漁場が磯や岸壁などで魚影までの距離が長い場合、ルアーはサケ釣り用のスプーンやミノーを使うのが一般的です。通常であればスプーンは7~20g。波風が強い時や暗い時は30g位まで重くしてゆきます。ミノーなら7~10cm。ロッドはトラウトロッドかシーバスロッドの6~9ft、ラインはPEかナイロンの10~16Ib。ショックリーダーをうまく取り入れることで、快適に釣りを楽しむことができます。
魚影までの距離が短い時(ウキルアー仕掛け)
北海道のカラフトマス釣りは一般的に「ウキルアー仕掛け」の完成品か、その自作品を使うことが多いようです。タイプはウキだけのもの(中通し発泡ウキなど)と、ウキの先にタコベイト(または羽)に針が付いた「ウキフカセ釣用」のものがあります。どちらも地元の釣具屋さんで買うことができます。ウキとルアーのバランス調整にコツがいるようなので、ビギナーの方は店員さんにご相談されてみてはいかがでしょうか?ショックリーダーを使うのなら、長さはタナに応じて調整しましょう。また、水流が早い時はがん玉を付けるなど工夫を凝らしてみるのも釣りの醍醐味のひとつですね!
ルアーの色
カラフトマスは赤系の色が好きなようです。スプーンやミノーなら、赤・ゴールド・銅色。一方、シーズン初めは緑やシルバーが良いという方もおられます。天候やシーンで使い分けてみて下さいね。タコベイトやイカナゴベイトは海の色が澄んでいる時は赤、海水に濁りがある時はピンクと使い分けると良いみたいですよ。
Contents
カラフトマスはどうやって釣るの?
カラフトマスの釣り方は、サケを釣る方法によく似ています。なので、釣り方自体はそちらを参考にされる方も多いようですが、魚のサイズや性格でちょっとした違いも生じますよね。今回はそうした部分を盛り込んでご説明いたします。
釣り時はいつ?
カラフトマスがよく釣れるのは、早朝・夜明け前と夕方日没直前の時間帯です。でも日中釣れないかというとそうでもありませんのでご安心を。ただ、水かさが多く水が濁っていない方が条件的には有利です。
カラフトマスの魚影をねらえ!
シーズン初めはぼちぼちですが、シーズンたけなわはグループで行動することが多いカラフトマス。海では円状に群れを成し、川では群れが並行しながら遡上してゆきます。せっかく釣るならたくさん釣りたいですよね?であれば、まず水の中を観察し、できるだけ群れている場所を探すことから始めましょう。川や河口付近なら、どちらの岸に集中しているかも見定めます。海なら海岸の波打ち際で群れていることがあり、そんなのを見つけた日には興奮して有頂天になりそうですね!
カラフトマスの向こうに落とすべし
カラフトマスは警戒心の強い魚なので、決してルアーを群れの中に落としてはいけません。そんなことをすると、せっかくの群れが散り沖へ移動してしまいます。なので、まず虎視眈々と群れが近くに寄るのを待ち、万全を期してルアーを群れの向こう側に投げ入れるのが最初のポイントになります。(群れがあまりに近くにいる時は、スプーンではなくフライを使うこともあります。)また、ルアーは必ずカラフトマスのいる水深より上に来るようにします。カラフトマスの下に落としても見向きもされませんのでご注意を。
実際に釣ってみよう!(ルアー編)
カラフトマスはけっこうな早食いです。しかもアタリの感じが鈍いので、わずかなアタリを敏感に察知してサッと合わせるのがコツのようです。アタリが合うと、カラフトマスはとにかく抵抗してきますが、ここで慌ててはいけません。ルアーを水面の表層付近に泳がせながら、ゆっくり群れから引き離すイメージで静かに真っ直ぐ引き寄せます。人気のない場所であれば、体ごと移動するのも良い方法です。ラインが緩むと外されてしまうので、一定のテンションを保ちながら、我慢強くスローリトリーブしてゆきます。暴れるカラフトマスに糸を切られないように、トラグを調整し、うまく使いこなせるようになりましょう。
実際にを釣ってみよう!(ウキルアー仕掛け編)
針にかかってから釣りあげるまでのことは、ルアーもウキルアー仕掛けも同じなのですが、ウキルアー仕掛けで、アタリを見極めるポイントは、ウキの動きを見てからアクションを起こすというよりは、ウキの下にある仕掛けを観察して、それが視界からスッと消えた瞬間を見逃さないことです。また、ウキの動きに関して言えば、食いつくとポコポコ上下しながらわずかに移動するみたいですので、そこでちょっと動かしてみて重みを感じたらグイッと合わせます。感じ方は様々だと思いますので、失敗を恐れずにコツを掴みましょう。
カラフトマスのタックル(釣り具)
釣りの道具選びは大切なポイントです。ルアー釣りの部分で少しご説明しましたが、確認も含め、ここではもう少し掘り下げてお伝えしてゆきます。またカラフトマス釣りに欠かせないサブのアイテムもご紹介いたします。
基本のアイテム
- ロッド:トラウトロッドまたはシーバスロッドの6~9ft。カラフトマスが近くにいるのか、それとも遠投しなければならないのかで使い分けますので最低でも2本は用意したいですね。硬さは一般的にライトからミディアムが使用されているようです。
- リール:3000番前後(トラグの調整がスムーズで200m程度巻けるもの)
- ライン:ナイロンなら10~16Ib。またPEを好んで使う方も多いです。それぞれのラインの特性を生かし上手に使い分けましょう。
- ショックリーダー:使わない方もおられますが、リーダーはメインラインの弱点を補えるため、取り入れることで快適さが増す可能性があります。また、フロロカーボン製のリーダーを使えば、神経質なカラフトマスに気づかれにくいというメリットもあります。
- スプーン:カラフトマス釣り用にベストなのは、サーモンスプーンです。7~20gを使うのが一般的。逆に波風が強かったり、暗い時間帯には状況に応じて30g位まで上げていきます。
- ミノー:小魚の形をした小型のルアー。魚の口の部分にリップと呼ばれるパーツが付いているのが特徴で、本物の小魚のようにピコピコと動かしたい時に役立ちます。カラフトマス釣りで一般的に使われるのは7~20cmのミノーですが、ロストした時の痛手を考慮に入れて、ミノーはここ一番で使うのが良いでしょう。
- ウキ:ウキフカセ釣用、棒ウキ、玉ウキなどを使用します。浮力のあるものが必要とされますが、ルアーのサイズやシチュエーションで、幾つか用意した方が良いので、経験者や釣具店の店員さんに相談してみましょう。
- 針:フカセ針の17~18号、チヌ針の10~12号位。でも、ぴったりサイズが良いという方もいれば、あわよくば、ほぼ同じ時期に遡上するサケも一挙両得で仕留めたい方もおられるのでこれはあくまで目安。大事なのは好みや条件に合わせて選ぶことです。
- タコベイト・イカナゴベイト・フライ:ウキルアー仕掛けを楽しみたい方は必要に応じて用意しましょう。
他にもこれは用意したい!
- ライフジャケット:例え海岸や河口の低い場所であっても、水に事故はつきものなので、ライフジャケット着用は絶対忘れずに!
- 偏光メガネ:魚影を探す上で欠かせないアイテムの一つです。
- タモ:岸壁や磯など水面から高い場所でカラフトマスを釣り上げる際には絶対欠かせません!北海道の釣具屋ではサケマス用の柄の長いタモが安く売られています。サイズは柄の長さが5~7m、直径60~80cm位。軽量なアルミ製と丈夫なステンレス製があります。どちらを選ぶかは好みですが、万が一に備え2本は用意しましょう。
- バケツとブラシ:サケを仕留めたあと、周辺を血で汚したままにするのはマナーに反しますので、掃除用のバケツとブラシを持参しましょう。
カラフトマス釣りの注意点
カラフトマスは、いつどこで釣っても良いというものではありません。そこには漁業者の権利や生態系を守るための法律が関わりますので、ルールを守るのはとても大切なこと。注意を無視したり、故意にでないにしろ怠ったりすると、重い罰則がもうけられていますので、ルールを守って釣りを楽しみましょう。
サケ有効利用調査を知る
基本的に、カラフトマスは、河川内で釣ることができません。でも事前に届け出を出すことで「一定の期間、指定した河川のルールを守るのであれば、調査名目のカラフトマス釣りができる」というのが、この「サケ有効利用調査」というものです。そのルールは各自治体により異なり、期間だけでなく、人数や、釣れる本数まで定めているものまで様々です。また、サケ有効利用調査とは別に、河口周辺や漁港内などに禁止や制限を設けているところもありますので、カラフトマスを釣りに行く前にはまず、行く予定の市町村の自治体に電話をするなどして、やってはいけないことと、やらなければいけないことを確認することが大切です。
助け合い・譲り合う
カラフトマスの魚影がある場所には釣り人も集まるということを覚えておきましょう。皆が気持ちよく釣りを楽しめるよう、マナーを守って助け合いましょう。近くの人とフレンドリーになれるなら、タモで引き上げる時などお互いに協力し合って、スムーズに釣りを楽しめるなどのメリットもあります。ちなみにタモの使い方は「タモを持っている側がすくって引き揚げる」ではなく「釣り人がタモの中に誘導する」ですよ。引き揚げに失敗してもそれは自己責任ということでお願いいたします。
カラフトマスが釣れる時期と場所
北海道でカラフトマスの遡上が始まるのは、7月中頃からと言われています。シーズン全体では11初めくらいまで。最盛期は8月~9月で、産卵のピークは9月~10月頃になります。また、8月中旬からサケが遡上し始めますので、タイミングが合えば、カラフトマスとサケの両方をゲットするチャンスに恵まれます。
お気に入りの釣り場をみつけよう!
これは北海道地図です。画像の右上がオホーツク海で、知床半島から稚内に至るオホーツク海に面した全域及び、知床半島と国後島の間に広がる根室海峡全域の河川や漁港付近にカラフトマスの釣りスポットがたくさんあります。特に枝幸や紋別、知床周辺が有名です。また太平洋に面した釧路周辺や、画面左上を占める日本海では箸別川河口や増毛海岸周辺が人気のスポットです。釣れる場所があり過ぎて困るくらいですので、アクセスのしやすさを含め、ご自分のお気に入りの場所を見つけてみてはいかがでしょうか。
カラフトマス気になる寄生虫のこと
釣りあげた魚をその場で捌いて食べるのも釣りの楽しみのひとつであり、醍醐味でもあるのですが、お刺身はちょっと待って!!カラフトマスには寄生虫が付くので生では食べられません。ここではカラフトマスに寄生する虫の正体や対処法を解説いたします。
寄生する虫の種類と症状
カラフトマスによく寄生するのは、シーライス、アニサキス、サナダムシなどです。この中で特に注意しなければならないのは「アニサキス」です。これがお腹の中で中毒症状を起こすと、2~8時間後に、激しい腹痛や吐き気、嘔吐などの症状が出ます。重篤な症状では、腸ねん転を起こすケースなどが報告されており、そうなると気絶するほどの痛みを経験します。なので、カラフトマスは必ず完全に火を通してから食べましょう。
ルイベはどうなの?
生のカラフトマスを-20℃以下の環境で24時間以上凍らせたものを、解凍または半解凍状態で食べる北海道の郷土料理「ルイベ」。これはもともとアイヌ民族の人が北国の厳しい冬の保存食として、カラフトマスを雪の中で凍らせたのが発祥と言われています。アニサキスを始めカラフトマスに付く寄生虫は、-20℃以下になると死滅するそうですが、問題は現代の家庭用冷蔵庫。最低の温度設定が-20℃で、実際は-18℃くらいではないかと言われています。アニサキスは人の体に入っても問題を引き起こさないまま排出されることもあるようですが、万全を期すには家庭でルイベを作らないことです。
カラフトマスをおいしく食べよう!
旬のカラフトマスは脂が乗って、身が柔らかくてジューシー。煮ても焼いても美味しい魚なのですが、特に塩焼きやムニエル、フライなどが向いていると言われています。ここでは北海道ならではの美味しい食べ方をご紹介いたします。
ちゃんちゃん焼き
これは北海道の郷土料理の定番中の定番ですね。ちゃんちゃん焼きのレシピを検索すると、フライパンで作るものがたくさん紹介されていますが、鉄板の上で豪快に焼くのが本来の姿。そうこの上の画像のように!レシピはホットプレートに油を敷いて皮を上にして半身を入れて片面を焼き、それをひっくり返したら、キャベツ、玉ねぎ、長ネギ、もやし、ピーマン、ニンジンなどを適当に切ったものを並べて、カラフトマスと野菜の上に、白みそ・酒・砂糖(好みでみりんやニンニク)を合わせたものを塗って、魚に完全に火が通ったら(蓋をして蒸すこともある)身をほぐしながら周りの野菜と一緒に食べるというもの。簡単なのに豪華なので、おもてなし料理としても使えます。
石狩鍋
こちらも北海道郷土料理の定番です。完全に火を通して食べる料理なので、許可の下りている場所であれば、道具と材料を車などで現地へ運び、釣りを楽しむかたわらで料理も楽しむという二重の贅沢を味わえます。アツアツなので秋の釣りにはぴったりでしょうね。もちろん、家庭でわいわい鍋を囲むのも幸せな時間です。作り方はウィキペデアから引用させていただきました。
石狩鍋は、鮭の身や骨などのアラと豆腐、タマネギ・キャベツ・ダイコン・シイタケ・ニンジン・長ネギなどの野菜を、昆布で出汁を取った味噌仕立ての汁で煮込むものとされている。また、汁へ酒粕を加えたり、バターや牛乳などを隠し味に使う場合もある。最後に山椒の実か粉をふりかけて食べる。
※これも白みそと生のカラフトマスを使うところがポイントですよ。
イクラ
粒はサケより小さめなのですが、カラフトマスのメスから取れた筋子は、ちゃんとイクラに加工できます。味もサケのイクラと同じです。でも、お湯やぬるま湯をかけてイクラをほぐすというのは、手だけでやると結構大変な作業ですよね。Youtubeで泡だて器を使って簡単にほぐす方法が紹介されていましたのでこちらに転載いたします。味付けは塩漬けと醤油漬けの二通りがありますので、好みのレシピをご自分で探してみてはいかがでしょうか。
まとめ
いかがでしたか。「カラフトマス」とだけ聞くと知らない魚のようですが、実際には世界にたくさん流通していて、加工品として知らないうちに食べている身近な魚だということ。釣り方には、ルアーで釣る方法とウキルアー仕掛けという方法があること。守るべきルールやマナーに関すること、寄生虫の問題から料理の仕方まで、カラフトマスについて知ることができたと思います。