また、このような看護師の対立は患者への対応にも影響が出ていました。家族の前で看護師が患者を怒鳴ったり点滴が公共の場所に放置されているなど他の病院ではありえないような状況が慢性的になっていたと言われています。
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大口病院事件の現場の病院のその後
事件の後大口病院は休業を余儀なくされましたが、2017年12月に横浜はじめ病院に名前を変更し外来診療を再開することになりました。さらに、2ヶ月後の2018年2月から外来のみではなく入院の受け入れも再開しています。
大口病院事件への病院・市の対応も問題に
この事件は看護師が病院内で大量殺人を犯したことで世間を震撼させ注目されることとなりましたが、病院や市の対応などにも様々な問題が発覚しています。病院や市の対応にはどのような問題があったのか解説していきます。
大口病院事件の病院問題を市は知りながら放置
横浜市のほうには以前より、「制服が切り裂かれた」、「飲み物に薬物を入れられた」の他にも多くの病院内でのトラブルについて情報が上がってきていましたが、市は病院に詳細事情を確認していませんでした。
事件の後に市は第三者委員会を設置しており、第三者機関の結論では「患者の安全や看護に関わる事でもあったのに放置していた」とし、市はもっと早くに行動を出し調査するべきだったと市の対応を批判しています。
大口病院事件当初、病院は警察に相談しなかった
病院側でも、1人や2人ではなく多くの看護師の制服が破かれていたこと、カルテの一部を紛失されたり、看護師個人のペットボトルや飲料物に異物を混ぜられるなど、傷害事件として扱うレベルの問題に対し、院長は「看護師同士での問題だったため、院内で解決するべきことだた思った]と話していました。
しかし、有効な解決策を見出すことが出来なかった上に、そのままの状態にし警察への相談もしていませんでした。そのため世間からは「病院側がもっと早くに対処して警察などに相談していればこのような凄惨な事件は起きなかったかもしれない」など世間からのみならず病院関係者からも批難の声が上がりました。
大口病院事件から読み取れる病院の闇
病院の闇の問題は、大口病院だけの問題ではなく他の病院でも起こり得る可能性がある闇になります。ここでは大口病院の事件から読み取ることができるどの病院でも可能性がある問題と闇について、2つの観点からみていきます。
大口病院事件から読む病院の闇①終末期医療の問題点
日本では高齢社会となり、平均寿命は上がっています。また、末期がんなどの死を待つばかりの老人患者を受け入れることで終末期医療や緩和ケアなど病院経営が成り立っているという現実もあります。しかし、大量の患者を受け入れ命を繋ごうとすると人員不足の問題などから病院が疲弊していることも事実であり、病院が抱える問題の1つでもあります。
大口病院事件から読む病院の闇②寝たきりの延命は正しいのか?
チューブや呼吸器などを使用して、無理に延命しているため、日本の平均寿命は長いだけとの見解もあります。しかし自分で意思表示のできない患者に病院側の独断で苦しい思いをさせたり、患者の家族に苦しんでいる姿を見せたりすることが本当に最善の行為なのかをこれから先さらに高齢化が進む中で考えていかなければいけないことになります。
海外の延命治療はどうなっている?
日本でも延命治療を望まない患者・ご家族には延命治療を望まない旨の同意書にサインをしていれば呼吸器などを使用しての無理な延命治療を行うことはありません。では、海外ではどうなっているのでしょうか?海外での延命治療について紹介していきます。
ヨーロッパの福祉大国
ヨーロッパの福祉大国にはデンマークやスウェーデンがありますが、どちらの国も寝たきりの老人や患者などはいないと言われています。理由としては、高齢や終末期のがん患者などは口から食べ物や飲み物を摂取することが難しくなることは寿命という観点から当たりまえの事であるという考えがあるからです。
そのため、人工的に栄養を補給させ命を延ばすことは非倫理的であると認識されていて、老人虐待という捉え方をする人もいると言われいます。このため、デンマークやスウェーデンで寝たきりの患者がいないのは人工的な延命治療を行わないため寝たきりになる前に亡くなるからと言われています。
アメリカ
アメリカの場合は、余命6ヶ月と宣告された場合には3つの選択肢があります。1つ目は治療を続けるか否か2つ目は自宅に戻って自宅で最期を迎えるか3つ目はリビングウィルの3つです。リビングウィルは患者本人が書くもので意思表示ができるうちに自分はどうしたいのかを書いておくものです。
リビングウィルは州によって呼び名は変わりますが、どの州でも法的な拘束力があるため記載されていることは必ずやならなければいけないという決まりがあります。アメリカでは、患者本人が3つの選択肢から自分の望む最後を迎えられることで近年では、治療を続けず慣れ親しんだ自宅に戻って最期を迎えるケースが増えています。
韓国
韓国では、本人の意思により延命治療の中断を決定できる「延命治療決定法」という法案が2018年の2月に施工されています。この法案には、条件があり厳しい設定があります。条件は「蘇生の可能性がない・回復の見込みがない・症状が悪化し死が近づいていること」になります。この判断は担当医師と該当分野の医師1人とで判断されます。
また、この法案には延命治療は中断できるが痛みを緩和するための治療と栄養分の補給と簡単な酸素供給は続けなけれいけないという決まりがあります。しかし、法案が成立したことにより尊厳死の選択が韓国では可能になりました。
ターミナルケアにおける日本の課題
ターミナルケアとは医師によって余命6ヶ月以内と判断された場合、心身の機能維持を目的としたケアになります。日本でも患者の中には自宅で最期を迎えたいと望む人は増えていますが、実際には病院や施設等を最後を迎えることが殆どで患者の希望が叶えられていないのが現状となります。
日本では、自宅で疼痛ケアや緩和ケアができきることがまだ広く普及していなため、医療機関で最期を迎える事が多いため今後医療機関や在宅看護との連携を患者や家族が密にして少しでも患者の望む最後迎えて送り出してあげることが日本のターミナルケアの課題であるとされています。
大口病院事件と類似した事件
大口病院事件は、日本において戦後最悪規模の大量殺人と言われている事件になりますが日本や海外でも看護師や介護士などによる患者の殺人事件は起きています。ここでは、日本と海外で起きた看護師・介護士による事件を紹介していきます。
仙台筋弛緩剤点滴事件
2000年に仙台市のクリニックで起きた、准看護師による筋弛緩剤を使用した事件になります。点滴中の患者の容体が急変し一命をとりとめるも植物状態となったりするなど不審な急変がクリニックでは起きていたそうです。
この事件で逮捕されたのは、守大助准看護師で守大助がこのクリニックに勤務し始めた時期と不審な急変が始まった時期がほぼ同時期であったことから捜査線上に浮上し廃棄物を処理しようとしていた守大助に対し警察が中身を確認すると筋弛緩剤の空のアンプルが見つかり逮捕となりました。
裁判の行方
守大助は当初警察の取り調べにおいて犯行を自供していましたが、数日後から否認に転じ裁判でも一貫して無罪を主張していました。2004年に開かれた1審判決では無期懲役の判決が下りましたが、弁護側は即日控訴をしています。2審の控訴審においては、異例の事態が起こった裁判となりました。
弁護側の請求に対し裁判所が却下したことに対し弁護側は抗議として途中退席をしたことが弁護放棄とみなされ審理は打ち切られています。判決日に弁護側審理の再開を要求しますが裁判所は却下したため弁護士と守大助が声を荒げ退廷させられそのまま控訴棄却となりました。上告をしますが、棄却され無期懲役が確定します。
看護師インスリン殺人事件
1993年知人の男性を殺害したとして看護師の林多美子が逮捕されます。林多美子は知人男性を自宅に招き睡眠薬入りの飲み物を提供し、その後病院から持ち出したインスリンを被害者に注射し低血糖にして死亡させたとされています。
林多美子は殺害後、遺体を資材置き場に運びガソリンを付けて遺体を燃やしています。交友関係から林多美子が浮上し犯行を自供したため逮捕となります。知人男性は林多美子を脅迫していたと言われておりそのことが原因での犯行とされています。
裁判の行方
地裁の判決では、睡眠薬を準備したりインスリンを持ち出すなど犯行は計画的なものであるが、被告人が被害者を殺害するまでに至った原因は被害者側にあるとして懲役7年の判決となっています。
さわ病院元看護師患者殺害事件
大阪のさわ病院で2012年認知症で入院していた男性患者布団に巻き付けられた状態で死亡しているのが発見された事件で、警察は病室内で患者をうつぶせにするなどして窒息死させたとして坂本善高を逮捕します。被害者の死因は胃の逆流物を喉に詰まらせた誤嚥による窒息死となります
調べに対して坂本善高は、患者を大人しくさせるために布団を巻き付けてしまったが、殺すつもりはなかったと殺意については否認をしています。しかし、警察は長年被害者を看護していた犯人にとって誤嚥しやすい状態を作り放置したことは業務上過失致死ではなく未必の故意による殺人罪であるとしています。
ドイツ人男性大量殺人事件
事件は、2000年から2005年にかけて勤務していた2か所の病院で患者に対し不整脈に使う薬などを100人近くに投与しそのうちの85人が死亡したドイツ史上最悪の連続殺人事件と呼ばれている事件になります。被告の男性には、ドイツの刑の中では最も重いとされる終身刑の判決が下されています。
イギリス人女性看護師新生児殺害事件
イギリスのリバプールにある病院で2015年・2016年に8人の新生児を殺害したとして、ルーシー容疑者が逮捕された事件になります。病院側はルーシーが病院で働きだした2015年と2016に新生児の死亡率が急激に上がり死亡の原因が不明だったため、警察に捜査を依頼したのが発端となります。
この事件に関しては新生児を死亡させた手口についても警察は明らかになておらず、またルーシーは他にも、18人の新生児を死亡の死亡に関わっているのではとされ現在も捜査が継続中になっています。
職場環境の改善はどの職業でも課題である
職場環境のトラブルは何も今回の大口病院だけの問題ではありません。また、病院だけでなく様々なジャンルの職業でも職場のトラブルというの付きまとってしまう問題でもあります。労働環境の問題や人間関係等様々なトラブルはありますが相談機関も多く存在していますので紹介していきます。
仕事内容など労働環境によるトラブル
2015年にも電通に勤務していた女性社員が行き過ぎた時間外勤務による過労自殺として大きなニュースとなりました。このように長時間拘束など労働基準に違反している可能性がある場合には労働組合や労働基準監督署などがありますのでそこに相談してみるのが一番です。
労働基準監督署には相談窓口があります、労働環境などについては職場に直訴するのが難しいと感じた場合労働基準監督署の相談窓口に連絡するようにしましょう。労働基準監督署は全国に設置されていますのでどこの県で働いていても相談可能となっています。
人間関係のトラブル
同僚同士や上司からのパワハラなどのトラブルについては、民間の相談窓口もありますし会社によっては匿名で相談できる窓口が設置してある企業もあります。特に上司からのパワハラは上からの圧力になりますので会社では相談しにくいことから一人で抱え込んでしますケースが多いです。
人間関係のトラブルは自分自身の精神的なダメージにもつながり仕事にも影響が出てくることも多々ありますので、早急な解決が望ましいです。また、トラブルの内容によっては警察に介入してもらわないといけないこともありますので、少しでも悩みを感じたらまずは相談することが一番重要となります。
職場における人間関係改善方法
仕事場で人間関係が悪化すると仕事の辛さ以上に苦痛を感じてしまい辞める人も出てきてしまいます。心身共に疲れてしまい体調をくず人もいますので、そうなる前に改善することが大切です。具体的な改善方法には下記のようなものがあります。
- 信頼関係を築く:自分に似た人に共感や好意を持つので心地よさや話しやすさなどが形成されます。そのことで友好的な関係となり信頼関係を築き上げることができるようになります。
- 積極的な傾聴:人は、自分の事を周囲の人に知ってもらいたいと求めるものです。そのため、相手の話を積極的に聴き肯定することで相手の信頼関係を築き上げ友好的な関係になれます。
- コミュニケーション能力を高める:コミュニケーション能力を高めるためには相手の話を聞き逃さないことや気持ちを汲み取ることが重要です。これができるようになると相手からも信頼を得ることができ会話の向上にもつながります。
- 人の行動に視点を向ける:相手の行動に視点を向けるてみたり相手の立場になって物事を考えると同調できる部分が見えてくるようになります。
- 自信をつける:自分に自信がないと目標を見失ったり諦めてしまったりするので、自分に自信をつけて諦めないことが大切です。
- セルフイメージを高める:自分はどのような人間か、得意なものや苦手なものを考え苦手なものを克服するイメージを持つことが大切です。
- 問題をプラスに変える:問題が起きたときに、もう嫌だ・まずい・どうしようと考えるのではなくチャンスだと思いこの問題が解決すれば大きな成功となるとプラスに考える思考を持つことが大切です。
- 安全地帯を作る:どうにも自分で解決できないことには、周りに相談することです。友達や恋人・家族など自分の安全地帯を確保しておきましょう
他にも、職場関係における人間関係のトラブル解決方法はたくさんあります。自分に合った解決方法をみつけ一人で思い悩むことがなく、会社全体の雰囲気が良くなるように自分自身でも改善を試みていくことが大切です。
大口病院事件は犯人の周りも影響して起きた事件
この事件を起こした久保木愛弓の犯した罪は個人的な身勝手な理由になり、このような一個人の自分勝手な理由で人の命を救う側の人間が人の命を奪うことは決して許されることではありませんが、看護師や病院が抱えている問題はどこの病院でもどの看護師や医師にでも起こり得る問題であるとして考えていく必要があると言えるでしょう。
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