしています。家族の中では母親だけが頻繁ではないにしろたまに面会に訪れ差し入れもしていたそうです。小学4年生の時に妹が産まれたのを機に愛情を注がなくなったり、少年院から退院した後に受け入れを拒否するなどしていたにも関わらず面会に訪れています。
母親がなぜ面会に訪れたり差し入れをしていたかの真相は不明ですが、5人もの人間を殺害してしまった息子に対し自分の育て方や息子を拒絶したことにより事件は起きてしまったのではないかと自責の念に駆られての行動だったのではと推察します。
台車を杖替わりに歩く変わり果てた姿
拘置所内での藤間静波の姿を見た囚人は、彼は台車を杖のようにして使わなければいけないほどやつれていたと話しています。長い期間の独居房での生活で歩くことも大変になりまだ若い年代にもかからず支えがなければ歩けないようになっていたそうです。
藤間静波の死刑執行から法務省は死刑執行公表の方針を転換
藤間静波の死刑執行から法務省は死刑執行の公表の方針を変更しています。今までは、死刑囚の家族及び現在服役中の死刑囚に配慮して氏名や罪状などは公表されていませんでしたが、2007年の死刑執行の際から死刑囚の氏名と罪状を公表するようになりました。藤間静波と同時に死刑が執行されたのは他に2人いますが全員公表されています。
今までは、死刑が執行されている事実すら世間には知られていませんでした。死刑囚の死刑執行の発表や氏名等の公表するように体制を変更したのは、死刑の執行が適切に行われていることを世間に知ってもらうことと死刑制度への国民の理解を求めることが狙いではないかと言われています。
藤間静波に関する書籍
藤間静波に関する書籍に静波の家という書籍があります。大きな事件であったにも関わらず書籍は確認したところこの本のみでありあまり大々的には知られていない事件のようで、貴重な事件記録の本となっています。
- 著者;遠藤充
- 刊行;1988年9月
- 出版社;講談社
- 概要;卒業文集で「ぼくのことを忘れない」と書き綴っていた少年が、数年後五人の男女を殺す殺人犯となってしいます。家庭と教育の場での葛藤やその間、何が起きていたのか窃盗などの犯罪を繰り返し親から見捨てられ、愛情と憎悪にゆれる少年の心は、どこでが間違ってしまったのかなどが描かれています。この本は、現代社会の家族の生き方を問いている本です。
藤間静波が警察で受けたポリグラフってどんなの?
藤間静波は仲間Aを殺害したときに別件で逮捕されていますが、ポリグラフ検査で仲間Aの殺害に関してはシロと判断されています。実際には仲間Aを殺害しているにも関わらずシロとなったポリグラフとはどのような検査なのでしょうか。検査の方法や正確性について紹介していきます。
そもそもポリグラフ検査って何?
ポリグラフ検査はウソ発見器だと思われている方がいらっしゃいますが、嘘をついているかを調べる検査ではなく、真犯人しかしらない犯罪の証拠などを知っているかどうかを検査するものになります。
検査の方法
例えば、犯罪に使われた凶器がレンガだったとします。マスコミには公表していないため凶器がレンガと知っているのは真犯人と警察関係者のみになります。容疑者として浮上した人物に順番に凶器の質問をしていきます。凶器と似たようなものを対象にして質問をします。
この時記録するのは生理反応を記録します。質問に対してはすべて「いいえ」で答えてもらいレンガの質問に対して容疑者が生理反応を示せばその人物は真犯人である可能性が高いという判定になります。
示す反応を確認するもの
ポリグラフ検査は、質問に対する答えはいいえでけでなく「はい」や「答えない」など色々な回答方法がありますが、すべてに対して先ほどたとえた凶器のレンガについては反応を示します。どのような回答をしてもらっても同じレンガについて集中して反応が出ます。
この反応の違いが事実を知っているかを確認することができるため、捜査の手がかりとなることがあります。事実に関連した内容だと本人が認識するから反応が生じると考えられていることから、ポリグラフ検査は一種の記憶の捜査として使われています。
愛情から憎悪に変わることが多いストーカー
現在では迷惑行為によるこの言葉は頻繁に出てきますし、ストーカーに関する規制もかなり厳しくなっていますが事件当時はまだストーカーという言葉もストーカーに対する法律もありませんでした。よく耳にするストーカーの特徴とはどんなものがあるのでしょうか。ストーカー規制法発足のきっかけとなった事件に関する記事はこちらになります。
ストーカーの特徴・共通点
ストーカーが起こした事件と聞くと男性のストーカーが多い印象を受けますが、男性に限ったことではありませんので、もちろん女性の方もストーカーになり得る人はいます。男性と女性ではストーカーの気質の特徴が異なっていますので、それぞれで紹介していきます。
男性のストーカー気質の特徴
- 自分勝手な上に強引;恋人や友人が自分の思い通りにいかないと突然怒り出したりします。別れ話などをしたりすると急に暴力的になる行動をすることもあります。自分の思うように人を動かそうとしている男性には注意です。
- 嫉妬深い;特徴として一番多く言われているのは束縛が激しく嫉妬深いところです。交際前から自分以外の男性との関わりを断ち切らせたり、遊びに行くときに誰と何処で飲んでいるのかなどを聞いてくることがあります。交際が始まれば女友達と遊びに行くことにも制限を始めます。
- 周囲の人の気持ちに鈍感;無神経な言葉を発したり行動を行うなど、ストーカー気質の男性には相手の考えや気持ちを推察する能力が乏しいと言われています。相手の気持ちを考えられず固執したり粘着質な行動をとるのは周囲の気持ちに無関心であるからだと推測されています。
- 連絡がマメすぎる;あまりも連絡する回数が多すぎるのは注意が必要です。ただ単にマメな性格ということもありますが常に連絡を取り合ってないと安心できない人ということもあります。後者の人の特徴として、返信の遅さや電話に出なかったことで激怒したり攻撃的になることがあります。
女性のストーカー気質の特徴
- 嫉妬が激しすぎる;少しの嫉妬であれば男性からすれば可愛いとみられる部分ですが、SNSなどを頻繁に確認したり相手の1日の行動を把握するようになります。相手を束縛しないと不安でしょうがない人も嫉妬からくる不安となりますので相手を信用することが大切です。
- 恋愛が自分の世界の中心;恋愛至上主義の人は相手を想う気持ちが強すぎるために、ストーカーとのような行動に出てしまうことがあります。好きな相手のことを一日中考えてしまったりするのは恋愛に依存していることになります。恋愛に依存しすぎると重たい女性となってしまうので注意です。
- 自身がもてない;自分に自信が持てないために相手のことを試すような行動をとってしまったり、相手の反応を伺ったりして相手の中にある自分の存在を確認してしまうことです。自分に自信がないことが相手に依存してしまう性格の方は依存の仕方がストーカーのようになってしまいます。
- 妄想が強い;相手と少しの時間連絡が取れないだけで、「浮気をしているのでは」「女性と飲んでいるのでは」と悪いほうへの妄想が広がってしまう人は、真相を突き止めるために相手の行動を確認したり家や会社で待っていたりしてしまう傾向があることからストーカー気質となります。
- いつまでも引きずる;元カレのことをいつまでも引きずってしまったりすると、ストーカーのようになってしまうことがあります。つらい思いをしても前を向いて進んでいけるような心を持つことが大切です。
ストーカー気質の可能性がある男性の対処法
ほんの少しでもストーカー気質かもという男性に好意を持たれていると感じたら、早めに対処することが大切です。大きな事件となってしまってからでは遅いこともありますので、少しでも違和感を感じたら早めの行動をお勧めします。
深入りしすぎない
深入りしすぎるとによりストーカー気質のある男性は粘着質に固執してしまうことが多々あるとされているので、最初から深入りしすぎないようにある程度の距離を置いておくことを心がけましょう。付き合うまではないにしろ相手に自分のことが好きなのではと思わせるような行動は控えましょう。
連絡を極力減らす
LINEやメールなど、気軽にメッセージを交換できるツールが豊富になりましたが、連絡頻度には注意がです。頻繁にやり取りをするだけで、好意を抱かれるきっかけになってしまうこともありますので、極力接点をもたないようにすることが必要です。
家族や友達に相談する
少しでも相手に違和感を感じたら家族や友人に相談しましょう。第三者の目から客観的に相手を見てくれるので改めて自分冷静になることができます。相手との間に入ってくれたり、手助けをしてくれることがありますので一人で抱え込むような事をせず、信頼できる周りの人に助けを求めましょう。
愛情が真逆の感情になることも
相手のことが好き好きでしまうが故にストーカーになってしまうのですが、危険なストーカーになってしまう人にはいくつかのタイプに分かれます。ネットなどで簡単に情報が洩れてします時代になっていますので、危険なストーカーのタイプを把握しておくことも自分を守るうえで大切なことになります。
拒絶型
まずは、ストーカーの中で最も多く存在しているとされるのが拒絶型のタイプだと言われています。元カノや元カレなどに拒絶されても執拗に復縁を迫る形です。初めのころは復縁を何度も頼むぐらいですが相手から拒絶され続けると突然攻撃型へ変貌することがあります。
相手に対する執着心と、思い通りにいかない苛立ち・受け入れてもらえないことにプライドが傷つけられ、自分が被害者だと考えだしてしまうことから復讐の方向に思考が移動していきます。暴力に訴えるタイプが多いのが拒絶型の特徴です。
憎悪型
相手に好意がってストーカーをするのではなく、恐怖などを与えることを目的としているのが憎悪型のタイプです。恋愛の相手が対象となるわけではなく、些細なことから被害者意識が芽生え仕返しを考えるのが特徴的です。挨拶を無視されたや冷たくされたなど勘違いや思い違いなどから発端となることが多いようです。
些細なことがきっかけとなるため、対象は特に決まっているわけではありません。相手を苦しめたり追い込んだりすること、見ることで自分の日頃のストレスや不満などを発散させる傾向にあります。
無資格型
相手の気持ちを汲み取ることができない、人格障害など精神的な問題が原因ではと言われているのが無資格型となります。相手が嫌がっても最大限拒否をしても気にせずに自分の考えだけで行動することが特徴であり問題点となっています。
自分の妄想が広がり相手との関係を冷静に見ることができないとされ、ストーカー行為をすることに罪悪感を持っていないと言われています。自分の欲求に答えるのが当たり前だという自己中心的なタイプでアイドルの追っかけや有名人への執拗なストーカーはこの無資格型が多いと推察されています。
親密希救型
恋愛妄想を抱くことが多く、相手が自分のことを知っているか・どう思っているかは親密救型にとっては問題ではありません。一方的に気持ちを押し付け妄想を拡大させ相思相愛となることが目的として行動します。
孤独感を持っている人が多いタイプとされ、自分の味方・自分を救ってくれるのはこの人だけだと思い込み包み込んでくれることを望む傾向にあります。精神的に成長できていなく、自分の孤独から目を背けるためにストーカー行為を行ってしまう人も多いそうです。
幼少期の両親からの愛情は必要不可欠!?
幼少期に、親の愛情を受けることができずに育った人は本来当たり前のように感じる愛情をしらずに成長するため、犯罪に手を染めてしまう傾向があると推測されています。ここでは、親からの愛情不足が原因で事件を起こしてしまったとされる事件についていくつか紹介していきます。
神戸児童連続殺傷事件
別名酒鬼薔薇聖斗事件と呼ばれているこの事件は、小学生の男児の首が中学校の校門前に置かれていた凄惨な事件になります。この事件の犯人は当時中学生の少年でしたが、この少年も幼少期から親の愛情などを感じることができなかったと語っています。
両親からの愛情を受けることができなかった少年は、生き物にたいして可愛がったり愛したりと命に関する感情が欠落してしまっていたのではと推測されており、両親・犯人の少年共に事件後に手記を出版するなどしています。
新潟少女監禁事件
新潟県で起きたこの監禁事件は9年間もの間少女を監禁していた事件になります。当初マスコミの報道では、甘やかされて育ったと言われていましたが、物を買ってもらう変わりに家族団らんなどの輪の中に入ることはできなかったと裁判で語っています。
家族団らんの輪に入ることができず、家族が自分のことを気に留めてくれなかったことから愛情に飢えており、そのため自分の存在を確かめるかのように9年もの間少女を監禁し自分の存在意義を確認していたのではとの見解があります。
大阪児童殺傷事件
池田小学校に男性が乱入し、児童や教師を次々切りつけて殺傷した事件になります。この犯人の両親もまた、冷たい親であったと言われています。物心がつく前から父親に厳しく叱責されたり殴打されるなどの環境で育ったため、自分より弱く劣ると判断したものに対してはひどく攻撃的になったと言われています。
この事件の犯人は、「自分の学力が劣っているのは頭の良い人間に産んでくれなかった両親が悪い」との言葉を残しており幼少期から反社会的な行動を起こす人物だったようです。逮捕歴も15回と非常に多く幼少期からの親の虐待のような教育が愛情という感情を欠落させたのではと考察されています。
新幹線殺傷事件
2018年に起きた新幹線内で突然近くにいた乗客を切りつけた事件になります。止めに入った男性が亡くなるというとても痛ましい事件です。この事件の犯人の叔父が、親子関係は非常に悪く祖母と養子縁組をしていたと語っています。
この事件の犯人の考え方は、自己中心的な自分勝手な考え方を持っていたと叔父は話しています。アスペルガー症候群と診断されたことがあり障がい者だから障がい者手帳をもらって生活していくと話していたそうです。両親も犯人である息子には無関心で愛情を持っていなかったと言われています。
17歳の少年祖父母殺害事件
2014年に起きた事件になり、当時17歳の少年が祖父母を殺害してカード等を盗んだ強盗殺人事件です。少年は幼少期から母親と義父に身体的・性的虐待を受けていたと言われています。学校にも通わせもらえなかった時期もあり野宿を強要されたりしたなど、ネグレクトの傾向もありました。
母親は働こうとせず、何とか生活費を工面しながら年の離れた妹の面倒を必死に見てきた少年ですが、ついには自分の祖父母を殺害してしまうという事件を起こしてしまいます。幼少期にネグレクトなどにより愛情を受けることができずまた愛情を受けていないのに母親の代わりに家庭を支えていたがついに爆発してしまったと語っています。
幼少期に必要なのは厳しい躾や罰ではなく深い愛情
特に幼少期の親からの愛情不足は、自分は甘えたいのに甘えさせてもらえないなど、子どもが本来必然的に注がれているであろう感情を受け取ることができません。愛されている時間を持たずに成長してきた人・親は愛情を注いでいるつもりでも本人は愛されていると実感がなく成長した人は、心にハンデがあります。
犯罪に歯止めを効かせる幼少期の親の接し方の方法としては、厳しい罰を与え抑制することではなく深い愛情で子供と接して見守ることが必要不可欠ではと言われています。愛情の欠落によって他人に対する感情を持たない人間に成長してしまうよりは愛情を持ち相手のことを思いやる人間に成長するようにすることがこれからの家族の課題になります。
干渉しすぎると裏目になることも
確かに深い愛情を注ぐことは大切なことではありますが干渉と愛情は違ってきます。心配しているが故の行動ではありますが友達付き合いや恋人づきあいなどに口を出したり進路などを親が決めたりすることは愛情ではなく抑制となります。幼少期には親からの愛情は必要になりますが成長するにつれて、適度な距離感を保つようにすることが大切です。
藤沢母娘殺害事件は藤間静波の寂しい人生が起こした悲劇
これほどまでに大きな事件を起こしたにも関わらず、同級生の中で藤間静波のことを覚えている人はほとんどいなかったと言われています。学生時代の影の薄かったことや、親の愛情を妹に取られてしまったことから藤間静波は自分の存在意義を確認することができなかったそうです。
人を信用することができず、人を疑い裏切った人間に復讐する方向に気持ちが向いて仲間と呼べる人間が近くにおらず、自分を愛してくれるのは自分だけという寂しい人生を送った藤間静波の悲劇の事件です。
他三鷹市で起きたストーカー殺人事件に関する記事はこちら
他ストーカー規制法設立のきっかけとなった事件に関する記事はこちら