大口病院事件とは
世間を驚かせた事件は神奈川県の横浜市にあった慈啓会系列の病院で相次いで容体急変の末亡くなったことに端を発しました。現在の名称は、事件当時から変更して経営を行っています。警察の捜査により逮捕されたのは本来人の命を救うために働く看護師でした。犯人は20人近くの犯行を供述しており稀に見る凶行と言われています。
入院治療中である人の点滴に殺傷能力のある液体を混入し、死に至らしめるという方法で医療に携わる者として決して行ってはいけない悪質な犯行になります。しかし、被害者と思わる方の大半がすでに火葬されていたため、捜査は進展しませんでしたが2018年7月、当時在籍していた医療従事者が逮捕されることとなりました。
看護師による患者殺害事件
殺傷能力のある液体を体内に注ぐ行為がいかに危険なことであるか看護師であれば想定できる立場にありながら、悪質な犯行で逮捕された犯人は立件された人以外にも全部で20名ほどに薬物を入れたとしており、事件が公になるおよそ3カ月前から病棟では40名以上の患者が亡くなっていることから発覚前の患者に対しても犯行をしていたことが伺えます。
人の命を救う立場の看護師が人の命を奪うという残忍な犯行は当時世間を騒がせた大きなニュースでしたが、それ以上に世間を驚愕させ、呆れさせたのは犯行に至ってしまった犯人のあまりにも自分勝手ともいえる動機でした。
白衣の天使とも呼ばれ、医師からも患者からも信頼される立場であるはずの看護師が何故このような惨劇を引き越したのでしょうか。そこには、病院内での人間関係のトラブルなど職場の闇の部分もあったとされています。
戦後最悪規模の殺人
この事件の犯人として容疑者の看護師は、他にも大勢やったと供述をしていますが事件が公になる前から短期間の間に50名近い人が亡くなっていることからこの内の何名かは点滴に薬物を入れたことが原因ではと言われていますが、発覚前の死亡者は既に家族により埋葬されているため証拠はありません。
大口病院事件の概要
日本の歴史を遡っても類を見ない、戦後最悪規模の大量殺人と呼ばれるこの事件は殺害されたという人数が多いこともそうですが犯人が医療従事者ということも大きなニュースとなります。事件はどのようにして発覚したのでしょうか。事件が明るみに出た時から直近の病院内の様子・捜査が難航したことについて項目ごとに紐解いていきます。
大口病院事件は点滴袋を偶然落とすと泡立ったことから発覚
事件が、最初に明るみにでたのは2016年の9月になります。容体が急変した入院患者の処置をしていた際、看護師が投与中の点滴が落とてしまった時に、点滴袋の中の輸液が異常なほどに泡立ったことから成分を確認するとヂアミトールが点滴に混入されていることが明らかになりました。
また、数日前に死亡した患者の遺体を調べてみたところ、同じ薬物が発見された為念のため外部の人間が入れない場所に保管されていた未使用分についてもチェックしてみたところ、全てではありませんでしたが数個の点滴袋から注射の痕跡のような不自然な穴があることが判明しました。
大口病院事件の病院では3か月に約50人が死亡
この痛ましい惨劇の現場となった病院の病棟では、事件明るみになる前のわずか3か月の間に48人の患者が亡くなっていることが確認されており技術を必要とする方法や外部の人間が簡単に入ることのできない場所に保管してある未使用の点滴にも混入されていたから外部犯行ではなく病院内部の者による殺人事件の可能性が浮上しました。
以前からも、この病棟の患者は短い期間で亡くなる人の数が異常すぎるのではないかや、何故この病棟だけで多くの人が亡くなるのか等病院内部からも疑問の声が上がっていて、不吉だ等の噂が流れたこともあります。しかし、噂はあくまで噂であるということで誰も犯罪によるものとは気づいていませんでした。
大口病院事件は2年も犯人が分からず
警察の地道な活動により犯人逮捕に至るまでに実に2年の年月がかかりました。凶器となった消毒液は、業務上使用頻度が高いものであり院内の至るところにあったことと、事件発覚前に亡くなった被害者に関しては、すでに火葬が済んでいたため遺体を調べることができなかったことから犯人特定は難しく捜査は難航しました。
捜査のために、警察が看護師のナース服を鑑定してみると、ポケット付近から犯行に使用された薬剤の成分が見つかり、容疑者が深夜の巡回中に、投与の必要のない製剤を手に院内をウロウロ歩く姿が防犯カメラに残っていたこと・1人で病室に入る所をスタッフに目撃されており、その直後に容体が急変したこと等から犯人を絞り込み追い込んでいきました。
大口病院事件の犯行手口
看護師が行った犯行の方法はどのようなものだったのでしょうか。犯行の手口については複数説が存在しています。ここでは、犯行の手口や、混入されていた薬剤について紹介をしていきます。
大口病院事件の犯行手口①未使用の点滴に細工
まずは、患者に投与中の袋からだけでなく保管してある未使用の点滴から通常入っているはずのない成分が検出されていることから、ゴム栓部分の保護フィルムの箇所に細い針で刺したような痕跡があったため、注射器のようなものでランダムに薬剤を混入し入院患者を死に至らしめたものです。
もう1つは、ある亡くなった患者の遺体からは高濃度の薬剤の混入が確認できていますが、治療に使った点滴の中からは見出ていないため、点滴のチューブに直接投与した2つの方法があるとされており状況により手口を使い分けていたことが推察できます。
大口病院事件の犯行手口②ヂアミトールを混入
見つかったのは、ヂアミトールという殺菌作用のある液体で通常点滴の中に入っていることはありえない殺菌製剤になります。原液は刺激症状が現れることがあると言われており注意事項としても皮膚や粘膜に付着しないようにすることや口に入れることの無いようにとの注意がある薬剤になります。
手指消毒や器具の滅菌・消毒に使われている薬剤になり、器具によっては煮沸消毒をする際に使用するなど使用用途は様々であるため、院内のいたるところに置いていた薬剤になります。他、薬物混入による殺人事件に関する記事はこちらをご覧ください。
大口病院事件の犯人とは?
この戦後最悪規模の大量殺人を犯した看護師はどのような人物なのでしょうか、犯人として逮捕された人物の事やこの人物は記者からの質問などに対して無関係であるかのうように平気な顔で答えていたことなど、犯行を行うに至った動機などについて紹介していきます。
大口病院事件の犯人は看護師の久保木愛弓
2年にも及ぶ捜査の結果、警察により事件の被疑者として逮捕されたのは女性の看護師でした。状況証拠から容疑者に対して事情聴取を試みたところ、消毒液を混入して死亡させたことを自白したため逮捕となります。他、医療従事者による事件に興味のある方はこちらをご覧ください。
大口病院事件の犯人は取材には素知らぬ顔で答える
犯人の看護師は逮捕前に記者から取材を受けておりこの時の彼女の回答は「何故このような酷いことができるのか」「自分の家族が同じ目にあったらどう思うのか」「絶対に許せない」等話しており犯人ではないかのように平気な顔で受け答えています。
大口病院事件の身勝手な動機とは
久保木愛弓は取り調べで「自分が働いている時間帯だと、家族へ説明しないといけないため、それが面倒と感じていた」や、以前「スタッフから自分の落ち度を指摘されたことある。」「それからは、自分の勤務時間外に死亡させるようにした」「繰り返し行っていたら感覚がマヒしていった」等と供述しておりあまりにも自己中心的な言い訳の動機となります。
大口病院事件の犯人は容疑を避けるため「呪い」の噂を流した?
事件が起きていた当時「呪われている」「こんなにも立て続けに人が亡くなるのは悪霊のせい」等の不吉な噂があったと言われています。立て続けに患者が亡くなるのは4階のフロアだったことから4階は不吉だや、4階に入院したら死んでしまうなど囁かれていました。
「医療ミスのせいだ!」「呪ってやる」と叫んだや「他の病院から転院してきた患者がすでに亡くなっている人が夢に出てきた数日後に死亡した」などの噂が流れ、これは犯人が容疑を避けるために自分発信で流した噂なのではと囁かれています。
大口病院事件の犯人の判決
警察は9件の罪で検察に送検していましたが、横浜地検が起訴したのは8名に対する罪で12月にまとめて一括で起訴を行います。起訴の内容や20人以上に対して薬物を混入したと供述していなが、起訴できたのはわずか8件分の罪のみだった理由などについて解説していきます。
2018年患者3人の殺人罪と5人の殺人予備罪で起訴
横浜地検が起訴したのは患者8名分に対しての罪になり、3人に対しては殺人罪での起訴、5人分の点滴液に消毒液を混入して殺害しようとした殺人予備罪での起訴の8件となります。
警察は4人目の被害者いついても逮捕していましたが、本来別の患者用に消毒液を入れたが、意図せず別の患者に投与されたしまった可能性がある判断され、4人目に関しては不起訴処分となっておりこの裁判は今も最終的な判決は出ておらずまだ裁判の途中となっています。
大口病院事件の多くの死亡患者は火葬済みで立件が困難
久保木愛弓本人が、20人ほどに薬物を混入したと自供しているにも関わらず、立件がわずか8名分だったのはこの事件の被害者とされる患者の多くがすでに火葬されており薬物混入により亡くなったかどうかの判断が不可能であったためと言われています。
大口病院事件の犯人の人物像
戦後最悪規模の大量殺人を行ったとされる久保木愛弓とはどのような人物なのでしょうか?犯人であり現在裁判中の久保木愛弓の人物像について性格や周囲からの印象などについて紹介をしていきます。
大口病院事件の犯人の人物像①大人しい性格だった
久保木愛弓は幼少期は水戸市で生活しており、家族は両親と弟の4人家族でした。子供たちが遊んでいるのを少し後ろから見ているような子だった、授業中に発言はしない、学校行事などでも周囲の意見に同調して従うだけだったと言われておりおとなしい性格であったことが伺えます。
大口病院事件の犯人の人物像②周囲からは変わり者とみられた面も
また、病院の関係者の中には久保木愛弓の事を変わり者とみている人も多かったと言われています。理由としては「他人の飲み物を飲んじゃったり、なんだかんだと言われたりしている」と本人が述べているように変わり者とみられていた原因ではと囁かれています。
大口病院事件の現場の病院とは?
事件の現場となった大口病院は普段から看護師同士の諍いがあったり、患者への対応などで様々な疑問の声が上がっていました。戦後最大規模の大量殺人を生み出してしまったといわれている病院の看護師同士の職場環境や患者に及ぼした影響などについて紹介していきます。
大口病院事件の現場①看護師同士のいじめが横行
現場となった病棟では、「看護師個人のの筆箱に注射針針山のように刺されていたことがある」「ナース服が破かれる」「記録物が紛失する」「飲み物を飲んだらあ唇がただれる」など様々な看護師同士の壮絶ないじめあったと言われており、いじめが日常的に行われていたことで看護師同士の言い争いも絶えなかったそうです。
また、お局のような先輩がおり査定で贔屓をされたり自分だけきつい仕事を押し付けられたりする他にも、スタッフをランク付けしていたり、お気に入りのスタッフと気に入らないスタッフの扱いの差が酷いなどパワハラが日常的に行われていたことが明らかとなっています。職場でのトラブルにより退職する看護師も多くいたそうです。