昨今のカメラの進歩は著しく、今やスマートフォンでも高画質の動画や画像が誰でも撮影できるようになってきました。ベンタブラックはカメラの性能にさらなる飛躍をもたらしてくれるだろうと言われています。
読者の皆さんの中には、幼い頃にはスマートフォンどころか携帯電話自体まだ普及していなかったという世代の方もいらっしゃることでしょう。ここ数年のテクノロジーの急激な発展には驚かされるばかりです。人間の技術革新の歩みについて考えされられる記事がこちらにもありますので、気になった方はぜひご覧になってみてください。
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ベンタブラック、宇宙へ
「世界一黒い塗料、宇宙デビュー」こんなニュースが、開発元のサリー・ナノシステムズのホームページに掲載されています。シンガポール国立大学とベルリン・スペーステクノロジーが共同制作した人工衛星、Kent Ridge 1に使われたのです。2016年3月12日、ベンタブラックは当初の開発目的を達成し、ついに宇宙へ旅立ちました。
恒星追跡器への利用
ベンタブラックが利用されたのは、様々な恒星の距離を測る、高感度が命の光学機器。恒星追跡器(star tracker)と呼ばれるものでした。ベンタブラックはその内部の部品のコーティングに使われ、無駄な光を吸収してくれるその性質は、真価を大いに発揮しました。
私たち人間は太古の昔から現在まで、真っ暗な夜空を見上げ、その謎を解明しようと技術革新を続けてきました。ベンタブラックもその一端を担うこととなるのは間違いありません。太古の天体観測技術も気になるという方はこちらの記事をどうぞ。
ベンタブラックは購入できる!?
ベンタブラックのすごさや、考えられる使い道などをご紹介してきました。人工衛星にまで利用できるベンタブラックを実際に手に入れてみたいと思った方もいらっしゃることと思いますので、ここからはベンタブラックをネット通販などで買ったりすることは可能なのかどうかお伝えしていきます。
ベンタブラックの個人購入はアウト!
ベンタブラックは残念ながらネットでも店頭でも一般市販はされていません。とてもデリケートなものであり、直接触ると皮膚にダメージを与えるということが大きいのかもしれません。ベンタブラックを手にする方法は、先ほどご紹介した腕時計以外には残されていないのでしょうか。
ベンタブラックは相談次第ではサンプル注文が可能!!
サリー・ナノシステムズの公式ホームページ内には、サンプルのリクエストページがあります。このページの右上には言語を日本語に変換して閲覧できるボタンもありますので、どんなタイプのサンプルが欲しいのか、日本語でしっかりと確認することができます。
リクエストには自分の会社の詳細や連絡先、仕様用途などをしっかりと記入する必要があります。ベンタブラックを是非我が社でも扱ってみたい!という方は、使用上の注意などが詳細に記されていますのでお読みになった上で、是非注文してみると良いでしょう。
ベンタブラックを使用できる世界で唯一の人物とは?
ベンタブラックは個人では買うことができないとお伝えしたばかりですが、実は世界でただ1人、ベンタブラックを個人でも買うことができる、事実上独占できる人物がいるのです。いったいそれはどのような人物なのでしょうか。
ベンタブラックの独占権を持つ彫刻家「アニッシュ・カプーア 」
ベンタブラックを独占できる人物、それはロンドン在住のとある彫刻家です。その名はアニッシュ・カプーア(Anish Kapoor)。1954年、もともとの生まれはインドでした。現代アートの業界では彼はとても有名で、日本でも名古屋市美術館などいくつかの美術館に収蔵作品があります。
ベンタブラックを使った作品でハプニング!?
不思議の国のアリスではありませんが、真っ暗な穴があったら覗いてみたくなるもの。そしてその穴がベンタブラックでできたものだったならば、深さの判別ができないのもまた当然であると言えるでしょう。その面白さがまさに作家の意図したところではあったのですが、なんと覗いた人がそのまま穴に落ちてしまう事故が起きました。
平らな道路に、崩落しているように見えるリアルな穴を描くトリックアートのアーティストもいますが、こちらは逆に平面と思ったら深さ2.4mもの実際の穴が掘ってあったのです。落ちた人は大層驚いたことでしょう。注意書きは設置してあったようなのでその人の不注意ではあるのですが、ベンタブラックの黒さに改めて驚かされる一件です。
【2019年最新】ベンタブラックの対抗品が販売!
比類なき黒さだったはずのベンタブラックに、今年まさかの対抗品が現れました。いったいこのダークホースはどのような黒なのでしょう。ベンタブラックと見た目上の違いはあるのでしょうか。世界に登場した新たな黒について、ここからお伝えしていきます。
ベンタブラックの対抗品、その名も「BLACK3.0」
ベンタブラックを手に入れてみたいと思った世界の全ての人々に朗報です。「アニッシュ・カプーア以外のすべての人が入手可能」このように書かれた文字とともに投稿されているこちらのユニコーンの作品に使われている黒は、ベンタブラックではありません。とてもよく似ていますが、別物です。名前は「BLACK3.0」といいます。
ベンタブラックの対抗品は前作「BLACK2.0」を上回る漆黒
BLACK 3.0を開発したのは、1980年生まれのアーティストであるスチュワート・センプル(Stuart Semple)。彼はアニッシュ・カプーアと同じくイギリス在住で、絵画や現代アートと呼ばれるような作品を制作しています。
スチュワート・センプルはベンタブラックを手に入れられない人々でも同等の黒が使えるようにと独自に塗料の開発を続け、その間には世界一のピンクと呼ばれる塗料も作り出しました。BLACK3.0は前作であるBLACK2.0を上回る、会心の出来だということです。
ベンタブラックの対抗品はファンディングで入手可能!
BLACK3.0はベンタブラックと違い、クラウドファンディングで誰でも手に入れることができます。ただひとつの条件は、「あなたがアニッシュ・カプーア本人、もしくは代理人、その他、彼のチームのメンバーなどでないこと」のみ。「black 3.0」とネット検索すると、Kickstarterのページが出てきます。
あまりの反響に今現在はそのページにアクセスすると「順番待ちリストに参加する」状態になってしまっていますので、すぐには塗料のボトルを手にできるわけではないようです。ですがベンタブラックと同等の黒さを持つ黒が世界の人に向けて門戸を開いたことは、とても大きな意味を持つと言えるでしょう。
ベンタブラックは夢が無限に広がる暗黒物質!
数年後には、ベンタブラックが利用された人工衛星によって未知の星が見つかっているかもしれません。まだ想像もつかない用途が見つかるかもしれませんし、それにより私たちの生活にも影響を与えることがないとも言い切れません。ベンタブラックは私たちにどんな未来を見せてくれるのでしょう。光が囚われる黒は、私たちの心も掴んで離しません。
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