古代からその髪や皮膚の色のせいで神の御使い、神の意志を示していると言われてきました。真っ白な姿はまるで天使が地上に降りたかの様に受け取られてきたのかもしれません。日本においてはどのような扱いを受けてきたのでしょうか。
アルビノは神の使いとして大切にされる
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昔から白い動物は神様の御使いであるとされ、大切に扱われていました。その反対に吉凶の前触れとして畏れられてきたこともあります。アルビノも例外ではなく、古来から崇め奉られ地域の人たちに大切にされてきた出来事がありますのでご紹介します。
アルビノのヘビ、ナマズが神格化された例も
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白蛇とはアオダイショウのアルビノです。山口県岩国市では比較的白蛇が多く、この地域の白蛇は国の天然記念物に指定されています。他にも奈良県の大神神社でも白蛇が進行されていて、ヘビが現れる杉の木は「巳の神杉」と呼ばれています。
琵琶湖で見られるイワトコナマズやビワコオオナマズのアルビノは「弁天ナマズ」と呼ばれ地域で親しまれています。地元の料理たちの間では武生島の弁財天(日本三大弁財天)の御使いだとされています。
アルビノのは元号とのかかわりも
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「続日本記」の神護景雲2年(768年)9月のところを見ると、7月にアルビノらしき赤い眼の白い亀を手に入れたという記述があります。その次の元号は「宝亀」であり、白い亀がたくさん献上されたことを意味しています。
その他「神亀」も白い亀が出現したことにより改元した元号です。古代では何度かアルビノの亀が元号の由来になっています。おめでたい生き物である亀は人間に与える影響も大きかったのでしょう。
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アルビニズムと対極のメラニズム
アルビニズムとは対極に位置するのがメラニズムです。アルビニズムはメラニン色素が少ないのに対し、メラニズムは過度に多く、髪や皮膚の色素が濃く現れます。もちろん人間以外の動物にも存在しています。日本においては報告がなく、まだ確認されていないのが現状です。
アメリカでは南スーダン出身のメラニズムモデル、ニャキム・ギャトウィックさんがいます。彼女は「Queen of the Dark」とも呼ばれており、メラニズムとともに、黒人の権利についても主張しています。漆黒の肌を彼女の個性=誇りとして活躍しています。
アフリカのアルビノは命の危険にさらされる
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アルビノの人がもしアフリカに生まれてしまったら…想像もできない悲劇が待ち受けています。色素が薄いというだけで命を失う危険もあるのです。どんなことに巻き込まれてしまうのか、ご紹介します。
アルビノの人はアフリカでは迷信的な呪術の道具になる悲劇も
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アフリカのサブサハラではアルビノの人の身体の一部が迷信的な呪術の道具に使用されることがあります。あらゆる人が富や豊穣、病気の治療や選挙に勝つ事のために他力本願的にアルビノの人の身体を利用します。骨はお守りにし、鉱山に入れば金を掘り当て、網に髪を編み込めば漁は大漁になります。
アルビノハンターと呼ばれるハンターが存在し、学校帰りや遊びに行く途中誘拐されてしまうのです。家を襲撃されることもあります。またエイズにかかった人がアルビノの女性と性交するとエイズが治ると信じられている地域もあり、そんな迷信によるレイプ被害も深刻になっています。
アルビノの人はアフリカでは遺体が高値で取引されている
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アルビノの人の身体はそれが例え一部であってもお金になります。例えばアルビノの身体の部位がすべてそろったもの(手足4本と1対の耳、性器と鼻と舌が含まれる)には7万5000ドル(約670万円)という値が付きます。
アフリカ東部に暮す人の年間収入額は、日本円に換算すると約10万円ほどになります。アルビノの人を一人売ると60年は働く必要がありません。アルビノの人はとても高価で売買されているのです。
アルビノは日常生活に支障がある場合も
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アルビノの人の困難は色素が薄いだけではありません。アルビノという疾患には日常生活にも気をつけなければならないことがいくつかあります。どんなことに気を付けて生活をしたらいいのでしょう。
アルビノの人の日常①紫外線対策が重要
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アルビノの人は体内にメラニンがとても少なく(もしくは全くなく)強い日差しを数時間でも浴びると日焼けをしてしまいます。それにメラニン色素が薄いので皮膚がんを引き起こす紫外線を直接浴びることになり、屋外での行動が限られてしまいます。
アルビノの人の日常②視覚障害も多い
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アルビノの人には視覚障害が出やすいと言われています。虹彩で光の調節ができないからです。光の屈折が異常なことなどはメガネやコンタクトで矯正可能ですが、その他の障害には限界があります。
視覚に現れる障害を弱視といい、メガネやコンタクトでの矯正では追いつかない場合、遠くのものにはオペラグラス、などを使い視覚を補完します。また象の境界線が不明瞭なため、色覚での区別が重要になります。
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強い光を受けた時に光の量の調節が出来ずに、不快感や目の痛みなどを生じることを羞明(しゅうめい)といい、アルビノの人の中にはこの障害を持つ人もいます。網膜を痛めてしまうこともあるため、サングラスなどを利用すると和らぎます。
視界が左右に揺れて物が見えづらくなる症状を眼球振盪(がんきゅうしんとう)と言い、アルビノの人にはその障害がみられることがあります。横並びのものは見づらいので立て並びにすると見やすくなります。定規を使う時には縦にしてメモリが横になるよりも、横にしてメモリが縦になる方が見やすいです。
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眼に入ってくる光を調整する虹彩と言う部分に支障が出てしまうので、いろいろな視覚障害が出てしまうのでしょう。一部ではメガネをかけても視力は矯正されないこともあるようです。先天性疾患、キャットアイ症候群に興味のある方はこちらをどうぞ。
日本でのアルビノの生き辛さも問題に
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日本にいるアルビノの人たちはどのように日常をくらしているのでしょうか。受け入れる社会は開かれたものなのでしょうか。アルビノの人が住みやすい世の中にする為にはどのようなことが問題なのか調べてみました。
アルビノの支障①白髪が理由で就活不採用
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アルビノの人たちは美しい白い髪をしています。しかし、その髪の色が接客業にふさわしくないからと就職を難しくさせる原因になっています。「髪を黒く染めて就職するのは違う」とアルビノの人は強く主張します。
アルバイト探しや就職活動でも視覚障害を原因に拒否され、心が深く傷つくような出来事が何度もあるそうです。まだまだ社会自体が保守的なので、1人1人が受け入れ態勢を作っていく必要がありそうです。
アルビノの支障②違いを受け止めきれない社会の問題
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アルビノの人に対して社会は受け入れ態勢がまだできていないようです。違いを嫌う日本の文化もこれから開かれていく必要がありそうです。人としてあるがままの姿を受け入れるという単純なことがとても難しいこの社会では、意識改革をはじめ、やらないとならない課題が山積みです。
日本アルビニズムネットワーク
日本アルビニズムネットワークとはアルビノ当事者とその家族のためのネットワークです。一般の人たちがアルビノを理解するためのいろいろな情報が集められています。オフ会の情報やアルビノフェスティバルについてのお知らせなども掲載されています。当事者と家族への生活のアドバイス(弱視、学校、子育て)についても受け付けています。
FAQにはいくつか質問が設けられており、それによると日本にはアルビノの人が6000人くらいいる計算になるそうです。どこの家庭にも生まれる可能性があり、みなさん普通の生活を送っています。アルビノは先天的なので、後に発症することはありません。FAQにもありましたが、魔法や超能力などの神秘的な力を発揮した人はいないそうです。
アルビノ・ドーナツの会
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アルビノ・ドーナツの会は2007年2月に当事者である藪本舞さんが発足しました。活動は主に関西地方ですが、とてもアクティブなグループで九州や名古屋で交流会を開いています。当事者同士のコミュニケーションや家族のつながりにとても力を入れています。マスコミへの出演も多く、広くアルビニを知ってもらう為、力を注いでいます。
ドーナツの輪を「アルビノの人の輪」にかけたのが名前の由来です。そしてドーナツのように身近な存在であって欲しい、ほっとして笑顔になるような、そんな場を作りたいというのが発足の原点となっています。
アルビノとは全身が白い色素障害
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アルビノとは身内のメラニン色素が作られない、もしくは極端に少ないため、全身が白くなってしまう遺伝子による色素障害です。色素が薄いだけで、同じ人間、生き物です。違いを個性と受け入れ始めた今の社会では、アルビノの人が生まれたままの姿で受け入れられる日は遠くはないかもしれません。
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