エドワード・モードレイクは2つの顔を持つ男?嘘?本当?逸話を紹介

元々がエドワード・モードレイクの奇怪な姿を論じたのは1895年にアメリカの新聞「ボストンポスト」にチャールズ・ローティン・ヒルドレスと言うフィクション作家によって書かれた記事が発端です。

さらに疑わしき点は「ボストンポスト」と言う新聞や、ヒルドレスと言う名前の作家もエドワード・モードレイク関連以外での情報は著書や名前に至るまで記録が何一つ無く会社登録や登記すらしていない新聞社とは?ますます嘘偽りである線が濃くなってきました。

情報源となる「王立科学協会」も存在していたのかが謎であった

Free-Photos / Pixabay

新聞に記載された異形の人たちの事例は「魚の尾がある女」「蜘蛛が胴体の男」「半身がカニの男」などの中にエドワード・モードレイクの症例も記載され、「王立科学協会」の古い報告書を参考にしたなどとヒルドレスは主張します。現代では子供でもフェイクと見破れる話ですが情報が極端に少なかった当時ではそれもやむ無しでしょう。

「王立化学会」は権威ある英国の学術機関ですが「王立科学協会」と言う機関そのものの存在も怪しく、新聞社がフェイクニュースを読者の好奇心を煽り購買意欲をそそる嘘を捏造させ書かせたのかもしれません。事実や真相よりも新聞の売り上げのためには手段を選ばないマスコミは現代でも同じ事ですね。

エドワード・モードレイクは医学百科事典にも載っていた?

Anomalies & Curiosities of Medicine 1896

Amazonで見る

ここで更に混乱を招く事態が起こります。1896年にイギリスで出版された権威ある「医学百科事典」にエドワード・モードレイクの症例を紹介しています。ところが内容は新聞の記事を丸ごと転載したものであり、ご丁寧に”一般の情報源に拠るもの”と注釈があり医学的な診断を一切行わず、フィクションを事典に掲載した事になります。

事典を共著したジョージ・M・グールドは1848年から1922年まで実在したアメリカの医師ですが、デイビッド・L・パイルはその存在も怪しいものです。実際の事典の著者はグールドとウォルター・L・パイルによるものなので、こうなると現代と同じく嘘が嘘のニュースを生みさらに権威までもが嘘に塗れ創作された架空の話と言う事になるでしょう。

エドワード・モードレイクの病名とは?

Bru-nO / Pixabay

現代までその症例がエドワード・モードレイク以外に一切見られない後頭部の顔がもし事実であり病気に拠るものであるとするならば、いったい何と言う病名になるのでしょう、それどころかそもそも病気と呼べるものなのか考察してみます。

有力なのは「寄生的頭蓋結合体」

万が一生まれつきの先天性異常の症例が現実の病気だった場合には「寄生的頭蓋結合体」と名付ける他に無いようです。その一種としてエドワード・モードレイクの症例が上げられていますが、その原因と考えられるものはあるのでしょうか。

寄生的頭蓋結合体は何故起きるのか

現在までの統計では出生1000万人のうち4~6人に発生する、非常に稀なタイプの症例ですが確かに存在します。発達していない双子の胚が成長過程に於いて片方の発育する頭蓋に発育を停止した頭蓋に寄生する事が原因と考えられていますが、結合双生児の事例は文献に記録される事が少なく確実な原因は現代医学でも不明です。

別々の意思を持つことはできるのか

結論から言ってしまえば、脳がひとつの場合は顔がふたつあるとしてもそれぞれの意思を持つ事はできません。頭部がふたつある症例は人間以外の動物には良く見られますがおのずと短命となり、エドワード・モードレイクのように人間が23年間片方の健康な意思と精神を持ち普通に生活する事は不可能だとされています。

エドワード・モードレイクを基にした作品を紹介

darksouls1 / Pixabay

日本でも口裂け女やひきこさん・クネクネなどの都市伝説をモチーフとした作品がたくさんありますが、後頭部に意思を持つ顔を宿したエドワード・モードレイクはフォークフロアとして英米に広く知られています。エドワード・モードレイクに関連した作品を紹介しましょう。

NEXT 作品①トム・ウェイツによる楽曲「哀れなエドワード」