ヒバゴンって何?
50年ほど前の夏、広島の田舎で奇妙で不可解な出来事がありました。夏の夜に地元の男性が山道を軽トラックで帰宅する時の事。突然子牛くらいの大きさの怪物が道路を横切り、ゆっくりとこちらを見ながら森の奥へと消えました。
ヒバゴンは広島で目撃されたUMA
猿に似た姿の未確認生物(UMA)ヒバゴンの目撃情報は中国地方の真ん中に位置する、比婆郡の比婆山付近に集中しています。1970年代前半にツチノコと並び、日本中で未確認生物ブームを巻き起こしました。
未確認動物(未確認生物)とは目撃例や伝聞による情報はあるが、実在が確認されていない生物のことである。日本ではUMA (ユーマ)とも呼ばれるが、これは日本人による造語。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
ヒバゴンは日本固有の類人猿?
「本当にヒバゴンを見たんだ!信じてくれ!」との証言も、町の人々には「大きな猿じゃなかったのか?」「いや熊だろう」と中々信じてもらえず、動物学の専門家の発表で猿ないしは熊に断定されても、未だに正体は不明なので日本固有の類人猿だと言う説も強ち払拭はできません。
何でヒバゴン?由来は?
名前の由来は目撃情報の多い比婆山(ヒバヤマ)からヒバゴンと呼ばれています。相次ぐ目撃事件を重く見た町役場では、類人猿対策委員会が設立され、初遭遇の翌年にはヒバゴン係の愛称で親しまれた「類人猿係」も設立されています。
ヒバゴンの目撃情報からわかった特徴
第一発見者は、西城町付近に住む男性が、仕事帰りに軽トラックで中国電力六の原調整池ダム付近を走行中、突然現れ車の前を横切り森の奥へ。12件も目撃された1970年の年末の情報を元に、詳しく特徴を整理してみます。
ヒバゴンの特徴①身長160cm体重85kg?
猿にしては大きすぎる身長が150~170cmくらいの間で目撃者の証言が共通しており、現場付近に残された足跡から推測された体重は、およそ80~85kgと仮定されます。猿にしては大き過ぎ、熊なら二足歩行の足跡は不自然過ぎです。
ヒバゴンの特徴②全身黒や茶色の毛むくじゃら
体毛は薄い黒から茶褐色で、毛髪にあたる頭部の体毛は逆立っていたと言われる目撃証言も有力であり、100件を超える証言からの基準を元に精査され、信憑性の高い事例として町役場の類人猿係が発表しています。
ヒバゴンの特徴③逆三角形の頭とギョロ目
前途の毛髪にあたる体毛が逆立っていたとの証言にも容易に逆三角形の姿を想像できます。目は大きくつり上がったギョロ目とは、不意に人間と出会ってしまったヒバゴンが、逆に驚いて目を見開いたからなのかもしれませんね。
ヒバゴンの特徴④人間は襲わない
特筆すべきは初遭遇以降のべ100件以上目撃されるにも関わらず、襲われたと言う証言はおろか、追いかけられたと言うものがひとつもありません。この事を踏まえても人間を恐れず危害を加えてくる可能性は低いのではと思われます。
ヒバゴンの目撃証言を時系列で紹介
1970年10月から始まり年末まで、合計12件もの目撃証言が寄せられており、ヒバゴン騒動が落ち着くまでにはのべ100件以上の「ヒバゴンを見た!」という情報があるので、その中から信憑性の高いものを時系列でご紹介します。
目撃情報①1970年7月油木地区
1970年の7月20日の夜8時ころ、旧比婆郡油末地区にある六の原ダムの近くを、軽トラックで走行中、突然目の前に現れて、こちらを見つめながらゆっくりと緩慢な動作で森の中へ消えていった、という記録が残っています。
その3日後の23日にも、近隣の農家の男性が出会ったヒバゴンは、毛むくじゃらで頭は異常に大きくに人間みたいな顔をして大人くらいの身長だった、と証言しています。それからはダムを中心に約3km四方の目撃騒ぎが相次ぎます。
目撃情報②1970年12月吾妻山
暮も押し迫った12月だけでも合計12件の報告が寄せられ大騒ぎになり、吾妻山の雪の原にヒバゴンがこの場所を通った形跡ではと思われる足跡も見つかっています。不思議な事に1974年までは何故か毎年夏になると現れています。
目撃情報③1974年8月庄原市
8月15日には庄原市川北町須川の市町境に位置する山道に毛むくじゃらのヒバゴンとおぼしき怪物が出没。身長は160cmほどで猿にしては大きく普通の人間くらいの背丈でしたが、胴は人間のおよそ2倍ほどあったと言います。
3日後の15日の朝、西城町の隣町である比和町の男性が、ヒバゴンとおぼしき怪物の写真撮影に成功しています。庄原市濁川町の県道を走行中、道路の真ん中で四つん這いになったり、二足歩行する怪物の姿を発見しました。見慣れない車に驚いたのか身軽に柿の木に飛びつき、振り返ったところを撮影したそうです。
目撃情報④1974年10月
10月11日の目撃を境に、突然パッタリと姿を見せなくなり消息が途絶えたまま、騒ぎは終息。類人猿係もお役御免となり解散。一時期にはひと月の間に10回以上姿を現して騒ぎを起こしていたヒバゴンは、謎に包まれたままどこへ行ったのでしょう。
ヒバゴンの正体は猿か熊?そうではない証拠があった!
初の写真撮影に対し、当然ながら大論争が巻き起こりました。そして専門家は姿がはっきりとは写っていない写真であるにも関わらず、被写体は猿、あるいは熊であると断定するコメントを発表。ヒバゴンを真近で見た人たちも、写真に写っているのがヒバゴンかどうかは首をひねったようです。
「あんなものじゃないですよ、私が見た怪物は。もっと鋭い目と大きくて真っ黒い鼻、異常に大きい耳を持った、ゴリラみたいなグロテクスなもので、あれににらみつけられたときは、鳥肌が立って手足が震えて、運転に支障をきたしたくらいです。私は山育ちでサルは見慣れていますから、写真に写っているあんな程度のものだったら、たまげやしないですよ」(引用:未確認動物UMA大全)
ヒバゴンは猿でも熊でもない証拠①160cmの猿はいない
最低でもおよそ150cmの身長があるそうですが、猿でもそれほどの成長例は、国内では現時点でも確認できず、珍しく育ち過ぎの猿では?とも推測されます。山での暮らしに慣れている人たちは皆、猿では無かったと口を揃えます。
ヒバゴンは猿でも熊でもない証拠②ヒバゴンのおしりは赤くなかった
目撃地周辺に生息する猿はニホンザルであり、その特徴はおしりが赤いことです。しかし他の猿には見られない、ニホンザル特有の特徴がヒバゴンには見当たりません。ヒバゴンを背中から見た人もヒバゴンのおしりは赤くなかったと証言しています。
ヒバゴンは猿でも熊でもない証拠③熊の瞳はつぶらな瞳
もしヒバゴンが熊なら、二足で直立も可能な大型動物であり、サイズ的にも申し分ありませんが、熊は四足歩行する動物です。威嚇のために立ち上がっただけならわからなくもありませんが、攻撃もせずに歩いて立ち去るのは少々熊らしくありません。
そして西城町周辺で熊が出た事は一度もなく、ツキノワグマが中国山地にも生息しているのは一般にも知られるところですが、顔の部分がいかんせん猿とは大きく異なり、目撃者証言の特徴にはギョロ目とされているも、その体格に関わらず、熊はつぶらな瞳です。
ヒバゴンの正体は一体何なのか?真相を考察
1970年7月の最初の遭遇以来、撮影された写真や足跡などの証拠、多くの証言などがありますが、謎に包まれたヒバゴンの正体とは果たして何なのか。様々な憶測が飛び交う中、その可能性をいくつかご紹介しましょう。
ヒバゴンの正体①やっぱり猿か熊説
あれはやっぱり大きな猿だったんだよ。という証言や、老齢の猿が群れを離れて徘徊していたと仮定する猿説。大型動物である熊が威嚇のために立ち上がったところを目撃された、と仮定する熊説。どちらも納得しそうで腑に落ちない、釈然としない何か引っ掛かるものがあります。
ヒバゴンの正体②ヒバゴンは人間説
町の生活に疲れ山で生活している、何か事情を抱えた、ただの人間がヒバゴンなのでは?と言う説もあります。目撃者から逃げるのは、他人との接触を避けるためだとも推察されています。可能性としては全く無いとは言い切れません。
ヒバゴンの正体③町おこし陰謀説
比婆山の麓に有名なレジャー施設「ひろしま県民の森」があります。そこではヒバゴンをマスコットキャラクターとして賑わう観光施設ですが、町おこしに利用されたのではと言う説。同様に町おこし疑惑が持たれる事件に興味がある方はこちらもどうぞ。
ヒバゴンの正体④誰かのイタズラ説
ヒバゴンの情報は、どちらかと言うと動きやすい夏場に集中している点。この地域は冬季はかなりの量の積雪があり、山中に入るのは危険であること。専門家の調査団などが数回に渡り現地調査しているにも関わらず、謎の生物の手がかりは皆無であり、もしイタズラなら証拠すら見つからないのも納得できます。
ヒバゴンの正体⑤未知の人類説
フジテレビのバラエティ番組「世界の何だコレ!ミステリー」(2017年5月17日放映)では、ヒバゴンの出現エリアで正体不明の獣の死骸を発見し撮影してから埋葬した人がいたそうです。白骨化してはいるものの、突き出た鼻先や全身を覆う黒い体毛も残っていたそうです。
死骸の写真こそ残っていますが、該当の住民はすでに亡くなっていおり、埋葬した場所は不明なので、掘り起こしての調査は行われていません。現代人とは違う骨格を持ち、全身を黒い体毛に包まれた未知の人類の可能性も?。
確認できないから未確認生物
今現在に至っても、決定的な証拠や存在の証明はありませんが、ヒバゴンなんて非存在と証明するのは、存在する証明以上に難しく、結局は未確認生物ということになるのでしょう。他の未確認生物に興味のある方はこちらもご覧ください。
ヒバゴンは庄原いちばんのゆるキャラ
庄原市では、市のPR活動のために庄原いちばんロゴマークを活用し、マスコットキャラクターにヒバゴンが使われています。その一環としてヒバゴンの着ぐるみを作成。市主催の行事やイベントに出演したり市内の団体などへの貸出も行っているそうです。
NHKのお国自慢に謎の怪物ヒバゴンが登場!
1974年からNHKで放送されていた人気番組「お国自慢にしひがし」。地元庄原市民会館で収録された回に、当時ヒバゴンを目撃した男性が出演しその時の状況を説明していましたが、客席から突然ヒバゴンが登場しました。もちろん着ぐるみでしたが、ダンスなどを披露して会場を沸かせました。