二口女とは?陰陽師やゲゲゲの鬼太郎に登場する女妖怪について紹介

Array

小学校教師であるぬ~べ~が、妖怪から生徒たちを守るというストーリーの「地獄先生ぬ~べ~」にも二口女が登場しています。ぬ~べ~の生徒の一人である、響子が飢えた子供の霊に憑りつかれ、二口女となってしまい際限なく食べ物を食べ続けてしまうのです。

二口女が登場する作品⑤『まんが日本昔ばなし』

まんが日本昔ばなし(1)

Amazonで見る

まんが日本昔話に登場する二口女は、先の食わず女房と同じような話です。
しかし、さまざまな地域で語り継がれてきた昔ばなしであるため、いくつかのパターンがあります。

仲間や子供のため

嫁が一人で大量におにぎりを食べていたのではなく、仲間や子供に食べさせるために米を盗んでいたために米が減っていたというものです。

夫は桶職人

桶職人である夫を騙して、桶に閉じ込めて、自分の住処に持ち帰ろうとする二口女ですが、男はこっそり桶から抜け出し、木の枝に捕まって難を逃れるというものです。

二口女の他にも!日本の女妖怪を紹介!

出典:PhotoAC

都市伝説とされたものから、有名な妖怪まで日本にはさまざまな女妖怪がいます。
その妖怪たちを紹介します。

日本の女妖怪①耳元まで口が裂けている「口裂け女」

都市伝説にもなった口裂け女です。大きなマスクをした若い女が「わたし、綺麗?」と道行く人に尋ねてきます。
「きれい」と答えると「これでも…?」とマスクを外し、口が耳元まで裂けた素顔をさらしてくる妖怪です。
もし、「きれいじゃない」と答えると、包丁やハサミで切り殺されてしまうのです。

ゲゲゲの鬼太郎にも、口裂け女は登場し、鳥取県にある水木しげるロードにはブロンズ像もあります。

日本の女妖怪②可愛い顔と醜い顔を持つ「二面女」

後頭部にも顔を持つ二面女です。二口女と一見似てますが、かわいい顔と醜い顔の二つを持つと言われています。綺麗な顔だと思っていたら後ろには醜い顔があり、人間を驚かせる妖怪です。

日本の女妖怪③白装束をまとう雪の妖怪「雪女」

各地に伝承として伝わる雪の妖怪、「雪女」です。
白装束を身にまとい、男に冷たい息を吹きかけて凍死させたり、男の精力を吸い尽くして殺してしまいます。

ゲゲゲの鬼太郎では、「雪女葵(ゆきおんな)」という名で登場しています。最初は、鬼太郎に対し敵対していましたが、鬼太郎の命がけの説得によって改心し、鬼太郎に好意を寄せています。

中国のオンラインゲーム「陰陽師」にも雪女は、レアキャラとして登場しています。

日本の女妖怪④怨念などにより鬼と化した女性「女鬼」

人間の女性が、怨念によって鬼と化したもので中でも若い女性を鬼女、老婆を鬼婆と呼んでいます。
山に住み人を食らうとされている山姥が有名です。

また、和装の婚礼にて花嫁がかぶる「角隠し」ですが、かつて女性は嫉妬に狂うと鬼になると伝えられていました。
そのため鬼になることを防ぐおまじないとして用いられるようになったと言われています。

日本の女妖怪⑤首から下が蛇の妖怪「濡れ女」

濡れ女は、海や川に現れる妖怪で、常に髪が濡れていることからこの名がつけられました。身体が蛇である濡れ女は、約327メートルあると言われ、見つかったら最後逃げることはできないと言われています。

濡れ女についての情報はこちらをご覧ください。

二口女にまつわる言い伝え

二口女にまつわる言い伝えですが、東日本と西日本では大きく異なっています。
どのように伝わっているのでしょうか?

東日本では?

minka2507 / Pixabay

先の食わず女房で、男は菖蒲とよもぎの湿原に隠れたとありました。
そして追ってきた二口女は「菖蒲とよもぎに触れると身体が腐ってしまう」と、退散します。

このことから、端午の節句には菖蒲とよもぎを軒下につるすようになりました。
菖蒲とよもぎが無病息災に効く魔除けと信じられた時代に作られた話なのです。

西日本では?

augustfinster / Pixabay

西日本に伝わっているお話は、また別の展開になります。
桶職人だった男は、二口女によって桶に入れられて山へ連れていかれます。
そこで、二口女は蜘蛛へと姿を変えており、男は命からがら逃れてきます。
しかし、大晦日の夜に蜘蛛女房が襲いに来たところを、囲炉裏で焼き殺すのです。

やっと二口女を退治することができた男は「普通の女房がいい」と改心します。
このことから、「夜に出てくる蜘蛛は殺せ」という言い伝えが生まれたと言われています。

戒めを込めた日本昔話

Pexels / Pixabay

二口女は、他人への行いは自分に返ってくるという戒めが込められています。
その他にも日本昔話には自戒を込めたお話があります。

鶴の恩返し

800bikuni / Pixabay

ある若い男が罠にかかった鶴を助け、その夜に女が訪ねてきます。女は機織りを申し出ますが、決して部屋の戸を開けないようにと男にお願いします。しかし、気になった男が戸を開け覗いてみると、はたを織っていたのは鶴でした。正体を知られた鶴は、男のもとから去ってしまうというお話です。

これは、「決してやってはいけない」ということを守らなかった悲劇の結果と言えるでしょう。

かちかち山

strengthinnumbers / Pixabay

あるところにいた老夫婦にたぬきが意地悪を働きます。おじいさんはたぬきを捕まえ、おばあさんに調理するように山へ出かけていきます。

しかし、たぬきは巧みにおばあさんを騙し、おばあさんがたぬきに殺され、汁にされてしまいます。おばあさんに化けたたぬきは、おじいさんが婆汁を食べたところで正体を現し、あざ笑って山へと帰っていきます。悲嘆に暮れたおじいさんは、うさぎに相談し、うさぎはたぬきを上手いこと騙し、たぬきを殺して仇を討つというお話です。

こちらも、因果応報のお話として広く知られています。

後頭部にもう一つの口を持つ女妖怪の二口女

いかがだったでしょうか?

一見恐ろしい見た目の二口女ですが、そのルーツを辿ってみると自戒を込めた戒めが含まれていました。
このような妖怪にされないように、人には優しくすることが大事です。

菖蒲に関する情報はこちら

濡れ女に関する情報はこちら