アブラコウモリはかわいい!でも害獣?
手のひらにすっぽり収まるほど小さくかわいいアブラコウモリは、夕暮れ時などの薄暗い空に飛び回る姿を目にした事がある方も多いのではないでしょうか。そんな我々に身近な存在のアブラコウモリを紹介します。
アブラコウモリの生態
町中などの市街地などに住んでいて人気のない山などには住まず自然の洞窟には極稀にしかいないアブラコウモリは、ほんの4~6cmくらいの大きさで体重5~10gなのでわずか1.5cmの隙間から出入りでき、民家の屋根や壁の隙間などに家族単位で住んでいます。他の10~20年生きるコウモリに比べ寿命は短くオスは3年メスは5年くらいしか生きられません。
アブラコウモリの生態①別名イエコウモリ
薄暗い空を飛び回るアブラコウモリは家屋だけに住む事からイエコウモリとも呼ばれる我々日本人にとっていちばん身近なコウモリです。また、シーボルトが長崎で標本を手に入れ西洋に紹介した時に九州北部で「アブラムシ」と呼ばれいていたので(aburamus)の名前と一緒にヨーロッパに渡り、学名や日本動物誌にもアブラムシと記載してあります。
アブラコウモリの生態②活動時期と時間
秋頃から暖かい場所で家族や親戚などが集まって冬眠を始め春になるとまた活動を再開し夏に子育てに専念しますが、都市部では温かいためか冬眠しないアブラコウモリもいるそうです。主に夜行性なので昼間は寝ていて日暮れ時から夜にかけての2時間前後が最も活発に夕暮れの空を飛び回ります。
アブラコウモリの生態③超音波で周囲を感知
アブラコウモリを含むコウモリは人間の耳には聞こえない高周波の超音波で鳴きます。夜行性でほとんど目が見えないので跳ね返ってきた音を聞いて位置や大きさを確認しています。良くコウモリの鳴き声がうるさいと言われますが日本には人間に聞こえる鳴き声を出すコウモリはいないので、実際はネズミなどの鳴き声の可能性があります。
アブラコウモリの生態④性格は大人しく声もかわいい
大人しい性格のアブラコウモリは危害を加えなければいきなり噛み付いてくる事はありません。アブラコウモリの可愛い鳴き声を聞いて見たい方はYouTubeなどで、迷い込んできたアブラコウモリを優しくつついて、小さく「チッチッ」と可愛らしく声を上げるのを聞く事ができますよ。
アブラコウモリの生態⑤温暖化で繁殖しやすくなった
地球の温暖化で都市部は冬も昔に比べて寒くなくなり、ヒートアイランド現象で気温が高く保たれるようになると小さな虫を捕食するアブラコウモリにとって暮らしやすい環境になってきています。通常夏に子育てするアブラコウモリも繁殖しやすい環境になり数も増えています。
アブラコウモリは害虫を食べてくれる益獣
コウモリと聞くとドラキュラのように人の生き血を吸う吸血鬼のようなイメージを持つ方が多いかもしれませんが。アブラコウモリのエサは、それこそ人の血を吸う「蚊」や、人の血は吸わないけれども水辺に大量発生して良く蚊柱になっている「ユスリカ」それに「蛾」などの害虫を食べます。実は人の役に立つ益獣なのですが少々問題もあるのです。
アブラコウモリを放っておくと様々な被害が発生
蚊などの害虫を食べてくれるありがたいアブラコウモリですが、良いところばかりでは無く少々困った問題も抱えています。民家の屋根裏や通風孔、シャッターボックスなど雨露をしのげてそれなりに温かいところに住み着いてしまうので、思わぬ弊害が出てきますので詳しく見てみましょう。
アブラコウモリの繁殖力は強い
アブラコウモリは冬眠前に交尾をし夏になると出産しますが満1歳で母コウモリになり1~4匹の仔コウモリを産みます。およそ1ヶ月で離乳して一人前のアブラコウモリになります。家族単位で暮らすとは言え一族併せての家族単位なので、気がつくと100匹以上の大所帯が住み着いていた事もあるくらいです。
アブラコウモリの糞害が厄介
知らないうちに100匹以上のアブラコウモリ一家がいつの間にか自分の家の天井裏に住んでいたら、と考えただけでもゾッとしますが、実害もそれなりに多いのでどのような害があるのか見てみましょう。
ダニやノミの繁殖の元になる
アブラコウモリは哺乳類なので犬猫と同じように体毛があり、人の手の入らない天井裏や屋根裏の不衛生な場所に住んでいるので、人の命にも関わる病原体を持つマダニやノミの繁殖の元になります。
悪臭の元になる
アブラコウモリの体臭や糞尿・カビなどの悪臭が身体に付いてしまうので、それが大所帯でコロニーを形成しているわけですから猛烈な悪臭の元になり家の中まで臭くなってしまいます。
家の中に糞が落ちてくる
屋根裏に住んでいるアブラコウモリの糞とは知らず、天井からポロポロ黒い粒が落ちてきたと言う方も少なくはないようで、それが部屋に散らばっていたらと思うと身の毛もよだちますね。
アブラコウモリは病気を持っている
日本にいるアブラコウモリはダニやノミの宿主になっている事が知られていますが、海外ではコウモリが狂犬病のウイルスやさまざまな感染症を引き起こす原因となる病原体を保菌していた事が報告されています。
アブラコウモリが持つ病気の例
日本国内では幸いな事にアブラコウモリが直接な原因となった病気はありませんが、ウイルスでは無くノミやダニなどの寄生虫が媒体となりウイルス性の感染症を引き起こす可能性も十分考えられます。
未知の病気を持っている可能性も?
またアブラコウモリは野生動物なので未知の病気を持つ可能性も大いに考えられます。ダニやノミなどの寄生虫は国内でも確認されており、アブラコウモリに素手で直接触れるのはたとえ死骸であってもやめておきましょう。
アブラコウモリの羽音や物音が響く
鳴き声はほんの小さな声ですが、羽音や移動する時の物音は結構響いて迷惑している方が多いようです。一人前のアブラコウモリ一匹なら外へ飛んで行っている間は静かでしょうが、まだ飛ぶ事ができない仔コウモリ達が1日中天井の裏でゴソゴソ動いていたら気の休まる暇もありませんね。
アブラコウモリは家から出ていくことはない
アブラコウモリは気に入った場所に住み着くため、自分からわざわざ住み慣れた場所を出ていく事はまずありません。駆除するにしても不慣れな方法だと、ダニやノミを撒き散らかす事になったり噛みつかれて病気に感染したり、上手く追い出せても帰巣本能で帰ってきてしまいます。
アブラコウモリを見つけたらどうする?
屋根裏などに住み着いてしまったアブラコウモリの被害にあって、何とかしたいとお考えの方も少なくはないと思いますが注意すべき点があります。実はアブラコウモリを勝手に駆除や飼育・保護をすると法律違反になってしまうのです。
アブラコウモリを捕獲するのは禁じられている
鳥獣保護管理法と言う法律で保護対象に指定されているアブラコウモリは野生鳥獣の一種です。許可なく勝手に駆除や飼育をすると生態系の乱れを引き起こし絶滅させたり、強いては我々の生活にも何かしらの影響を及ぼす可能性があるので法律で守られており、破ると罰金や罰則が科せられます。
アブラコウモリの棲家を見つけたら追い出そう
いくら法律で守られていてもアブラコウモリを駆除出来ないと困ります。そんな時はアブラコウモリに今の住処から出て行ってもらうように仕向けましょう。冬眠中は追い出すのが難しいのでアブラコウモリがおとなしい冬に、効果的な方法や注意点を勉強しておくと良いでしょう。
アブラコウモリを保護するのはOK
勝手な駆除や飼育するのは先程も述べた通り法律に違反してしまいますが、アブラコウモリが傷ついて巣から地面に落ちていたり羽根を怪我している時にほ一時的に保護するのだけは許可されています。ただし法律違反にならないように必ず市役所や区役所にアブラコウモリを保護した事を連絡して下さいね。
アブラコウモリ対策と駆除方法
自分で駆除する事も可能ですがアブラコウモリは保護動物に指定されているので迂闊に駆除すると違法になります。住処から追い出して返って来られないように侵入口を塞ぐ事をマスクや手袋とゴーグル・帽子を用意して汚れても大丈夫な服装で臨みましょう。
アブラコウモリを追い出すアイテムを使う
まずは屋根裏に住み着いたアブラコウモリはホームセンターなどの量販店で手に入る忌避剤を使用します。広範囲なら燻煙剤を使用し、狭い所はスプレータイプを使用すると効果的です。駆除アイテムは様々なメーカーから数種類販売されている中で忌避剤以外はほとんど効きません。
アブラコウモリの糞などを掃除して殺菌する
アブラコウモリを追い出した場所を徹底的に掃除します。除菌には消毒用アルコールを使用し、更に効果が高いのが衣料用漂白剤などの次亜鉛素酸です。くれぐれも身体や顔に糞や汚れがつかないように完全防備で行って下さいね。アブラコウモリの糞には病原菌が住んでいるので絶対に素手では掃除しないで下さい。
アブラコウモリが入る隙間を塞ぐ
アブラコウモリは身体が小さく、少しの隙間でも入り込むので完璧に塞ぎましょう。メッシュの細かい金網やコーキング剤を隙間に使うのがおすすめです。塞いだ場所に忌避剤を置いて防鳥ネットを取り付けると更に効果的です。
アブラコウモリを追い出すのに最適な時期は?
アブラコウモリを追い出しやすい最適の季節は「春」です。夏の出産シーズンが近づく前に駆除できるよう、アブラコウモリが冬眠中の冬の間に保護動物の取扱や駆除方法を予習しておきましょう。
アブラコウモリの駆除が大変な場合は業者に頼む
言わずもがなアブラコウモリの一番効果的なのは「駆除専門業者に依頼する」です。費用はそれなりにかかりますが、百戦錬磨の経験を持つプロにお任せするのが安心で安全だと言う事も頭の隅に置いておいてくださいね。