深海の「ダルマザメ」を知っていますか?丸い傷はダルマザメの仕業だった

獲物だとみなしたものに積極的に攻撃を仕掛ける生態であるので、歯がボロボロになってしまっても致し方ないように感じられます。歯が頻繁に生え変わることも進化の過程で身につけたものなのでしょうね。

ダルマザメの攻撃

ただ噛み付くだけではない

ダルマザメが噛み付いた箇所にはなぜ丸い穴が残るのでしょうか。それは、口の吸引力と鋭い歯を備えているからこそできる技で、ターゲットの身体に噛み付くと、そこから自身の身体を回転させて肉を食いちぎるのです。そうして結果的に不思議な丸い痕が残るのです。ただ、傷そのものは小さいためこの攻撃で大型の生物が死ぬことはありません。

潜水艦のゴムカバーにも攻撃

驚くことにダルマザメは生物以外にも攻撃をしたという記録があるのです。それは米海軍が潜水艦の試験潜航を行ったときに起こりました。潜水艦に最新鋭のソナー(音波で敵を察知するもの)を搭載した試験だったのですが、そのソナーのゴムカバーが円形にカットされていたのです。

海軍の推測

海軍は初めての出来事に驚き、なんと海中にスパイが潜んでいて、ゴムカバーを傷つけたのではないかと考えたようです。無理はないかもしれませんね。しかもその被害は1度だけではなくて、その後も何度か同様な例が見られ、その度にあれこれと検討が行われました。

その後、「マグロの噴火口状の傷の犯人はダルマザメ」という論文が世間で発表されたことにより、もしかしてゴムカバーを食いちぎったのもそのダルマザメではないかと考えられるようになり、調査を進めることにより、最終的に犯人がダルマザメに特定されました。今となっては海軍がスパイを疑ったことは笑い話ですね。

光を発するダルマザメ

生物発光

ダルマザメの大きな特徴としてもう一つ挙げられるのは、生物発光です。生物発光とはその名の通り、生物が身体から光を発して放射する現象のことを言います。深海に住む魚が生物発光することは珍しくなく、住む環境により生物が自然と進化によって身につけてきたものであるようです。

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