「トンボ鉛筆の佐藤」とは
昭和の流れを受け継いだ当時の会社至上主義の社員教育をしていたトンボ鉛筆の採用担当部門で働いていた20代後半の若手社員です。応募者への高圧的な文章が人事部のチェックを通過し、震災後に地震被害の内容を加筆して3,000人以上に送信したメールが問題となる騒動です。人事部の若手社員佐藤氏は時代変化の兆候を見逃して、震災後には厳しすぎる条件に疑問を持たなかったことが論点になりました。
東日本大震災時に人事を担当していた社員
通常の生活が送れなくなった災害で家や家族を亡くした就活生がいるであろうと予想する被害が続く中で就活生へ頑張れば可能と言えない条件のメールを配信したことが問題になった人物です。地震発生の2011年3月11日に佐藤氏も東京の会社から自宅まで歩いて8時間かけて帰りました。
就活生にたいする高圧的態度が炎上
会社説明会に予約できた学生に必要な書類を送付したという内容のメールが説明会に出席できない学生にも送信されその後の指示はなく、さらに震災後には就活生全員へ難問を突きつける内容のメールで対応がひどい内容だと炎上した騒動です。大地震になると人々に思い出され書き込みが増える現象が今も残っています。
トンボ鉛筆の佐藤騒動の概要①震災前
トンボ鉛筆のような大手企業は会社至上主義を隠さず企業側の横暴さが見えました。2011年は就職氷河期の再来だったことで数少ない募集枠に入るために学生は良い印象を作る努力をしてアピールします。会社説明会への予約の取り方もハッキリしない指示で不必要な努力をさせていました。
2011年3月1日に就職説明会予約開始
準備していた場所の都合から340人枠で予定した会社説明会は3,000人以上の希望者のネットエントリー方法でした。開始時間に予約ボタンが表示されるシステムですが、3月1日午後1時ちょうどではなく前後の時間帯からチェックするよう事前指示がありました。人生を左右する就職試験が運だめしの傾向で軽く扱われる印象が否めません。
事前に送られた予約を説明するメール
この文章の送信者は佐藤氏ではありませんが似た雰囲気の文章です。
3/1(火)会社説明会の予約が開始となり、現在予約画面は表示されていますが明日3/1の告知時間にこの空欄に予約ボタンが表示され押せるようになり予約開始の合図です。
(引用:東日本大震災でやらかした人まとめWiki)
簡単には予約ができないシステム
一筋縄にはいかないトンボ鉛筆人事部では何をするにも努力が必要という態度を示しました。
午後1時というのは時間ちょうどとは限らずその前後の時間帯にもチェックしててください。
例年心配で電話している最中に予約が始まり予約できない方もいます。(引用:東日本大震災でやらかした人まとめWiki)
予約が取れた就活生のみ優遇
佐藤氏が予約終了後に送信した文章の抜粋です。
予約者の方に優先して書類を渡すメリットを与えましたが皆さんには与えてません。
この期間にかいしゃへのじょうねつをたやさないでいた場合それが文章となり私達へ伝達すると期待しています。
伝える努力はしてください。伝えることって本当に難しい。
(引用:ジョブシフト)
不適切な対応で就活生が不安に
予約できない学生に今後の展開が最後まで伝えず、予約できた学生には書類が送付された事実を伝えました。
その気持ちを作り上げることは、予約している学生と比較すると皆様に可能性があると思います。私もまだ気持ちの整理ができていなので 変な文書になっているかもしれません。
(引用:ジョブシフト)
就活生からの質問への回答
今後の予定がわからず不安を募らせた就活生が問い合わせメールを送信しました。予約できた学生に書類が送られ、十分な差をつけていることで、会社説明会に参加できない学生へ今後の予定を明確にしない必要はなくパワハラと指摘される内容でした。
こんなことで男がテンション下げちゃダメですよ
男らしくないと励ましているようです。将来のために行動しているだけです。
正直少し残念です。 説明会に参加できないと選考に進めないと言いましたか? メールに何を書いていましたか? 男女差別はしてませんが、男女の区別はしています。 男としてこんなことでテンション下げてはダメですよ!
(引用:ジョブシフト)
他の会社に気が移るのはOK
他社を視野に入れたらいいとお勧めしました。
今後について確定したものを全員にお送りします。 いまこの時間をどうつかうか?他社さんを検討するのもひとつの手ですが…。 いずれにしても後で振りかえってこの時間が貴重だったと 思えるよう過ごしてください。
(引用:ジョブシフト)
高圧的な文章
今後が不透明なせいで不安に思う就活生に対し、問い合わせしたことで印象が悪くなり不安なら他者を視野に入れていいという回答がブラック企業を決定づけました。通常なら「全ての就活生に宛て、今後の予定を近日送信する予定」だけを伝える文章でよかったのではないでしょうか。強気で高圧的な文で就活生の気持ちが落ち着くわけがありません。
トンボ鉛筆の佐藤騒動の概要②震災当日
衝撃的な被害をもたらした震災は広い範囲で被害がありました。関東から北へ行くほどライフラインも脅かす状態が何日も続きます。東京の都心でも交通機関停止と建物崩壊で死傷者が出た当日の通信手段がパンクしている最中に佐藤氏が就活生宛にメールを一斉送信しました。
2011年3月11日に東日本大震災が発生
地震が収まった後、東日本地域の人々が家族・知人・会社への安否確認をする電話とメールが一斉に発信されたことで次第に回線が不安定になり地震から1時間も経過しないうちにメールや電話が使えなくなりました。状況はテレビやネットから報道されるニュースのみとなり時間が経過するほどに被害の大きさを知る事になります。
トンボ鉛筆の佐藤が安否確認メールを送信
気が動転した行動なのか佐藤氏が就活生へ安否確認を一斉送信しました。日本国民が緊急事態と認識した震災の中、就職希望企業担当者からの安否確認が「場違い」で「配慮がない」ことは明確です。また「返信不要」の記載がなく、意図していなくとも緊急時に返信しなければならないかと気を使うことになります。
トンボ鉛筆の佐藤騒動の概要③震災後
地震の発生から2日後の13日に問題のメールが送信されます。2日経っても余震が続き、千葉県では地盤の液状化も始まり二次的被害に注意した生活が続いてる最中に問題のメールが送信されました。
トンボ鉛筆の佐藤から選考に関する厳しい条件が送られる
就職希望者へ向けエントリーシートと履歴書をメールで送信して配布し、パソコンやプリンターが用意できない学生もいると想定する時でした。宮城県では津波で家や家族が流された人々や原発問題が公に報道され、二次災害を防ぐための生活が続いている最中でした。週明け送信予定のメールで履歴書とエントリーシートをお送りします。
2日後までに書類送付することを指示
3月15日の消印で郵送するよう指示がありました。
とても厳しい条件をつけます。その条件とは1点だけです。書類選考の申し込みは添付した履歴書フォーマットとエントリーシートを完成させ2日後の3月15日中の投函でその2枚をセットにして郵送してください。
(引用:ジョブシフト)
トンボ鉛筆の佐藤は説明会を予約した学生には出席を強いる
地震で都市機能が壊滅している時に変化のない高圧的な企業体制を表しました。
説明会へ予約した人は予定どうり書類持参で出席ください。会場でひと通り説明・指示はします。できないばあいは・・・そのさきはいうひつようないですよね。
(引用:ジョブシフト)
トンボ鉛筆の佐藤自身も被災しているという謎のアピールも
震災2日目に生活の心配をやめ、ネットの使える環境でパソコンとプリンターを確保し書類を完成させ、郵便局へ行き3月15日までに受付するという条件がその時の全国的な募集条件であれば平等さはありません。佐藤氏も自宅まで大変な思いをして帰宅したと、佐藤氏以上の被災をした学生を想定していないようです。
佐藤騒動への会社の対応は?
文章の内容でトンボ鉛筆株式会社に苦情が入りました。「そのさきはいうひつようないですよね」や「かんがえてみてください」などは「みなさまがいいたいことやふまんがあるのはしょうち」も偉そうなこの文章はネットで炎上し、震災の最中にもかかわらず震災を顧みない企業と注目されます。
トンボ鉛筆のゼネラルマネージャー「長尾弘司」が対応
文章の内容があまりにその時の状況を無視した内容であったことで総務部に苦情が相次いだ事で、次の日の3月14日に総務部GM長尾氏が送信したメールには高圧的なメール内容を謝罪しています。
トンボ鉛筆はHPに謝罪文を掲載
トンボ鉛筆株式会社のHPに長尾氏の謝罪文が2019年6月までの8年間掲載されました。問題になった佐藤氏のメール内容が反感を買いましたが翌日には就活生へのお詫びと厳しい条件を撤回する内容が送信されたことで炎上は一日で終わりました。
トンボ鉛筆は説明会と書類の締切日は延期に
佐藤氏の送信内容を謝罪する内容と電力におけるライフラインの問題から会社説明会は延期すること、15日消印で郵送のエントリーシートも提出は保留し予定決定後に再度連絡しますとの内容です。震災において色々な個人の状況と立場を考慮し就職活動が全力で行える状況ではないので就活生や家族への心労が減るように考慮した対応でした。
他の企業は震災にどのように対応したか
広い範囲で地震、津波、原発問題と被害の大きい東日本大震災は復興支援に立ち上がる人が多い中で就職活動を行うことが被災者への負担が大きいことは明らかでした。他大手企業の対応は時期をひと月以上ずらした企業が大多数ですが、約25%の企業は被災地だけずらすかそのまま行われました。
長尾の謝罪文
謝罪文の抜粋です。この内容はトンボ鉛筆HP内に8年のあいだ掲載していました。
先ず、東日本大震災発生後に、被災した現状を配慮をせず書類選考用紙などをメール送信し、その提出締切を2日の猶予で消印有効としたことは言語道断であります。また、いたるところで平等でない表現もありました。さらに、採用担当の立場で驕り昂ぶりがあらわれた言葉づかいが随所に見られ、重ね重ねお詫び申し上げます。
予約できない学生に今後の展開が最後まで伝えず、予約できた学生には書類が送付された事実を伝えました。
その気持ちを作り上げることは、予約している学生と比較すると皆様に可能性があると思います。私もまだ気持ちの整理ができていなので変な文書になっているかもしれません。
(引用:ジョブシフト)
佐藤は厳しく指導
その後の対応と佐藤氏の今後が記載されました。
早速、公に発信する文書の事前社内校閲ルールを設置し、再発の防止をしてまいりますと共に、当該の担当者を厳しく指導しました。あらためてこのたび、不適切かつ配慮にかく文書を発行しましたことを深くおわび申し上げます。
(引用:東日本大震災でやらかした人まとめWiki)
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トンボ鉛筆の佐藤とはどんな人物?
就職活動を支援する立場の人事課において佐藤氏だけが問題視され罰せられました。しかし一人で採用までの仕事を行うわけではなく会社の意向が佐藤氏のメール内容とは全く違うものではないはずです。佐藤氏はどのような立場で仕事をし、あのようなメールを配信したのでしょうか。
20代後半の若手社員
人事部の研修グループで働く佐藤氏は20代後半で会社内では若い世代でした。人事課という人を見る立場としては経験が浅く在籍する社員が外部の就活生4,000人以上に送信するメール内容をチェックしたのは震災前であり、震災後に地震の内容を加えて送信したなら納得だとの説もあります。
就活生に対する自分の立場が上という意識
前年から短い期間ですが就職氷河期だったことで20代の若手社員佐藤氏は採用する側の高圧的な考えに染まっていたことが考えられます。そういった考えに染まらない人事部の社員教育ができなかったことで、トンボ鉛筆の企業体質も問題視されイメージダウンしてトンボ鉛筆の商品を不買行動する人が出ました。
トンボ鉛筆の佐藤はその後どうなった?
クレームとSNSで佐藤氏のメール文が暴露され社内では大変な騒ぎになり、トンボ鉛筆での対応が総務部の長尾氏が行った二通のメールにより早い対応で収束します。佐藤氏への処分が早すぎる対応でありブラック企業のイメージが定着します。
トンボ鉛筆の佐藤はSNSで炎上し非常識さが批判される
ネット世代の就活生がトンボ鉛筆からのメールの文章にとうとう怒りを表してSNSにて公開処刑を始めました。その行動を行う人は少数と思われますが、あまりに威圧的で震災時の配慮のなさで炎上が始まり一夜にして広まります。
佐藤は会社を解雇処分に
人を採用する立場で佐藤氏の就活生を軽んじた文章へのバッシングはネット炎上を起こす世の中に強い印象を残し、今後社内で仕事をするだけでも悪い噂が消えることはないでしょう。佐藤氏当人とトンボ鉛筆どちらの立場から見ても解雇処分は妥当でな判断でした。問題発生の翌日に処分が決定していることで人の扱いがひどいということもわかります。
トンボ鉛筆の佐藤騒動の会社への影響
2013年に創立100周年を迎えた株式会社トンボ鉛筆はコーポレートマークの変更を行うなどイメージ回復に取り組んでいます。佐藤氏が若手社員だったことで全ての文章を佐藤氏が考えたとは考えられないことからトンボ鉛筆の企業イメージは下がりました。
佐藤騒動によって会社の信頼が下がった
この騒動の後から文房具屋で商品を購入する時にトンボ鉛筆の商品か確認するという人が出てきてしまったようです。将来を託す企業を選ぶ就活生からも佐藤氏の事件が語られ、消費者と就職希望者の両方が減るという結果になりました。
佐藤はネット上で今でも語り継がれている
2011年以降たびたび襲う大きな地震のたびに「トンボ鉛筆の佐藤」を思い出すという人がいます。東日本大震災の起きた3月11日が近づくとネット上での検索ワードに「トンボ鉛筆 佐藤」がランキングに現れ始めるという事実があり、当時からもうすぐ10年が過ぎる頃の現在でも語り継がれる事件となっています。
株式会社トンボ鉛筆の概要
令和元年に創立100年を迎えたトンボ鉛筆はロゴマークを変更しトンボが飛ぶイラストで上を向いてます。大人が楽しみながら使える文具は海外旅行のお土産候補にあがるほどです。それだけ長い歴史を持つトンボ鉛筆の悪いニュースは人事部の佐藤だけではありませんでした。良い面悪い話合わせて紹介します。
大正から続く老舗文具
1913年「小川春之助商店」が創業し文房具製造業から販売卸も手がけました。その後時代に合わせ「トンボ印」鉛筆になりました。お客様に頭を下げる姿勢を表した頭を下にしたトンボマークで定番の黄色い鉛筆です。もうひとつの定番鉛筆、三菱鉛筆と合わせて9割のシェアで現在も残る日本中で使われている鉛筆です。
消しゴムから始まったクリエィテブ
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