海外でも日本国内でも様々なネタ画像や動画を見ることができるというわけなのですが、元々ユーモアを指そうミーム自体は現在のようにネットが広く普及する前から色々とあったようなのです。
1982年からあった?
ネット上で一番最初に登場したミームは、アメリカの情報工学者が創り出した記号を使って表現する横向きの笑顔であるとされています。更に2000年代後半から今でもよく見られるような元の画像に手を加えたものなどが流行り出しました。
加えて、一般の人たちや著名な人間を使ったものも同時期に誕生し、イベントなどをキッカケとしてマッシュアップが加えられていきました。時にはこれらが政治の考えであったりイデオロギーなどを表現するために使われるなど、単に面白いだけのものではなく多様な使い方をされているのです。
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英語圏ではミームだけで会話することも
画像の一部分を切り取って別の画像を合成するというタイプのものもありますが、やはりミームの中で多いのは面白い画像に文字を入れる文字コラでしょう。そして、英語圏ど真ん中である外国では面白いことがされているのです。
英語の勉強にもなりうる
それが、英語で作られた画像だけで会話をするというものです。画像と文字を一緒に利用することで、それぞれ単体だけでは表しきれないものを補って会話をすることができるために思いのほか会話を進めることができるようです。
また、私たち日本人がそういった英語のミームを使えば、英語の勉強をすることにもつながるのです。ただただ面白いツールであるだけではなく、コミュニケーションのツールとしても外国語の勉強としても使えるなど汎用性も高くなってきているようです。
画像がミーム化するとは?水溜まりボンドで説明!
大学の研究チームがネタの画像などを真面目に研究、調査したというのもすごいことですが、それら画像には大抵の場合ベースとなる写真が存在しています。そして、それに手を加えてミームと化すのがオーソドックスな流れのようです。
普通の画像はミームではない
ここで、実際の画像がミームと化すまでの流れを見ていきましょう。例とするのは人気ユーチューバーの水溜まりボンドが大きなチャーハンを作っているというもので、元は巨大な鍋でチャーハンを作っているという画像でした。それだけでも一応面白くはありますが、そのままではミームとはなりません。
画像が拡散されて改変が生まれてミームとなる
そのチャーハンを作る動画のサムネイルに、葛飾北斎の「富岳三十六景」の波のところをチャーハンが振られているところに合わせて作られたものができました。このように元々面白い画像が拡散され、さらにそこに改変が加わることでミームが誕生する、という経緯になります。
「ミーム」の由来
元々面白かった画像や動画などが広まり、さらにそこに手を加えることでミームが誕生するということをご紹介しました。それでは、インターネットミームの元となった言葉がなぜ「ミーム」と呼ばれているのか、疑問に思われた方はいらっしゃらないでしょうか?
リチャード・ドーキンスによる造語
これは、実は動物行動学者でもあり進化生物学者でもある人物が唱えたものです。1976年に自分の記した「The Selfish Gene」日本語に訳すと「利己的な遺伝子」本の中で作られたもので、文化を伝達する際の基本単位であるとともに、時には心の単位とも言えるとされています。
こんな言葉が生まれた背景に、まずコピーが作られ、それが伝達し広く拡散され、そこから変質する可能性のある「自己複製子」というものがあるようです。これは前述したネット上でのミームの作られ方と同期していますね。
ギリシャ語がベース
この言葉は英語ではなくギリシャ語がベースとなっており、「mime」と書きます。「mim」が模倣という意味の単語で、emeは「…素」を意味する名詞を作る接尾辞となっています。ですのでそのままの意味で日本語に訳せば「模倣素」ということになるのではないでしょうか。
ただし、本を記した当人は同じくギリシャ語で遺伝子を意味する「gene」のように一説の単語にしたかったようで、無理矢理それを縮めて前述のような単語になった、というわけなのです。
本来のミームの意味とは
どこでミームが作られたのかということについて簡単にではありますがご紹介しました。ですがこれだけでは説明としてあまりにも具体性に欠けますので、本来の意味がどういったものなのかについて、もっと詳しく解説していくこととしましょう。
脳から脳へと伝わる文化の単位
例えば、これは前の見出しでご紹介しました通り、人間の脳から脳へと伝わっていく文化などの情報の単位であるといえます。心理学や生物学、更に哲学的な考察が成された結果、音楽のメロディや年代ごとの流行っている服、物の作り方などが挙げられるでしょう。
複製、伝達、変異を満たす
そして、前述のとおり複製、コピーや伝達、そして変異を持っているものが該当します。これらすべてを満たすものといえば、自然界に存在している植物や動物なども該当しますし、人間に害を及ぼすものもあるインフルエンザなどのウイルスだってこれらを満たしています。
つまりミームが進化していくということは、該当する生物の持つ遺伝子の進化の類推ということだってできるわけです。動物でも植物でも、そして人類の文明なども突然変異などを交えながら古代から続いており、現在に至っていますので、遺伝子が進化してきたというわけです。
インターネットミームとは別物
これも前述しましたが、元ネタが複製され、それがネット上で拡散され更に手が加わることで出来上がるインターネットミームにも通じるものがあります。言葉の中に「ミーム」と入っている以上、通じるものがあったことは明確です。
ですが、あくまでネット上ではやっている面白い画像などのことを指しているだけのことで、人類の文明の進化などマクロな意味である本来のミームのような化学的な考察をする際に使われるわけではありません。ですので、これら2つは全くの別物であるととらえて良いでしょう。
EU 新著作権法案によってミーム文化が終わる?
ご紹介してきましたように、研究チームが調査対象にするほどにネット上に広まっているネットミームではあるのですが、そんな文化にも規制がかかるのではないかとされているのです。それは、EUの新しい著作権の作成法案が関係しているのです。
条項13が議論の的に
著作権法の変更に関して色々と条項があるのですが、その中の13項がそれに関係しているのです。いわく、その13項が施行された場合、ユーチューブを始めとしたコンテンツをシェアするプラットフォームには、そこへ投稿される著作権を侵害しているものに対して法的な責任を追うことになるからです。
これに対して音楽業界やユーチューブのクリエイターなどからはいろんな主張を表明しており、直接的な言葉こそ用いていませんが反対する声も上がっているようです。
ミーム文化が終わるという噂はデマ!
これによって、もしかしたらこれからはネタ画像などを作ることができないのではないかという噂が流れてしまったのです。ですが、そんな心配をしなくともこの条項が施行されることによってそれほどの規制がかかるというわけではありません。
なぜならば、現在の著作権法では風刺などのコンテンツは例外として著作権侵害にはならないとされており、ミーム等を作るのは問題ないのです。加えて対象になるのはユーザーではなくサービスの方ですので、作成したユーザーに法的責任が発生することはありません。
面白いミームを作ってみよう
ということで、今回は2種類のミームと、それぞれの意味などについてご紹介しました。スマホなどでどこであってもネットに繋げられることのできるユビキタスコンピューティングな現代ですから、どこでもネットミームを見ることは可能です。
そして、研究チームの調査にもありました通り、ネット上のミームというのは小さなコミュニティの中で誕生しネット上で拡散、どんどん広がっていくという結果があり、誰であっても作り出すことだって可能なのです。皆さんも面白いコンテンツを作ってみてはいかがでしょうか。