ベンタブラックとは?
皆さんはベンタブラックという言葉をご存知でしょうか。なかなか聞きなれない言葉かもしれません。ベンタブラックとはいったいどのようなもののことを指すのでしょうか。詳しくお伝えしていきます。
ベンタブラックは世界一黒い色を持つ物質
ベンタブラックとは世界一の黒さを誇る物質が持つ名前です。この写真の背景も犬も真っ黒ですが、このようなグラデーションのできる黒とは比較にならないほどの圧倒的な黒さなのです。後ほど実際のベンタブラックの写真もご紹介しますのでご期待ください。
ベンタブラックは黒すぎると世界を巻き込んで話題に
ベンタブラックの前例のない黒さに、文字通り世界が仰天しました。いったいどうすればこのような黒が生まれるのか?なぜこんなに黒いのか?何に使えばいいんだ?など疑問は尽きません。そうしてベンタブラックは人々の話題をさらいながら、ついにギネスブックにもその名が刻まれることになりました。
ベンタブラックはなぜこんなに黒いの?
ここからはベンタブラックの黒さの秘密にさらに迫っていきます。ベンタブラックはどこで何のために生み出されたのでしょう。見るものを惑わせるほどの黒い色は、どのような仕組みによって存在しているのでしょうか。
ベンタブラックは現状世界一の暗黒物
ベンタブラックは現在のところ、この地球上で最も黒い物質と言われています。開発したのはサリー・ナノシステムズ(Surrey NanoSystems)というイギリスの産業用機器製造をしている会社。もともとベンタブラックは、人工衛星に使う目的で開発されたそうです。
ベンタブラックが世界一黒い理由①99.965%の光を吸収
ベンタブラックが電気や日の光など何かの光源から光を受けた場合、そのほとんどを吸収してしまうためにこの黒さは成り立っています。ベンタブラックに当たった光は反射して外に逃げてくることができずに、ベンタブラック内で迷子になって吸収されたように見えてしまうのです。そうして取り込まれた光は、内部で熱へと変換されます。
ベンタブラックが世界一黒い理由②原材料のカーボンナノチューブ
ベンタブラックの黒さを作り出しているのは、カーボンナノチューブという物質。この物質が発見されたのは1990年代のことでした。人間の髪の毛の10,000分の1もの細さの繊維から成り立っています。この繊維の構造によってベンタブラックは、まさにブラックホールのような黒さを実現させています。
ベンタブラックの暗黒レベルを見てみよう
ではいよいよ、ベンタブラックの黒さを実際に見てみることにしましょう。この写真をご覧ください。まるでこの空間自体に穴が開いてしまったかのような奇妙な錯覚に陥ります。このベンタブラックが球体なのか、それとも平面の円であるのかさえも、光の反射という手がかりがないために判別が難しくなっています。
ベンタブラックの黒さは公式SNSで確認できる!
先ほど99.965%の光を吸収してしまうとお伝えしましたが、光を吸収する物質ってどういうこと?とイメージがしづらかった方もいらっしゃると思います。その性質をよく表しているのがこの動画です。
レーザーポインターを照射してもこの通り。赤い光も吸収され見えなくなってしまいます。レーザー光が突如ベンタブラックの裏側へと隠れてしまったような、仕掛けのわからないマジックを見ているような、とても不思議な印象を受けます。
夢膨らむベンタブラックの使い道
ベンタブラックがいかに黒いかおわかりいただけたのではないでしょうか。さてこのベンタブラック、どのような用途に使うことができそうなのでしょう。ここからは現時点で考えられている・すでに利用されている用途をいくつかご紹介していきます。
ベンタブラックの使い道①世界一の着やせ効果 ?!
ただの黒のドレスでも、明るい色よりは当然着痩せして見えるものですが、その黒がベンタブラックであったならどうでしょう。ベンタブラックは洋服の素材として活用できないものだろうかとの声があります。
実際のところは…
実現したならばきっと最高の着痩せ効果が得られるはずと、このアイデアは体型をスリムに美しく、かっこよく見せたい人々から多くの期待を集めました。ですが残念ながら専門家からは、ベンタブラックはあまりの黒さから、着痩せを通り越して折り紙の切り絵のように、まるで服だけが2次元のように見えてしまうのではと言われているようです。
いつかその異質さと面白さを逆手にとるデザイナーが現れて、ハイブランドのコレクションとしてランウェイなどに登場しそうな気もしますが、ベンタブラックは皮膚には刺激物となるとのことなので、なかなか難しいものなのかもしれません。
ベンタブラックの使い道②兵器産業にも
ベンタブラックを使ったなら、兵器産業にも革命が起きるのではと言われています。昼間の利用では黒すぎて逆に違和感がありそうですが、夜間限定の利用のされ方ならば敵に気づかれにくい兵器や装備品などを作ることができそうです。
ベンタブラックの使い道③光学機器の性能向上
ベンタブラックは光学機器の進化に大きな貢献をしてくれそうです。カメラや天体望遠鏡類など、内部に使われるパーツによる余分な光の反射をできるだけなくしたい精密な光学機器にとって、まさにベンタブラックは救世主となるでしょう。
身につけられるベンタブラック
H. Moser & Cie.というスイスのブランドから、ベンタブラックが使われた腕時計が発売しました。洋服に先立ち、間接的にとはいえ身につけられるベンタブラックが誕生したことになります。エンデバー パーペチュアル・ムーンと名付けられたこの美しい時計は、なんと限定50個の超プレミアム仕様だったよう。
気になるそのお値段は?
また、レッドゴールドの縁で、月がなく無地の文字盤のベンチャーコンセプトと呼ばれるモデルも、今年2019年の3月に登場しています。こちらのお値段は25.000スイスフラン。日本円に換算すると274万円ほどになります。お高いと見るかそれ相応の価値と見るかは、人それぞれかもしれません。
こんな使い道はどう?ベンタブラックについてのみんなの声
見るもの全てを驚かせ魅了するベンタブラック。ここからは、ベンタブラックの使い道に関する人々のネットの声をご紹介いたします。こうした柔軟な個人の意見が、今後の企業の開発ヒントとなることもあるかもしれません。
ベンタブラックのアイデア①窓ガラスのスモークにしたい
ベンタブラックを窓ガラスのスモークにしたいという声があります。果たして内部からはちゃんと外が見えるのだろうか?と少し心配になりますが、そこがもしクリアされたなら、プライバシー保護の観点からとても喜ばれるものとなるでしょう。車自体をベンタブラックで塗装してしまいたいとの声もありました。
ベンタブラックのアイデア②名探偵コナンのあの人の実写化が!?
アニメ作品の実写化には、原作を愛するファンの期待が大きいもの。最近では「名探偵ピカチュウ」がポケモンファンのみならず幅広い層から支持され大ヒットを記録中ですが、中途半端になるならやらないほうが…などの案じる声は、公開前にはどんな作品でも一定数あるものです。
ベンタブラックを使えば実写化した際に完璧な仕上がりになるのでは言われているアニメの人物がいます。それは名探偵コナンの犯人。あの作品内では犯人がまだわからない段階では黒タイツのような姿で描かれていますから、ベンタブラックを使ったならばきっとファンの期待に応える犯人像が出来上がるのではないでしょうか。