エドワード・モードレイクは2つの顔を持つ男?嘘?本当?逸話を紹介

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ここで更に混乱を招く事態が起こります。1896年にイギリスで出版された権威ある「医学百科事典」にエドワード・モードレイクの症例を紹介しています。ところが内容は新聞の記事を丸ごと転載したものであり、ご丁寧に”一般の情報源に拠るもの”と注釈があり医学的な診断を一切行わず、フィクションを事典に掲載した事になります。

事典を共著したジョージ・M・グールドは1848年から1922年まで実在したアメリカの医師ですが、デイビッド・L・パイルはその存在も怪しいものです。実際の事典の著者はグールドとウォルター・L・パイルによるものなので、こうなると現代と同じく嘘が嘘のニュースを生みさらに権威までもが嘘に塗れ創作された架空の話と言う事になるでしょう。

エドワード・モードレイクの病名とは?

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現代までその症例がエドワード・モードレイク以外に一切見られない後頭部の顔がもし事実であり病気に拠るものであるとするならば、いったい何と言う病名になるのでしょう、それどころかそもそも病気と呼べるものなのか考察してみます。

有力なのは「寄生的頭蓋結合体」

万が一生まれつきの先天性異常の症例が現実の病気だった場合には「寄生的頭蓋結合体」と名付ける他に無いようです。その一種としてエドワード・モードレイクの症例が上げられていますが、その原因と考えられるものはあるのでしょうか。

寄生的頭蓋結合体は何故起きるのか

現在までの統計では出生1000万人のうち4~6人に発生する、非常に稀なタイプの症例ですが確かに存在します。発達していない双子の胚が成長過程に於いて片方の発育する頭蓋に発育を停止した頭蓋に寄生する事が原因と考えられていますが、結合双生児の事例は文献に記録される事が少なく確実な原因は現代医学でも不明です。

別々の意思を持つことはできるのか

結論から言ってしまえば、脳がひとつの場合は顔がふたつあるとしてもそれぞれの意思を持つ事はできません。頭部がふたつある症例は人間以外の動物には良く見られますがおのずと短命となり、エドワード・モードレイクのように人間が23年間片方の健康な意思と精神を持ち普通に生活する事は不可能だとされています。

エドワード・モードレイクを基にした作品を紹介

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日本でも口裂け女やひきこさん・クネクネなどの都市伝説をモチーフとした作品がたくさんありますが、後頭部に意思を持つ顔を宿したエドワード・モードレイクはフォークフロアとして英米に広く知られています。エドワード・モードレイクに関連した作品を紹介しましょう。

作品①トム・ウェイツによる楽曲「哀れなエドワード」

2011年にロックの殿堂入りを果たしたアメリカの偉大なシンガーソンライターであるトム・ウェイツが2002年にリリースしたスタジオ録音盤「Alice」には原題「Poor Edward」として、エドワード・モードレイクの人生を歌っています。内容はそのままで若い女性の顔が後頭部にあったとされています。クレイ動画に歌詞も表示されるのでお楽しみください。

作品②小説『Mordake o la condición infame』

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2001年にスペインの小説家アイリーン・グラシア(wikiではイレーネ・グラシアと表記)によるエドワード・モードレイクを基にした小説を出版しています。日本語訳ははおろか日本では発売されておらず、現在スペイン語のオリジナル版のみですが洋書専門店などで見つける事ができるかもしれません。

作品③ドラマ『アメリカン・ホラー・ストーリー: 怪奇劇場』

エドワード・モードレイクの役名でアメリカの人気ホラーテレビ番組「アメリカンホラーストーリー」シーズン4の怪奇劇場(原題Freak Show)に、2018年にミッション・インポッシブルにも出演したウェス・ベントリーが出演します。他にもベテラン女優ジェシカ・ラングやキャシー・ベイツも出演しているのでおすすめのホラーですよ。

エドワード・モードレイクのような例は世界にもある?

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さて事実ならば世にも珍しい病気とも言える、エドワード・モードレイクの身の上に起きた不気味な出来事ですが、世界は広く他にも似たような例はあるかも知れません。調べてみると真偽が問われる内容ですが、ここ日本や中国に同じような病気の言い伝えや出来事がありました。

日本にある人面瘡の伝承

現代語訳 伽婢子 (第一集)

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人の顔のような腫れ物が身体にできる、と考えただけでそっとしてしまいますが。江戸時代に浅井了意により綴られた「伽婢子(おとぎぼうこ)」と言う読み物の中で登場したのが始まりです。食べたり飲んだり話したりと、エドワード・モードレイクの後頭部の顔よりも芸達者な病気でもあります。

もとを正せば江戸時代当時の医療では十分な腫れ物などの治療ができなかった事に端を発する創作です。傷口が偶然人の顔のように見えた事から好事家の口から口へ広まった、現在で言う都市伝説として人面疽と言う奇妙な病気の名前が拡散された事になります。実際人面疽に一番近い病気と言えばこちらの記事の象皮病やハーレクイン魚鱗癬などがあります。

中国では頭皮と口が寄生していた事例も

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1970年代に中国で実在した男性、チャン・ビーン氏もエドワード・モードレイク同様にひとつの頭部にふたつの顔?を持っていました。チャン・ビーン氏の症例は顔の右側に頭皮と口がありました。おぼろげながら目や鼻の痕跡も残っていました。切除のための大手術の末4ヶ月入院し故郷の村へと帰って行ったそうですがその後の情報は一切ありません。

閲覧注意:フォークフロアとしての見世物

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いわゆる民俗学や民間伝承などのフォークフロアとして、怪物ではなく人間の奇形や病気を扱ったものは倫理ギリギリの線を保ったものでないと常識が受け入れないものです。外国でも日本でも見世物として扱われた時代もありましたが、如何なものかでしょうね。奇形ではなくキワモノ芸を売り物に興行を続け存在している団体がひとつだけありました。

日本で唯一興行する見世物小屋の一番人気:小雪太夫

如何でしたでしょうか、しかしこの小雪太夫は看板娘だったのですが残念ながら2019年現在はもう在籍してないそうです。休業説や逃亡説・失踪説などの噂がネットで飛び交っていましたが、実際は動物愛護団体からのクレームが原因のようです。それでも「小雪さんは寿退社」と言う興行主の言葉を信じたいですね。

海外の見世物小屋フリークスショー

善意で捉えれば一般の職業に就く事ができない異形の身体を持った人たちが、自らを商品として人の目に晒しお金を稼ぐ事はなんら問題ありません。見世物を見世物と理解できる大人が楽しむものですね、子供は何でも信じてしまいがちです。もしもエドワード・モードレイクが貴族でなければ、見世物小屋で晒し者になっていたかもしれません。

閲覧注意:双頭の動物たち

YouTubeなどネットに投稿されている「閲覧注意」などのキワモノ動画はほとんどがエドワード・モードレイクのようにフェイクを繋ぎ合わせたものです。頭が二つある双頭のシマヘビは偶然発見したものやペットショップのものですが、探してみると意外と簡単に見つかるかも知れません。

本当に閲覧注意:エドワード・モードレイクのような人間も

双頭が発生する原因は細胞段階での胚が二つのうちどちらかに寄生する事で起きるます。人間でも起きる現象ですが画像の女性のように健康に成長し、常人と変わらぬ生活を送るのは世界的にも稀有な例です。

写真に拠るトリックに注意!

こちらの画像は上手く本物に見せていますが、すべてフェイクの画像です。アングルによっていかにもそれらしく本物に見えてしまうフェイク写真を、まるで本物のように無邪気に悪気なくネットにアップしたものが人によっては信じてしまう人も存在するのでみなさんも十分注意しましょうね。

エドワード・モードレイクは存在していたのか?

結局の所、エドワードの存在の可否は、存在のあやふやな作家がさらに怪しい医学事典を基にでっちあげた創作上の人物だったのか。するとこの幾重にもフェイクを巧みに組み合わせた話を世に広めたのは誰だったのでしょう。

民間伝承=フォークフロアの正体とはこう言ったものなのでしょう。最後まで読んでやっぱり嘘だったのかと胸をなでおろし安心したみなさん。ひょっとしたら嘘だったと締めくくられた事すらも嘘であって、実は記録はされていても公表はされていないだけなのかも知れません。案外この話こそが後頭部の顔が囁いた話ではないでしょうか。

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