二口女にまつわる言い伝え
二口女にまつわる言い伝えですが、東日本と西日本では大きく異なっています。
どのように伝わっているのでしょうか?
東日本では?
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先の食わず女房で、男は菖蒲とよもぎの湿原に隠れたとありました。
そして追ってきた二口女は「菖蒲とよもぎに触れると身体が腐ってしまう」と、退散します。
このことから、端午の節句には菖蒲とよもぎを軒下につるすようになりました。
菖蒲とよもぎが無病息災に効く魔除けと信じられた時代に作られた話なのです。
西日本では?
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西日本に伝わっているお話は、また別の展開になります。
桶職人だった男は、二口女によって桶に入れられて山へ連れていかれます。
そこで、二口女は蜘蛛へと姿を変えており、男は命からがら逃れてきます。
しかし、大晦日の夜に蜘蛛女房が襲いに来たところを、囲炉裏で焼き殺すのです。
やっと二口女を退治することができた男は「普通の女房がいい」と改心します。
このことから、「夜に出てくる蜘蛛は殺せ」という言い伝えが生まれたと言われています。
戒めを込めた日本昔話
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二口女は、他人への行いは自分に返ってくるという戒めが込められています。
その他にも日本昔話には自戒を込めたお話があります。
鶴の恩返し
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ある若い男が罠にかかった鶴を助け、その夜に女が訪ねてきます。女は機織りを申し出ますが、決して部屋の戸を開けないようにと男にお願いします。しかし、気になった男が戸を開け覗いてみると、はたを織っていたのは鶴でした。正体を知られた鶴は、男のもとから去ってしまうというお話です。
これは、「決してやってはいけない」ということを守らなかった悲劇の結果と言えるでしょう。
かちかち山
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あるところにいた老夫婦にたぬきが意地悪を働きます。おじいさんはたぬきを捕まえ、おばあさんに調理するように山へ出かけていきます。
しかし、たぬきは巧みにおばあさんを騙し、おばあさんがたぬきに殺され、汁にされてしまいます。おばあさんに化けたたぬきは、おじいさんが婆汁を食べたところで正体を現し、あざ笑って山へと帰っていきます。悲嘆に暮れたおじいさんは、うさぎに相談し、うさぎはたぬきを上手いこと騙し、たぬきを殺して仇を討つというお話です。
こちらも、因果応報のお話として広く知られています。
後頭部にもう一つの口を持つ女妖怪の二口女
いかがだったでしょうか?
一見恐ろしい見た目の二口女ですが、そのルーツを辿ってみると自戒を込めた戒めが含まれていました。
このような妖怪にされないように、人には優しくすることが大事です。