オチョナンさんとは?漫画「不安の種」の「よく分からない何か」の正体を考察

不安の種シリーズは必ずラストにその地名を記すのがお決まりですが。オチョナンさん登場回のみ「場所は伏す」となります。どこに現れるのか不明な所が怖いですね。田舎が舞台の「夏の思い出」のラストにも「場所は伏す」となっていると言う事は、暗い道の遠く向こうで蹲って米を食べていたのは?そのヒントは大人達の会話の中にあります。

「夏の思い出」を考察

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「…なん様」と会話にあったのは「オチョナン様」で土地の守り神的な存在と考えると、大人たちが道に米を撒きオチョナン様を招き入れようと待っていたが、事情を何も知らない少女が米を蹴散らしたため祖父母の家には来れず、行き場を見失ったオチョナン様は代わりに従兄弟を襲ったと言う事でしょうか。

その風習を乱したために祖父母の家は責められ親戚付き合いを無くすほどの大事に発展したのだと考察します。仮に少女が米を蹴散らさず祖父母の家に来ていたらどうなったのでしょう。米で招き入れられたオチョナン様に、何も知らない少女が生贄にされ喰われていた?最悪な結末も推測できます。

「オチョナン」さんの正体を考察

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そもそもオチョナンさんの正体とはいったい何なのか、何故オチョナンさんと呼ばれているのか。怪異に意味を求めるのはナンセンスかもしれませんが、少しでも恐怖と不安を取り除くために人間の理解の範疇を超えたオチョナンさんの正体を考察します。

オチョナンさんの正体①亡くなった長男説

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何らかの事情で亡くなった長男を指し示すと言う説も浮上しています。絵日記に記されたいくつかの不自然な点、人に憑くのではなく家に憑くのは長男だからではないかと言う2点から考察してみます。

日記から不自然に消えた「う」

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絵日記に記されたひらがなの文章の中で弟を「おとおと」お父さんを「おとさん」と書いています。子供の書く文章だからと言うなら「ぼくのうちは」「うちのなかお」と”う”をちゃんと使い、人を指す場合にのみ故意に”う”を消している点は不自然です。とすると「おちょなんさん」は「おちょ”う”なんさん」となり、お長男さんと解釈できます。

家に居つくのは長男

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絵日記を書いた男の子の家はお父さんが手にした写真からも分かる通り、建築中から既にその家に取り憑いていたとも考える事ができます。家を継ぐのは長男と世間一般の常識からすると、お父さんが長男だからか、男の子の上に何らかの事情で亡くなっていた長男がいたのか、謎は深まりますが作中では一切明かされないので推測の域を脱しません。

オチョナンさんの正体②座敷わらし説

おじいちゃんの話にもあったように「いい子にしてれば」基本的には悪さをしない存在であり、おじいちゃんやお父さんも子供の時にだけ見えていたと言う、好意的に解釈するのならば、子供の目にだけは映る事のできる座敷わらしのようなものであるとも考えられます。

しかし座敷わらしならば、家の繁栄を司る子供の形をした怪異であるのに対し、オチョナンさんの姿形や怒った顔をしたら気をつけろと言う相違点は、おじいちゃんも座敷わらしだと断言はできずに「ようなもの」としたのでしょう。何もしないのに家にいるだけでも十分恐怖を感じますよね。本当に座敷わらしに出会いたい方におすすめの記事はこちら。

オチョナンさんの正体③家に憑く守り神

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建築中の写真に写り込んでいた事からは家に憑く守り神として、悪さをせずいい子にしていれば何もしないと言うケースもあれば、「夏の思い出」にあったように村の守り神と言うよりは祟りで人を傷つける存在であるケースもあるので、オチョナンさんの個体によって役割や性格もそれぞれ違ったものなのかもしれません。

オチョナンさんの正体④奇形児として亡くなった幽霊説

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オチョナンさんの表情に見て取れる明らかに人間のそれとは異なる目と口の配置は、奇形児として亡くなった子供の霊と言う説が有力ではありますが、それならばその子供を産み落としたお母さんに何も起こらないのは不自然であり、その後のストーリーに絡めて来るのかと思いきや、数々の疑問と不安の種を残したまま連載は終了しています。

オチョナンさんは実写で映画にも

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2013年にPG12で実写化された映画「不安の種」が怖すぎると話題になりました。マンガでの衝撃的な怪異描写をどう実写化で再現したのでしょうか。グロ耐性のない方には少しキツいかも?とも思える和製ホラー映画です。12歳以下の良い子はお父さんお母さんと一緒に観ましょう。

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