はじめに
“アカメフグは釣らなければ食べられない”と言われているほど、なかなか市場に出回らない魚です。今回はそんなアカメフグ(ヒガンフグ)の生態や釣り方・美味しい食べ方をご紹介致します。本来アカメフグとヒガンフグは別の魚ですが、本種ヒガンフグのことを釣り師や漁師の間でアカメフグと呼ばれているため、この記事内ではアカメフグ=ヒガンフグとしてご紹介致します。
アカメフグ(ヒガンフグ)とは?
アカメフグ・赤目河豚(ヒガンフグ・彼岸河豚)とは、フグ目フグ科トラフグ属の海水魚です。学名を「Takifugu Pardalis」英名を「Globefish, Blowfish, Puffer」といいます。別名コメフグ・メアカフグ・ナゴヤフグなど、地方によりさまざまな呼び名があります。
アカメフグ(ヒガンフグ)の名前の由来
赤目河豚という漢字のとおり、大きく赤い目をしていることから由来しています。
また本種のヒガンフグ(彼岸河豚)は、春のお彼岸の頃によく捕れたり、産卵のためよく見かけたりすることから由来しています。毒性が強いため、間違った食べ方をすると“彼岸に逝ってしまう”すなわち亡くなってしまうからという恐い説もあります。別名のナゴヤフグ(名古屋河豚)は、“毒に当たったら身の終わり(美濃・尾張)”というだじゃれに由来しています。
アカメフグ(ヒガンフグ)の生態
1、形態
体長は最大で30〜40㎝ほど、大きなものだと2kg近いものもいます。形は丸々とした体つきに小さな口、目は大きく、眼球の白眼の部分がオレンジ色から赤色を帯びているのが特徴的です。体色は黄褐色から茶褐色で、体側に不規則で多数の大きな暗色斑があり、腹側は白から淡黄色、境界は鮮黄色または橙色で縁取られています。体表は皮膚に小棘(トゲ)はありませんが、コブ状の小さな丸い突起が散らばっています。
2、分布・生息環境
北海道南部以南の日本の沿岸各地に分布していますが、南西諸島などのサンゴ海域では見られず、海外では黄海・東シナ海・朝鮮半島沿岸・渤海・黄海・済州島などに分布しています。また、アカメフグは本州中部の太平洋岸に棲息しています。岩礁または藻場に多く生息していて、浅海で単独で活動します。
3、性質
沿岸域の岩礁帯や藻場を、散歩をするように単独で索餌行動します。貝やエビなどの甲殻類・鞭毛藻類(べんもうそうるい)・軟体動物・多毛類などの昆虫や海底生物を捕食します。特にエビなどの甲殻類をより好む傾向にあると考えられます。
アカメフグ(ヒガンフグ)の特徴
1、習性
ほかのフグ類と同様に、危険が迫ったり興奮したりすると、水や空気を胃の中に吸い込み、体を大きく丸く膨らませることで自分の身を守ります。また、高速で泳ぐことは得意ではありませんが、各ヒレを動かして前後左右自在に小刻みに方向を変えながら泳ぐことができます。
2、産卵
春のお彼岸頃の満月と新月の直後に産卵が行われます。沿岸部の砂浜やゴロタ場、背ビレが見えるほどの浅場へ大きな群れとなって押し寄せ、1対1の雌と雄のペアが巣穴を掘って産卵放精をします。クサフグなどと同じ場所で産卵が行われることもあります。この産卵を待ち構えて、カットウ釣りで狙う釣り人がいますが、産卵後は比較的味が落ちる傾向にあります。
アカメフグ(ヒガンフグ)の毒性
トラフグやショウサイフグなどと同様に、猛毒の内臓・その他の部位にも毒を有しています。この毒はテトロドキシンと言い、とても強い毒性です。筋肉(身)のみが無毒で、肝臓と卵巣には猛毒、皮と腸には強毒、精巣(白子)には弱毒があります。ただし、岩手県釜石湾・越喜来湾・宮城県雄勝湾で漁獲されたものは身の毒が強いことがあり、食用が禁止されています。ちなみにフグのもつ毒は、捕食する鞭毛類(べんもうるい)のイソギンチャクに蓄積されているテトロドキシンの毒によるものとされています。テトロドキシンは、加熱しても分解されないので要注意です。
アカメフグ(ヒガンフグ)の釣り情報
一般的に、東京湾のように潮の流れが緩やかな内湾が釣り場になり、岩礁の交じる海域で釣ることができます。
1、乗合船
アカメフグ(ヒガンフグ)は陸から狙うことは少なく、乗合船で出船する沖釣りが主流です。ここ近年は味がよいことから人気が出てきたため、東京湾では専用の乗合船を出している船宿も増えてきています。
2、時期・シーズン
アカメフグ(ヒガンフグ)の旬は冬から春にかけてで、釣りのシーズンもその時期となります。関東では10月の後半から春先の3月頃までがシーズンとして出船しています。
アカメフグ釣りシーズン( ◼︎ : ベストシーズン ) | |||||||||||
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