カワハギにそっくり?毒を持つキタマクラには要注意!

防波堤釣りで釣れることの多いキタマクラ。カワハギに似た見た目ですが、その皮膚には強い毒をもつフグの仲間です。危険でありながら、愛らしい見た目と性格から観賞用としてもおすすめです。今回は釣り人なら知っておくべきキタマクラの特徴やその毒性、扱い方についてご紹介します。

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キタマクラの生態って?

カワハギ似だけどフグの仲間。毒をもつ外道

スズキ系フグ目フグ科キタマクラ属、海水魚でフグの仲間です。カワハギに似た姿をしていますが、その皮膚には強毒を有しておりとても危険。日本の海に生息し、釣りの世界ではエサを取られてしまうことから外道として知られています。

ストレスを感じると毒を出す。

とはいえ、皮膚毒を出すのはキタマクラがストレスを感じた時だったりするのです。好奇心旺盛な性格ながら臆病で神経質なキタマクラ。毒はそんなキタマクラが身を守るための手段なのだと考えると、少しかわいく思えてきます。

キタマクラの特徴について知る!

キタマクラの特徴は印象的な黒いシマ模様。

体長13㎝(メスの体長は7cm)程で、側偏した(左右に押しつぶしたような平たい)体つきをしています。体色は茶褐色から灰褐色で、体に体と平行な二本の黒い縞模様をもち、喉部から腹部にかけて小さな棘がまばらにあります。さらに、オスのキタマクラでは繁殖期である夏には婚姻色として、鮮やかな青~紫色がみられます。

地方名がたくさんあり、ウメフグ、オマンブフグ、メクラフグキンチャクフグ、 ギンフグ、キンフグト、ヒデイシ、フクト、イソネズミ、ギンバフグ、モチフグ、ケタマクラ、ヨコフグなどがあります。それだけ広く日本に生息しているということです。

キタマクラの名前の由来が気になる!

ところでこのキタマクラという名前は、どこからきているのでしょうか?その由来は、死亡した人を北向きに寝かせる習慣である、あの「北枕」です。神奈川県は三崎での呼び名といわれています。

猛毒のフグを食べたら死んでしまうという意味合いからそう呼ばれるようになったという説があります。また、この魚を放り投げたときに、必ず頭が北を向いて地面に落ちるという説もあるそうです。

キタマクラの生息地と分布

日本の海に広く生息しているキタマクラ

東シナ海~南シナ海を経て、珊瑚海に至る西太平洋やハワイ諸島などの中部太平洋に分布するほか、インド洋にも分布しています。日本においても多く生息しており、福島県以南の太平洋岸や九州西岸、伊豆諸島、琉球列島、小笠原諸島などでみられます。

具体的な環境としては、沿岸のサンゴ礁域や岩礁域、藻場などの浅瀬で多くみられるほか、水深200m以深の砂底からも得られています。太平洋側で釣りを楽しむ際には、注意が必要かもしれません。

キタマクラは猛毒!どんな症状が出る?

猛毒注意!テトロドトキシン

フグの仲間であるキタマクラ。テトロドトキシンという神経毒をもっています。この毒、無色・無味・無臭なわりにその毒性は青酸カリウムの1000倍にも近いといわれています。300度を超える高温でも分解されず、人間が摂取して死に至るであろう致死量はわずか2~3ミリグラム程だと言われています。

具体的な中毒症状。

人の体内に入ってから3時間以内に「身体の痺れ」「麻痺」「呼吸困難」といった中毒症状を引き起こし、さらに重症化すると「体温低下」「意識障害」のような事態に至ることもあります。発症後、8時間以内に適切な処置をしなければ、死に至る事になる危険性もはらんでいるという、非常に危険な毒なのです。

キタマクラの毒のある部位とは。

皮膚の毒には気をつけろ!

皮膚には強い毒を、肝臓と腸には弱い毒をもちます。ふぐにしては珍しく、卵巣や筋肉には毒がありません。皮膚表面に存在する、粘液毒は非常に強い毒ですから、触ってしまった手をそのまま口に入れたり、粘膜を触ったりすると中毒をおこしてしまいます。

肝臓と腸に存在する毒は比較的弱いものなので、食べても死に至るまでにはならないといわれています。とはいっても毒があることに変わりはないのでいずれも注意するに越したことはないでしょう。

キタマクラは触っても大丈夫?

カワハギと間違ってキタマクラを素手で触ってしまった!

「うっかり触ってしまったけれど、大丈夫なのだろうか」そんな不安を感じた方に知っていただきたいことがあります。皮膚の粘液毒を触った手でものを食べたり、目をこすったり粘膜を触ると中毒症状を引き起こす危険性があります。触ったらすぐに、しっかり手を洗うことが重要です。

キタマクラとカワハギを見分けるポイント

【カワハギ】ポイントは口、模様、背びれ。

まずは口の形を見てください。口の細り加減(とがり具合)がキタマクラのほうがやや弱く、丸みを帯びています。カワハギは体から口先にかけてが鋭い印象です。そして体の斑点を見てみましょう。カワハギはまだらなのに対して、キタマクラには体に平行な暗色の二本の縞模様があります。暗色縦帯といわれる模様です。

【キタマクラ】全体的に丸みを帯びている

またオスに限りますが、体色に青色がみられるのはキタマクラの証といえます。カワハギにはない特性です。そして、背びれを見てみるとキタマクラは上の背びれ、下の背びれがそれぞれカワハギよりもかなり小さく、さらに形も丸みを帯びています。カワハギには立派な鋭い背びれがついています。

キタマクラの肉は食べられる?免許は必要?

身は刺身にして美味。しかし免許が必要。

地方によっては食べる習慣のあるところもあるキタマクラ。筋肉と卵巣は無毒で、身は透明感があり刺身にするとおいしいそう。ただし小型のフグで頭ばかり大きく身は少ないです。なのであえて食べることはあまりおすすめしません。

一般的には食用フグでない。

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