「小賢しい」とはどんな言葉?
「小賢しい」はこざかしいと読みますが、口にしたことはなくとも、多くの人は耳にしたことがあるでしょう。賢いという言葉が入っているものの、実は褒め言葉ではなく批判的な意味合いで使うことが多いのです。
「小賢しい」の意味とは?
日常生活上で頻繁に使われる言葉ではありません。どちらかと言うと、映画やドラマ、漫画のセリフというパターンが多いでしょう。では、3つの意味について確認していきましょう。
小賢しいの意味①利口ぶって差し出がましい・生意気
「利口」だけなら褒め言葉ですが「差し出がましい」がついて「自分が賢いことを鼻にかけている出しゃばり屋」というイメージになります。「生意気」という意味もついており褒め言葉ではないことが分かります。
小賢しいの意味②要領よくふるまうこと
単に「要領よくふるまう」のでしたら悪い意味ではありませんが、この言葉の場合は「いちいちうまく立ち回って自分が損をしないようにする」といった意味になり、自分勝手なイメージが湧き出てしまいます。
小賢しいの意味③悪賢い・抜け目がない
「悪い方面にに知恵が働く」ということで悪知恵が働くと同じような意味です。また、「抜け目がない」ので「自分が有利になることを察知する能力が高く、ずる賢く企てる」という意味になり褒め言葉とはいえません。
「小賢しい」の使い方・例文は?
「小賢しい」はあまり良いイメージでなく褒め言葉ではないことが判明しましたが、もちろん日常生活で使われることもあります。
褒め言葉でないことを活かして、相手に皮肉を言いたい場面で使うことが多いようです。実際の使い方や例文をみてみましょう。
小賢しいは褒め言葉ではないことに注意!
まず「小賢しい」が褒め言葉ではないということを念頭に置きましょう。相手に皮肉を言ったり窘めたいときなど、気まずい雰囲気になる可能性も踏まえた上でつつ使いましょう。
また、目下の人から目上の人に使ってしまうと、ちょっとした冗談のつもりでも問題になってしまう懸念もありますので十分注意しましょう。
小賢しいを用いた例文について紹介
二つの例文を用意しました。それぞれどういう意味で使われるか詳しくいきましょう。
A「(年下の)Bはいつも小賢しいことばかり言うから相手するのが面倒」
Bは年上相手にいつも生意気なことや偉そうなことを言ってしまうようです。そういう相手は最初のうちは可愛く感じますが、ずっと続くと確かに煙たい存在になってしまいます。
C「同期のDは小賢しい手を使って上司に取り入った」
この場合、要領よくふるまっている、抜け目なく相手に取り入っているというニュアンスで使っています。このセリフにはCの嫉妬心や皮肉が込められています。
「小賢しい」の類義語とその違いとは?
似たような意味を持つ言葉を類義語といいますが、意味合いは似ているものの微妙に違います。それぞれどういう意味で使われているのかみてみましょう。
小賢しいの類義語①「あざとい」
漢字では「小聡明い」と表記します。「抜け目がなく貪欲」「押しが強くやり方があくどい」といった意味があります。辞書的な意味ではマイナスなイメージが強く褒め言葉ではないようです。
一方、最近はあざとい女というようによく使われており、何気なさを装って男性の好意を引き寄せる女性に対して使われるようです。
一部では好意的な捉え方をする場合もあり、「あざとい」という言葉は、必ずしもマイナス・批判的な言葉ではなくなってきているのが特徴的です。
小賢しいの類義語②「ズル賢い」
この言葉はほとんどの方が口にしたり耳にしたことがあるでしょう。漢字では「狡賢い」と書き、「悪知恵にたけていて、ずるくふるまう」という意味を持ちます。褒め言葉ではないですね。
この言葉も良い意味では使われず、悪知恵を働かせズルしつつ上手く立ち回るイメージです。悪口として使ったり、親しい間柄で軽口としてで使われることも特徴的です。
小賢しいの類義語③「小生意気」
「こなまいき」と読み、「生意気でしゃくに障る」という意味です。「生意気」に「小」という字がつくことで意味が少し和らぎます。
鼻につくけど強く咎めるまでもないようなときに使いますが、褒め言葉ではありません。「生意気」と同様に目上から目下、年上から年下へ向けて使う用法が一般的です。
小賢しいの類義語④「猪口才」
「猪口才」と書いて「ちょこざい」と読みます。「猪口」は「小さな器、杯」という意味です。日本酒を飲むときのおちょこです。
「猪口才」で「小さな器ほどの才能」という意味から発展して「(小さな器ほどの才能しかないのに)生意気」という使われ方をします。
「ちょこざいな奴」という言葉を聞いたことがあると思いますが、相手を陥れたりしたときに使われ褒め言葉ではありません。現代ではあまり使われない点が特徴的です。
「小賢しい」の対義語とは?
「小賢しい」の反対の意味を現す言葉(対義語)にはどのようなものがあるでしょうか。数多くありますが、その中から一部をピックアップして紹介します。
小賢しいの対義語①「謙虚」
「謙虚」は「自分の能力や立場をわきまえ、相手におごらず控えめで素直に応対する」という意味で、良い印象を表す言葉として使われます。褒め言葉として多用されることが特徴的です。
小賢しいの対義語②「慎ましい」
「つつましい」という読み方になります。「遠慮深く控えめで質素なさま」を意味し、質素で慎ましい生活を送る、慎ましい立ち振る舞いといった使われ方をします。
「謙虚」とほぼ同義語ですが、「慎ましい」は主語が人でなくても運用可能という特徴があります。
小賢しいの対義語③「真っ正直」
「正直」に加えて「真」がつきますから、「少しも嘘がなく本当に正直なこと」という意味です。「真正直(ましょうじき)」も全く同じ意味です。
日本では素直で正直でいることが美徳とされていますから、褒め言葉として使われることが多い言葉です。
「小賢しい」を英語で言うとなに?
「小賢しい」を英語で伝えたいときはどのように表現すればいいのでしょうか。英語圏でも「小賢しい」タイプの人はもちろんいますし、形容する英語も沢山あります。
では、似たような意味を持つ英語の中からいくつかの単語を紹介してみたいと思います。
小賢しいを英語で言うと「impertinent」「shrewd」
英語で「小賢しい」という意味を伝えたいときは「impertinent」「shrewd」という英語で表現することが可能です。
英語の「impertinent」は「出しゃばっていて生意気」という意味で、英語の「shrewd」は「抜け目ない、狡猾な」という意味を示します。
ちなみに山口百恵のアルバム曲に「シュルード・フェロー」という曲があり、英語で書くと「Shrewd Fellow」で「抜け目がない人」という意味になります。
他にも「smart」「wise」「sharp」なども
英語の「smart」は「賢明、高性能、洗練された」という褒め言葉としての意味でもよく使われますが、「(人の言動が)生意気、こしゃく」という意味も併せのが特徴的です。
英語の「smart」は日本語のカタカナで「スマート」と書いて使うことも多くみられます。
英語の「wise」はsmartと同様に「賢明、思慮深い」という褒め言葉の意味でも使われますが、「偉ぶった、思いあがった」といった意味も持っています。
英語の「sharp」は「鋭い、激しい、利口、聡明」と幅広い意味を持っていますが、「抜け目のない、狡猾な、ずるい」といった意味でも使われます。
英語の「sharp」は日本語でも企業名に使われたり、「シャープ」とカタカナ語でも使いますね。
英語は一つの単語がプラスからマイナスまで幅広い意味を持つことがよくあります。そのため、文脈でどのような意味で使われているのか判断する必要があります。
褒め言葉と思ったら実は皮肉を言われていた、何てことは英語の会話ではよくあります。
「小賢しい人」の特徴は?どんな人が小賢しい人なの?
この記事を読んでいて、ついつい思い浮かべてしまった人はいませんでしたか。性格的な特徴や言動などから、どんなタイプの人が小賢しいと言われてしまうのか詳しくみていきましょう。
小賢しい人の性格的な特徴とは?
性格的にはどういう特徴を持っているのか一つずつみていきましょう。あなたの身近にも特徴が当てはまる人がいるかもしれません。
頭の回転が速い
物事を先まで見通して考えることができる点が特徴の一つです。賢いという文字が示す通り、頭の回転速度が速く、自分に有利な展開に物事を運ぶ思考力に優れています。
こういった思考力を別の方面に使えば人の気も害さずに済むのかもしれません。
損得勘定で判断する
何より自分に利益があることを重視するのが小賢しい人の特徴です。そのため、周囲や全体のためになることよりも、自分にとっていかに有利か損をしないかという点を大切にします。
こういった考え方は合理的と言える一方、時として自己中心的にみえてしまいます。特に、日本では自己中心的な行動は時として批判の対象になってしまいます。
肩書で人を判断する
人を肩書で判断するのも特徴の一つです。小賢しい人は肩書が持つパワーを好むのです。例えば、相手が上司であれば媚を売ったり、手伝いを申し出たりします。
肩書は人をみる一つの基準にはなりますが、肩書よりその人の内面や言動に重きを置く人が多いため、肩書基準でみることは周りから浮いてしまう原因となるのです。
嘘つき・知ったかぶる
自分の目的のためであれば、嘘をつくことも厭わないという特徴があります。また、頭の回転が速いので、すぐに見破られるような嘘はつきません。
また、話の要点を押さえることがうまいので、知らないことでも知っているかのように話すことも上手です。
見栄っ張り・プライドが高い・自意識過剰
とにかく自分が優れていると認められたい特徴があります。そのため、見栄をはることもしばしばあります。
また、プライドが高いので、相手より自分が優れていることをアピールしたがります。それが見栄や嘘にも繋がってきます。
また、自意識が強い傾向が認められます。人からどう見られているのかがとにかく気になるのです。そのため自然体とは無縁で、とにかく自分をつくろいます。
小賢しい人の言動の特徴とは?
上記のような性格がどういう言動を引き起こすのでしょうか。その言動の特徴について詳しくみていきましょう。
自分をよく見せる言葉が多い
自分が優れていると思わせたい傾向があらうため、話すことも自慢話が多かったり、自分の良さを示す話を多くします。
頭の回転が速いため、どんな話題であっても「そういえば私もこの間ね」という感じで話の間に入ってきて、巧みに自分アピールを繰り広げることができます。
また、カタカナ語であっても英語的発音で話す等、自分の優秀さを示す機会を逃しません。
自分のお金を出さない
損をしたくないという気持ちから、小賢しい人には金銭に対してケチな人が多くみられます。悪知恵を働かせて、いかにお金を払わずに済むか策をめぐらすのです。
小賢しい人は財布を忘れてしまった、一万円札しか持っていない、細かい小銭がない、会計時にトイレに行く等、巧みな方法で支払いを逃れようとします。
自分より上の立場の人には丁寧に接する
損得勘定で考える特徴があるため、好かれると自分に有利な相手(職場でいう上司等)には低姿勢で丁寧に接します。あからさまな媚を売ることもします。
反対に、好かれても特にメリットがない相手とみなすと平気で邪険に扱ったりできますので、相手によって態度を変えることができるのも一つの特徴といえます。
失敗したときに泣き落とす
実像よりも自分を良く見せてしまうので、キャパオーバー気味な仕事を引き受けて失敗したり、仕事の基本的な部分を軽んじてミスをしてしまうといったこともあります。
必要とあらば責任を転嫁したり、巧みな言い訳を考えたりしますが、どうしてもごまかせない時は涙を見せる手段も用います。
泣き落として相手の同情を買ったり、それ以上叱られないような状況を意図的に作り出すのです。女性に多い手段ですが、もちろん男性でも使います。
的を得た発言をする
その頭の回転の速さがあることで、話のポイントを的確に押さえて的を得た発言をすることができます。
そのため、優秀にみられることが多いですし、話し方にも説得力があるため、自分の持っていきたい方向に話を持っていくことができるのです。
自分に不都合な話はしない
小賢しい人は自分を窮地に追い込むことは絶対にしません。そのため、自分にとって不都合な話は避ける傾向にあります。
自分にとって不都合な話題になると、意図的に話題の転換を図ったり、理由をつけていなくなったりします。そういった小細工がうまいことも一つの特徴といえるでしょう。
褒め上手で第一印象は良い
実は良い第一印象を抱かれます。相手が自分に有利な存在か見極めるまでは良い印象を持たれるよう努めます。そのため、相手を褒めたり、良い気分にさせることが上手です。
しかし、相手が自分にとって価値がないとみなすと、急に離れることも平気でします。第一印象が良いだけに、本性が見えると相手はショックを受けてしまいます。
「小賢しい人」への対処法ってあるの?
ここまで読んできて、小賢しい人が周りにいると厄介な相手だと思えることでしょう。対処が難しいと感じたかもしれません。
でも、そこまで深刻に捉えなくても大丈夫です。ここに対処法を7つ挙げているので、もし困ったときは以下の対処方法を試してみてください。
小賢しい人の対処法①振り回されないように接する
これまでみてきたように、小賢しい人は周りを利用し巻き込むことが得意です。そのため、されるがままに放っておくと、間違いなく振り回されてしまいます。
そうならないためにも毅然とした態度で対処しましょう。弱みを見せたり賛同してしまうと「この人は利用できる」と思われてターゲットにされてしまいます。
小賢しい人の対処法②自分が利用しかえすと考える
一方、賢く状況の見極めにも優れているため優秀な人が多いのも事実です。そういった優秀さを自分が利用してしまうというのも対処法の一つです。