彼岸花の花言葉は実は怖くない!色別の花言葉や不吉な別名もご紹介

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彼岸花の毒性について

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前にも記述しているように、この花は有毒植物ですので、異名も悪いイメージが多く付きまとってしまうのでしょう。球根植物ですが、その毒は球根部分だけではなく花全体にあります。その毒性を活かした植生やその毒の危険性と活用性についていくつか見ていきましょう。

彼岸花の毒性を利用したモグラ除けに

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農作物に悪さをするモグラやネズミたち。彼らから稲などを守るために、毒性を持ったこの花を先人たちが田畑の周りに植えたとされています。墓地周辺に彼岸花を多く見られるのも同じようにご先祖様を守るためだと言われています。

彼岸花は水にさらせば食用に

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この毒の成分、それは「リコリン」。このリコリンは水溶性なので水でしっかりと毒抜きをすれば食用にできるといわれております。しかしながら素人の毒抜きでは完全ではないので気をつけなければなりません。その昔、年貢の取り立てが厳しかった頃に毒性の彼岸花は年貢作物には含まれず飢餓を乗り越えるために食していたようです。

彼岸花は薬としても利用可能

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毒である「リコリン」はアルカロイドの一種です。球根は漢方薬の世界で「石蒜(セキサン)」や「彼岸花根」という名前で利用されてきました。鱗茎の部分をすりつぶし唐胡麻と合わせて足の裏に貼り浮腫取りに用います。しかしながらやはり毒性ですのでくれぐれも素人は使用しないでください。

有毒植物は意外と近くに咲いていたりします。興味のある方はこちらの記事もどうぞ。

彼岸花を持ち帰ると火事になる?

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「彼岸花を持ち帰ると火事になる」といった言い伝えを聞いたことがありますか。田んぼの畦道などであまりの美しさに家に持って帰りたくなる気持ちにもなりますが、何故に火事に?って思ってしまいます。この花の情熱的な赤い花をみるとなんとなく想像できるものです。

なぜ火事になるとの言い伝えが?

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この赤い(朱い)花の形状が、赤い炎が上に向かって燃え盛っているように見えることから、この花を家に持ち帰ると赤い炎まで引き連れてくるような恐ろしいイメージが膨らんだのでしょう。このイメージが火事を引き起こすのではと怖がられたのが由来です。

由来①毒があるため

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またこの花には、「彼岸花を摘むと手が腐る」といった言い伝えもありますが、これは彼岸花の毒から子どもたちを守るために親たちが子どもたちに安易に花を摘み毒が口にいかないよう、家に持って帰ってこないようにと考えた言い伝えだとされています。

由来②墓場に埋められることが多いため

さらに「彼岸花を摘むと死者が出る」といった言い伝えは、土葬をしていたその昔、土葬した遺体をモグラなどから守るために毒を持つ彼岸花を植えたとされていますが、その花を摘んで盾になっていた毒がないと、モグラなどに遺体を掘り起こされてしまうので、それを避けるためにこの迷信が残っています。

由来③彼岸の時期に咲くため

彼岸花の迷信は他にもいろいろありますが、「亡くなった人の家までの道標になる」といったような言い伝えはこの花がお彼岸の季節に合わせたように咲くからだと言われています。彼岸花を目にした時には、ご先祖様を思い出す、お墓参りへ行こうと思うことからこのような言い伝えが残ってきたのです。

美しい彼岸花を見ることができるおすすめスポット

このようなとても妖艶な美しい彼岸花を日本のあちこちで見ることができます。何万本もの彼岸花の集まりを秋とともに観賞し、またご先祖様や親しかった亡き人を想い出してみるのもよいかもしれません。

おすすめスポット①巾着田

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彼岸花の名所の中でも随一を誇る埼玉県の巾着田には500万本もの花が約2haの土地に咲き誇り、菜の花やコスモス等、四季折々の自然が楽しめるスポットです。巾着田は日高市内を流れる高麗川の蛇行によって長い年月をかけ巾着のような形になったそうで、この川に囲まれた平地に群生する彼岸花の赤は圧巻です。

おすすめスポット②羽黒山公園

宮城県大崎市にある羽黒山公園では15万本もの彼岸花が小高い丘陵地帯に群生しています。国道から10mくらいの高さしかない丘ですが、ちゃんと散策路が整備されており、ゆっくりと眺めながら観賞ができます。

おすすめスポット③常楽寺

栃木県鹿沼市にある常楽寺。真言宗豊山派のお寺で「花のお寺」と呼ばれ、こちらも四季折々の花を観ることができます。境内の中には16体の様々な羅漢様があちこちにいらっしゃり、花と羅漢様とを一緒に写真に収める楽しみもあります。

おすすめスポット④鉢巻山

長崎県大村市にある鉢巻山では、彼岸花の咲く時期に「鉢巻山ひがん花まつり」が開かれます。鉢巻山は標高335mあり360°パロラマが広がって大村湾に浮かぶ長崎空港や多良岳連山など素晴らしい景観を観ながら、100万本の赤や白、クリーム色の花を鑑賞することができるのです。

彼岸花を育ててみる

彼岸花は品種も増え家庭でも地植えや鉢植えなど、様々な色を楽しむ方がいらっしゃいます。ホームセンターやネットでも球根を購入することができますので、簡単に彼岸花の育て方や株分けなど見ていきましょう。

球根は真夏に植えよう

彼岸花の球根を植えたり、株分けをする季節に適しているのは、地表面にまったく姿が見えない枯れている時期になります。葉が春に伸び、それが枯れてしまう真夏が一番適しているのです。7~8月になるとホームセンターに出回りますので購入したら早めに植えましょう。

球根の植え方、育て方

彼岸花の球根は基本地植えが適していますが、品種によっては鉢植えも可能です。球根を複数植えたい時には間隔を2~3個分開け、水やりは根腐れしないよう、やや乾燥気味にします。球根の根が深く伸びますので土は深めに柔らかく耕してあげてから植えるとよいでしょう。

彼岸花は万葉集にも詠まれている

令和への改元で一躍話題になり、さらにたくさんの方が気になり始めた万葉集。実は彼岸花もこの万葉集の中で詠まれています。4500首以上もある万葉集の中で、彼岸花はどのように詠まれているか、どのような歌人が詠んでいるのか気になります。

万葉集の中で1首だけ詠まれている彼岸花

万葉集の中で、「道の辺のいちしの花のいちしろく人皆知りぬ我が恋妻は」と柿本人麻呂が詠んでいます。このいちしの花(壱師の花)というのが、彼岸花ではないかと言われています。具体的には確定しているわけではなく、ギシギシやイタドリ、イチゴ、エゴノキなどの説もありますが、彼岸花が最有力候補と言われています。

「道端に咲く壱師の花が目立つように、私の恋しい妻のことを皆に知られてしまいました。」と詠んでいるようですが、彼岸花の美しい赤い花が道端でとても目立って咲いている様子が目に浮かびます。そして驚くことに万葉集で彼岸花が詠まれている句はこの1首だけなのです。

彼岸花の花言葉は怖いとは限らない

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彼岸花には様々な花言葉とそれに纏わる由来があり、怖さのイメージはこの花の咲く時期と赤い色、そして有毒植物という生態からくるものでした。しかしながら色の違いや咲き方による穏やかな花言葉もあり、実際には怖さより懐かしさ、追憶など心に残る心情的なものも多く、またご先祖様を大切にする思いも伝わってきます。

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