ブリの特徴や呼び方、出世魚について
ここではワカサのことを紹介する前に、ブリの特徴や呼び方、出世魚などについて詳しくみていきましょう。ブリはサイズや日本各地で呼び方が違いますので、多数の呼び方が存在しています。
ブリの特徴・生態
スズキ目アジ科の海水魚であるブリは北海道南部から九州の太平洋岸と日本海南部、東シナ海などに生息しています。冬から春は南下して、春から夏は北上します。体形は回遊魚でよく見られる紡錘型で細長く、背中の体色は緑かかった深い青色で腹は銀色を感じる白色です。側線に黄色の縦帯があります。
ブリの呼び方
ブリはサイズで呼び方が変わります。関東ではサイズが35cm以下はワカシ、35cmから60cmはイナダ、60cmから80cmはワラサ、80cm以上はブリと呼ばれています。関西ではサイズが小さい順にワカナやツバス、ハマチ、メジロ、ブリという呼び方に変わります。他の地域でも違った呼び方をしています。
出世魚として代表的なブリ
魚には成長していくと名前が変わる出世魚がいます。代表的な魚はスズキ、ボラ、ブリなどが有名です。出世魚の由来は、武士や学者は江戸時代まで元服や出世で名前を変えていました。成長で魚の名前が変わることを出世に喩えられています。
ワカシってどんな魚?
ブリの幼魚であるワカシはサイズが35cm以下のものです。生態は2月から7月に能登半島や房総半島で産卵して、1年で32センチ前後のワカシに成長します。ブリの大きさになるまでは約5年かかると言われています。
ワカシの釣り場
ワカシは沿岸近くの沖合の中層から低層で回遊しています。春から秋にかけてベイトフィッシュを追うようになったワカシをショア(岸)から狙います。動く距離は成魚よりは少なく、潮の流れに乗っているので、外海に接する潮通しのよい防波堤やサーフでチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
ワカシ釣りのコツ
ワカシの釣り方の代表的なライトショアジギング、カゴ釣り、弓角、ジギングサビキをご紹介します。主に青物が狙える金属のルアーを使ったライトショアジギングやカゴ釣りをする人が多く、遠投で早めに巻き上げることでヒットすることがあります。
釣り方① ライトショアジギング
メタルジグという金属のルアーを使ってショア(岸)から釣る方法をライトショアジギングと言います。タックルが軽量で気軽にできるため人気があります。水深や潮流のスピードで判断する必要もありますが、メタルジグの重さは30グラムほどの軽量でワカシを釣ることができます。
釣り方② カゴ釣り
釣り針に疑似餌かオキアミを使い、オキアミやアミエビなどの撒き餌をコマセカゴという容器に入れて、水中に撒かれた撒き餌に寄ってくる魚を釣る方法をカゴ釣りと言います。カゴ釣りの特徴は回遊する魚を釣るために広範囲でウキをつけて遠投ができます。
釣り方③ 弓角
弓形をした日本古来からあるルアーです。牛の角や動物の骨、アワビなどから作られています。最近はプラスチック製が販売されるようになって、安く購入できます。気軽にできるサーフトローリングでショア(岸)から遠投すると、弓角の大きさに反応したワカシが喰いついてきます。
釣り方④ ジギングサビキ
サビキ仕掛けのカゴやオモリなどの部分にメタルジグを代わりにつける仕掛けのことを言います。ショア(岸)から遠投し、メタルジグを泳がせるとベイトフィッシュを追うようにワカサが寄ってきます。2匹以上も釣れることもあるので人気があります。
ワカシ釣り用のタックル
ライトショアジギングは手軽にできることが人気です。タックルは本格的に揃えなくても軽量で安く揃えることができますので、初心者向きです。ここでは、ライトショアジギングでワカサが釣れるタックルを紹介していきます。
タックル① ロッド
軽くてフルキャストした時に30グラムのメタルジグを遠投できるものがおすすめです。ロッドの長さは堤防やサーフで使うことが多いので9~10フィートのものから選びましょう。ジグの重さに合うシーバスロッドを持っていれば、ワカサ釣りに使うことは可能です。1万円ぐらいから購入できるロッドもあるので、安く揃えたい方におすすめです。
タックル② リール
ライトショアジギングに使うリールは強度があって、使用するラインを150メートルから200メートル巻けるもので、リール番手はロッドの長さに合うものを選びましょう。早巻きでメタルジグを動かすことが必要なので、多く巻けるハイギアモデルがおすすめです。
タックル③ ライン
ライトショアジギングではラインに強度があるPEラインを使います。ラインに強度がないと逃げられることもあるのでPE1.5号にしましょう。障害物で擦り切れがないように、先端にリーダーを結びます。PEラインの強度の基準にもよりますが、先糸のリーダーは30ポンドで長さは1.5から2メートル巻いておきましょう。
タックル④ メタルジグ
メタルジグはいろいろな種類がありますが、30グラムの通常のショートタイプで狙ってみることがおすすめです。投げれば遠くまで飛ばすことができるので、飛距離を出せば出すほどワカシが釣れる確率が高くなるので、試してみてはいかがでしょうか。
ワカシを釣ってみよう
ワカシはベイトを追って回遊していますので、そのベイトがいるか確認が必要です。場所を決めたら、遠投してメタルジグを低層まで落とし、速い速度で巻き上げて上にしゃくる方法がおすすめです。メタルジグを小魚が泳ぐように動かすのがポイントです。アタリの反応はぶつかるような感じなので、合わせたら巻き上げましょう。
釣れたワカシの下処理
釣れたワカシを持ち帰りたい時は、釣ってから早急に締めます。血を魚体に残さないことが大事なので、ナイフで頭の近くのエラと尾の付け根を刺して血抜きをします。血抜きしたワカシは早めにクーラーボックスに入れましょう。そのことによって、鮮度が保たれます。
ワカシはどんな味?
出世魚の特徴は、幼魚から成魚では魚のサイズの違いによって味の種類が違うことです。幼魚のワカシは脂が少なく、身がしっかりとしていて食感がありますが、成魚のブリは身の質感がよく、脂がのっかり美味しいと言われています。
ワカシの食べ方や調理方法
ワカシはブリに比べて脂が少なく、あっさりとした味なので、調理時の味付けは少し濃い目の方が美味しいと言われています。ここでは代表的な5種類の食べ方や調理方法を紹介していきます。
食べ方や調理方法① ワカシの刺身
ワカシの食べ方の定番は刺身です。三枚おろしで刺身にしてみましょう。まずはウロコを落として、包丁で頭を取ります。この時に背骨の付け根だけ切ると内臓がきれいに取れます。腹の中をキレイに洗って水分を拭き取ったら、身を切り離して二枚おろしにします。腹骨と皮を切り取り三枚にして、身に残った中骨を毛抜きなどで抜き取ります。一切れサイズに切り分ければ刺身の完成です。
食べ方や調理方法② ワカシの漬け
刺身があっさりした味だと感じたら、漬けにしてみたらいかがでしょうか。材料はワカシを2柵、醤油とみりんを大さじ2杯、日本酒を大さじ1杯、白ごまを適量。醤油、みりん、日本酒で漬けの調味料を作って、食べやすいサイズに切ったワカシの切り身を約1時間、漬け込みます。お皿に漬け込んだ切り身とつけ汁を少々入れて、お好みで貝割れ大根を上にのせて完成です。
食べ方や調理方法③ ワカシのなめろう
なめろうというとアジを使いますが、ワカシでもなめろうを作ることができます。材料はワカシを150グラム、小ネギを3本、しょうがを小さじ2杯、味噌を15グラム、醤油とみりんを少々。小ネギとしょうがを細かく微塵切りにしてワカシの切り身と味噌と一緒にまとめて置きます。初めは刻むように混ぜていき、包丁でワカシの切り身や味噌もたたいていくと全体がねっとりしてきます。出来上がったら酒のつまみもよいですが、茶漬けにして食べてみることもおすすめです。
食べ方や調理方法④ ワカシの塩焼き
美味しい食べ方の一つにワカシの塩焼きがあります。材料はワカシを1匹、料理を大さじ2杯、塩を小さじ1杯。まず、ワカシの内臓を取り出して、腹の中を流水で洗います。臭みを取るため、料理酒と塩を全体にかけます。約5分ほど経ったら、キッチンペーパーなどで水気を拭き取ります。グリルで魚を焼く前に包丁で×印を入れておくと身に火が入ります。グリルで弱火から中火で10分から15分焼いたら完成です。
刺身で気をつけたい食中毒
アニキサスによる食中毒
魚の刺身を食べるときに気をつけたいことは食中毒です。食中毒の原因の一つに魚介類に寄生したアニキサスから発症するケースがあります。アニキサスの幼虫は半透明の白色で体長が2~3センチの細長い線虫です。アニキサスによる食中毒は激しい腹痛と嘔吐や下痢などを伴います。
アニキサスの対処の仕方
アニキサスの幼虫が寄生している可能性が高い魚介類はイワシ、アジ、サバ、イカなどです。ワカシはあまりアニキサスはいないと言われていますが、釣った時に魚を締めることをおすすめします。アニキサスは魚が生きている時は内臓に寄生していますが、死ぬと身へ移動します。活き締めをしてから、内臓は早めに取り除くことが大切です。
ワカシ釣りの楽しさ
ご紹介した通り、ワカシを釣るにはポイントや時間、潮の状況によって、いろいろな釣り方を試すことができます。そういったシチュエーションを考えながらワカシ釣りをすることは楽しみがあります。釣った後にワカシを捌いて、刺身にしたり料理することは充実感を味わえます。ルアー、オモリ、ロッドがあれが、初心者でも手軽にワカシ釣りができますので挑戦してはいかがでしょうか。