アルビノとは
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髪や肌、まつげさえもまっしろなアルビノ。とても神秘的な存在ですが、どうしてあそこまで透き通るように色白なのでしょうか。本当に神様から遣わされた使者なのでしょうか。アルビノになる原因やアルビノと言う疾患についてまとめてみました。
アルビノとは色素欠乏のため白色となった動物個体
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アルビノとは先天的にメラニンが欠乏する遺伝子疾患のことです。色素が欠乏しているため髪や皮膚に色が付きません。皮膚や髪に色を付けるのはメラニンの役割ですが、そのメラニンを体内で作れないために白、もしくは著しく淡い色になります。時には目の毛細血管が浮き出て瞳が赤くなります。
アルビノと呼ばれていますが、正確には疾患自体をアルビニズムと呼び、人が対象の場合「アルビニズムの人」と言います。アルビニズムと対極にいる疾患はメラニズムです。アルビノとは逆にメラニン色素が多すぎてしまう疾患です。メラニズムについても後に少しだけ触れています。
アルビノは遺伝的要素が強い
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アルビノは遺伝の要素が強いと言われます。突然変異と言われたりすることもありますが、劣性の遺伝子が働いてしまった結果アルビノが発症すると考えられています。近い血縁と結婚することもその原因となるようです。
劣性なので表に出るわかりやすい遺伝ではなく、思い出したように突然表に出てくるので突然変異だと思われることもあります。家系にアルビノの人がいる場合は子孫にもアルビノの人が出やすいという事になります。
アルビノの例①著名人
アルビノと呼ばれる遺伝子疾患の人は今は記述でしか知ることができませんが、昔から存在していました。現代にいたるまでいろいろな影響を与えています。私たちが知りえるアルビノの有名人をご紹介します。
アルビノの著名人①旧約聖書のノア
旧約聖書のノアは”ノアの箱舟”で有名です。ノアは「彼の身体は雪のように白く、またバラの花のように赤く、頭髪、(ことに)頭のてっぺんの髪は羊毛のように白く、眼は美しく」と表現されています。バラの花のように赤いとは彼の目が赤かったことを現していると思われます。それらの記述からノアはアルビノだったと想像できます。
アルビノの著名人②清寧天皇
日本書紀からの記述になりますが、第22代清寧天皇は、幼年の白髪皇子であった頃、白髪であったことから父の雄略天皇は彼に神聖さを感じ次の天皇となる皇太子にしたと書かれています。清寧天皇はアルビノであった可能性があります。清寧天皇のお墓は長さ112メートルの前方後円墳で遺跡名は「白髪山古墳」と呼ばれています。
アルビノの著名人③ナスチャ
ロシア人モデル ナスチャ・クマロヴァはアルビノのモデルです。日本が好きで彼女のインスタグラムではコスプレも披露しています。日本のアニメの中にはいろいろな髪の色をしたのヒーロー・ヒロインが多く、とても慰められたのだそうです。また日本名を小林喜美と言います。
アルビノの著名人④粕谷幸司
日本のタレント 粕谷幸司さんもアルビノです。自身の経験を活かし、テレビやラジオなどで活躍しながらアルビニズムについて伝えています。ブログではインターネット上に上がっていた質問に答えてくれたりもしているので興味のある方はご一読ください。
後にご紹介する日本アルビニズムネットワークでは、中心人物となりアルビノの知識の普及に努めています。ブログやツイッターでもアルビノの日常を発信しています。また、美しいアルビノの人や動物に興味のある方はこちらをご覧ください。
アルビノの例②哺乳類
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アルビノは遺伝子疾患なので、どのような生き物でも発症する可能性があります。その中には名前を与えられ、親しまれている動物もいますし、ニュースにも時々登場しています。まずは身近な動物”哺乳類”をご紹介します。
アルビノのクジラ
一般的にクジラは藍色の背に白い腹部をしていますが、こちらの白いザトウクジラは、”白い人”を意味する「ミガルー」と名付けられました。ミガルーはオーストラリア沖で発見されました。現在では3頭の白いザトウクジラが確認されているそうです。
ミガルー以外の1頭の名前は「ミガルー・ジュニア」と言いますが、ミガルーの子どもかどうかはは不明です。もう1頭は名前はありませんが、尾に黒い斑点があります。ミガルーが最初に発見されたのは1991年の事なので、これから白いクジラは増えていくかもしれません。
アルビノのゴリラ
アルビノのヘラジカ
こちらは野生のヘラジカ(ムース)です。スウェーデンとノルウェーの国境にある森にだけ生息しています。一般的なヘラジカは深い茶色の身体に濃いベージュの角を持っていますが、このヘラジカは角まで真っ白です。
アルビノの例③鳥類・爬虫類・魚類など
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アルビノの生物は哺乳類だけではありません。爬虫類、鳥類、魚類にも存在しています。真っ白なその姿は神の使いと言っても過言ではありません。神秘的なアルビノの生物をまだまだご紹介します。
アルビノのワニ
アルビノのワニをご紹介します。白いワニは自然環境の中では目立ってしまう為、なかなか発見までには至りません。現在世界には20匹ほどのアルビノのワニが生息しているそうで、すべてワニ園や動物園で飼育されています。
アルビノのカラス
- 出典:赤穂民放
アルビノは身近な鳥類、カラスの中にも存在します。カラスと言えば黒い羽の色ですが、こちらのカラスは全身が白い羽で覆われています。黒いカラスの中に白いカラスがいると目立つので、ここまで大きくなったのはとても珍しいことでしょう。
アルビノのジンベエザメ
アルビノは魚類にも存在しています。白いジンベイザメは暗い海の中でもまるで光り輝いているかのようです。個体が大きいので身体の色でとても目立ってしまい、野生環境にはなかなか適応できません。
アルビノのクジャク
カラスと同じ鳥類ではクジャクにもアルビノが見られます。一般的なクジャクは、広げた羽が美しい扇の様で目を奪われますが、アルビノのクジャクは広がった羽すべてが白く、神々しいまでの美しさを感じます。
ご紹介した動物の他にもスズメ、ペンギン、キリン、ハリネズミ、狼、アライグマ、貝などいろいろな種類の生物にアルビノは存在します。どの個体もとても美しく、集団の中にいるだけでも目を引く存在であることは間違いありません。
アルビノは古くから神聖な存在
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遺伝的疾患で発症するアルビノの人や動物は、世界中に古くから存在していました。日本においては20000人に1人が発症し、6000人ほどが存在していると思われます。地域が変わりアフリカのタンザニアでは2000人に1人が発症していると言われています。