オチョナンさんとは?漫画「不安の種」の「よく分からない何か」の正体を考察

オチョナンさんとはいったい何なのか、これまででハッキリしているのは男の子の絵日記に描かれていた事と、おじいちゃんから聞かされた話のみ。どうやら守り神のようでもあり、目が吊り上がったヤツには気をつけた方が良いと言う話しです。もう一度絵日記に書かれた内容を振り返ってみましょう。

漫画に登場する不気味な日記

「ぼくのうちはぼくとおとおととおかあさんとたまにおとさんと それからおちょなんさんがいます」「おちょなんさんはみんながいるときかくれてます ぼくだけのときうちのなかおぐるぐるまわります」「おちょなんさんのかおは、こんなです」子供の書いた文章とは言え、所々に少し不自然さを感じる文面です。

家族について書かれた日記に当然のように、家族以外の誰かが家族として男の子に認識されていて、お父さんとお母さんが知らないのに家に居るのはとても不気味ですね。

引っ越してからも不幸に見舞われる家族

そしてその家族はオチョナンさんから逃げるように引っ越すのですが、おじいちゃんが認知症になり入院したり、お父さんの仕事が上手くいってない事、なぜ新築の家からわざわざ賃貸アパートに引っ越したのかなどの話を引越し先のアパートの人?と話している時に、龍太(ここで初めて名前が判明します)と遊んでいたその家の女の子が突然泣き叫びます。

どうやら龍太が描いた絵を見て泣き出したようなので、お母さんが「龍太、何を描いているの?」と聞くと「今はこんなになっちゃってるんだよ」と目が吊り上がり今にも噛みつきそうな恐ろしい形相になったオチョナンさんの絵を差し出します。オチョナンさんが憑いていた家から離れたせいでオチョナンさんが怒り、家族を不幸に招いたのでしょうか。

オチョナンさんが登場する「不安の種」とは

不安の種(1) フタの章 (チャンピオンREDコミックス)

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2004年秋田書店刊行のチャンピオンREDに連載され週刊少年チャンピオンに移籍し、タイトルを「不安の種+」に改変し、読者に恐怖と不安の種を植え付ける1話完結型のオムニバスホラーです。

一話完結型のホラー漫画

どこにでも普通にいる一般人が毎回変わる主人公なので感情移入がしやすく、親近感がある事が災いして自分の身の上にも起こりそうな既視感と感じながら非日常で正体不明の怪異と出会うストーリー。最大の特徴として、結末はあえて書かれず、読者に結末を予想させるように不安を煽って投げっぱなしに終わる新感覚のホラー漫画です。

原作者は中山昌亮

原作も手がける中山昌亮さんは1966年北海道旭川市出身の漫画家です。1988年アフタヌーン四季賞冬のコンテストや第20回ちばてつや賞一般部門で準入賞を受賞。主に講談社のモーニングで連載を抱え2006年に「PS-羅生門」がTVドラマ化。2012年より秋田書店刊行の少年チャンピオンに「不安の種」を連載し、翌2013年に実写映画化されました。

作品の舞台は実在する

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不安の種の舞台は都心から少し離れた郊外の町が多く、作品の最後に必ず場所が記されています。華やかな都心部ではなく少しローカルな「阿佐ヶ谷」「川崎」などの地名が出てくるので妙に不安が募ります。ただし「オチョナンさん」だけは毎回「場所は伏す」となっており、どこに現れるのか不明のままです。

第2のオチョナンさん?「夏の思い出」

DeltaWorks / Pixabay

これはオチョナンさんなのか?と噂された怪異が登場する「不安の種+」#62「夏の思い出」には、手と足がありシルエットを見る限りではオチョナンさんとは似ても似つかぬそのフォルム。しかし口が縦に開くオチョナンさんの特徴を持ち、人々が”それ”を指す時に「…なん様」と呼んでいる、その正体はオチョナンさんなのでしょうか。

あらすじ

不安の種+(4) (少年チャンピオン・コミックス)

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毎年夏は田舎の祖父母の家で過ごす少女が、仲の良い従兄弟姉弟の家からの暗い帰り道、何か白い物が線上に長く続く米を見つけます。振り返ると暗い道の先に手足の長い異形の影がしゃがみ込み米を食べています。その米を辿ると祖父母の家まで続いている事に気付いた少女は、夢中で米を蹴散らして走って逃げ帰り布団に潜り込みます。

「何で…来ん…」「….呼んだのに…」「…なん様」夜の間中大勢の大人の声がしていました。次の朝血跡がある昨夜の場所で従兄弟姉弟に会うと弟の方は片目に血の滲んだ包帯を頭に巻き、姉の方は「お前のせいで」と怒り「これからお前は知らない人だ」。何が起きたのか全く理解は出来ず、その夏以来少女の家は親戚付き合いを無くしました。

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