雷鳥沢キャンプ場はどんなところ?
雷鳥沢キャンプ場を知らない、行ったことないという方でも「雷鳥」という鳥の名前にピンとくる方も多いのでは?雷鳥と言えば絶滅危惧種レッドリストの指定も受けている国の天然記念物で、有名な生息地と言えば日本三名山の1つ立山…ということは?それではまず、雷鳥沢キャンプ場の概要からご説明していきましょう。
日本三名山の1つ立山のキャンプ場
雷鳥沢キャンプ場は日本三名山の1つとして知られる立山の登山道にあるキャンプ場です。立山と言えば標高3000m級の山々が連なる霊峰。雷鳥沢キャンプ場は剣岳(標高2999m)や立山縦走を目指す登山者のベースキャンプ地としても知られています。
ここまで読んで「ベテラン向きのハードなキャンプ場じゃないの?」と思った方も安心してください。雷鳥沢キャンプ場は初心者からベテラン、中高年の方も含め、ハイシーズンであればソロや家族・仲間キャンプの方も多く訪れる人気のキャンプ地です。筆者のわたしもキャンプ体験済みなので、実体験もほんの少し交えてご紹介していきましょう。
基本情報・施設
- 住所:富山県中新川郡立山町芦峅寺雷鳥平 (標高約2300m)
- 施設:雷鳥沢野営管理所(トイレ・水場あり/売店なし)
- ※雷鳥沢野営管理所は冬季閉鎖(2018年の開設期間は4/21~10/28)
- 電話:090-1632-9141(雷鳥沢野営管理所)
- 営業期間:立山黒部アルペンルート開設期間に準じる
- アクセス:立山黒部アルペンルート室堂ターミナルから徒歩約45分
- 予約:予約不要
- 料金:清掃協力金として1人500円(2日目以降1000円)
雷鳥沢キャンプ場の詳細アクセス|行き方は難しいの?
雷鳥沢キャンプ場は立山登山道の途中にあるキャンプ地。当然、自動車でたどり着くことはできず歩いていくしかないので、やはり尻込みする方もいらっしゃるかもしれません。しかし雷鳥沢キャンプ場は、前述のように初心者でも比較的気軽にアクセスできるキャンプ地で、実はアクセス途中にも楽しめるポイントが揃っています。
徒歩出発の起点「室堂ターミナル」までのアクセス
雷鳥沢キャンプ場に行くには、まず徒歩の起点である室堂ターミナル(立山黒部アルペンルート)に行きます。注意すべきは立山駅から扇沢駅の間は自家用車の乗り入れができないこと。マイカーを使う場合は立山駅、扇沢駅の駐車場に車を止めて、そこから電車やバス、ケーブルカーなど乗り継いで室堂ターミナルへアクセスします。
- 立山駅駐車場(富山県側)【北陸自動車道 立山ICから40分】:無料駐車場約900台
- 扇沢駅駐車場(長野県側)【長野自動車道 安曇野ICから60分】:無料駐車場約230台
- 駐車場案内:https://www.alpen-route.com/access_new/access/parking.html
立山ケーブルカー
立山駅から美女平駅間は、めったに乗る機会がないケーブルカーで移動します。標高差およそ500m、平均勾配24度の急坂を約7分間で一気に上るので、低山帯から山地帯への森林の変化がダイナミックに観察できます。
立山高原バス
美女平駅から室堂ターミナルの標高差1500mを結ぶ立山高原バスの最大の見どころは、高さ最大20mもの雪の壁に囲まれた「雪の大谷」です。例年アルペンルート開通の4月~6月までの期間はこの雪の大谷の壁の中を歩けるイベントが行われています。
立山ロープウェイ
アルペンルートの長野側から室堂ターミナルへのアクセス途中に乗るのが立山ロープウェイ。環境保全と景観の観点から駅間は支柱なしのワイヤーのみで繋がれ、360度大パノラマの絶景を見ながら1.7㎞の空中散歩が楽しめます。高所恐怖症の方はちょっとご注意を。
室堂ターミナルからはいよいよ徒歩で出発!
室堂ターミナルからはいよいよ自分の力のみを信じて雷鳥沢キャンプ場を目指します!と言ってもそんなに気負う必要はありません。徒歩時間はおよその目安で45分、ゆっくり目のペースでも1時間、季節にもよりますが雪のない時期で足に自信のある方だと30分ほどで着いてしまう場合もあります。
ただしここは山岳地帯。サンダルやヒールのある靴は厳禁!平地で歩きやすいとは言えスニーカーもなるべく避け、雪があるないに関わらず、ハイカットの登山靴や少なくともトレッキングシューズ装備で行くようにしましょう。また立ち入りが禁止されている区域もあるので、標識に従ってそうした範囲に入らないようにしましょう。
登山靴に関する記事はこちら
雷鳥沢キャンプ場の魅力①大自然を体感する3つのポイント
雷鳥沢キャンプ場の標高は約2300m。完全に山岳地帯に位置するキャンプ場なので、キャンプ場はもちろん、その行き帰りのルート上でも、平地では到底味わうことができない大自然の雄大さや魅力をこれでもかというくらいに味わうことができます。
立山連峰の絶景を間近で堪能
雷鳥沢キャンプ場に来たなら、まずは雄大な立山の絶景を楽しみましょう。まだ雪に覆われた春先の荘厳な白銀の姿から、目にも鮮やかな新緑の季節を経て秋には色とりどりの紅葉に包まれる立山の峰々は、見る者を圧倒します。この季節ごとの変化に魅せられて、何度も足を運ぶというファンの方もたくさんいらっしゃいます。
ライチョウや高山植物との出会い
雷鳥沢キャンプ場の名前にもあるライチョウは個体数も少ない国の天然記念物。徒歩ルート起点の室堂ターミナルから雷鳥沢キャンプ場の間にあるミクリガ池付近はその目撃情報も多い場所です。ハイマツ林の中から特徴的な低い鳴き声が聞こえてきたらよく目を凝らしてみましょう。運よくライチョウに出会えたらとてもラッキーです。
また可愛らしい高山植物の花々に出会えるのも雷鳥沢キャンプ場の魅力です。山歩きに疲れたら、ふと立ち止まって足元に目をやってみてください。高山という過酷な環境で可憐な花を咲かせる高山植物の姿にきっと癒されますよ。
澄んだ空気で夜は満天の星空
辺りに民家も街灯も何一つない雷鳥沢の夜の唯一の灯りは手元のランタンのみ。いっそのことそのランタンも消してしまって、満天の星空を堪能しましょう。星明りを遮る灯りが一切なく空気も澄みきっているので平地では味わえない本物の星空が楽しめます。
また星だけでなくお月様も驚くほど明るく輝いて見えるのも高山にあるキャンプ場ならでは。月明かりのある時は星空は見えにくくなりますがこれはこれでレア体験になるでしょう。ただし夏場以外の夜は冷え込みが半端なくすごいので、十分暖かくして空を観察するようにしましょう。
雷鳥沢キャンプ場の魅力②おすすめスポットも満載
雷鳥沢キャンプ場の周辺には名所もたくさんあります。キャンプ場への道すがらに立ち寄れるところもあるので、余裕があればぜひそうしたスポットも楽しんでみましょう。
空と峰を映す紺碧の鏡面「ミクリガ池」
ライチョウの目撃スポットでもある火山湖「ミクリガ池」は、雷鳥沢キャンプ場付近で最も有名な景勝地です。標高2405mに位置するミクリガ池はなんと6月までは白銀の雪に覆われていますが、7月から10月までの短い期間のみ、その静謐な湖面に周囲の風景をくっきりと映し出します。
面積およそ30000㎡、周囲631m、深さおよそ15メートルはこの周辺で最大・最深の湖です。ルート上には標識もあるので迷う心配もなし。ぜひ立ち寄っておきたいおすすめスポットです。
スポット情報
- 住所:富山県中新川郡立山町芦峅寺ブナ坂外11国有林内室堂平
- 電話:076-462-1001(立山町観光協会)
- ※周辺散策自由(ただし11~6月の積雪期間は散策不可)
- アクセス:立山黒部アルペンルート室堂ターミナルから徒歩約15分
水質究極の透明度「ミドリガ池」
ミクリガ池の近くには、よく似た名前のミドリガ池もあります。ミクリガ池よりも小さく、水深も約1.6mと浅いですが、特筆すべきはその透明度。湖畔に立つと水底の岩がはっきり見えるほどのクリアな水質が特徴です。こちらも湖面に映し出される立山の峰々が美しいことで知られています。
スポット情報
- 住所:富山県中新川郡立山町芦峅寺字ブナ坂外11国有林内室堂平
- 電話:076-462-1001(立山町観光協会)
- ※周辺散策自由(ただし11~6月の積雪期間は散策不可)
- アクセス:立山黒部アルペンルート室堂ターミナルから徒歩約25分
地獄谷を臨む「エンマ台展望台」
地獄にエンマとは何とも恐ろしいネーミングですが、それもそのはず地獄谷は猛毒の亜硫酸ガスが立ち込める超危険区域。以前は散策コースでしたが、2011年からガス濃度が上がりちょっと洒落にならない状況になったため、2012年からは通行立入禁止になった、いわくつきのスポットになります。
ミクリガ池の北方に設けられたエンマ台展望台は、その地獄谷を高台から一望することができます。また、遥か昔に立山に存在していた氷河が、山腹を削ってできた山崎カールという超レアな地形も正面に見ることもできる、まさに大自然の驚異を体感できるスポットです。
スポット情報
- 住所:富山県中新川郡立山町芦峅寺字ブナ坂外11国有林内室堂平
- 電話:076-462-1001(立山町観光協会)
- ※見学自由(11月下旬~4月下旬は積雪のため立ち入り不可)
- アクセス:立山黒部アルペンルート室堂ターミナルから徒歩約15分
日本最古の山小屋「立山室堂」
一見ただの山小屋に見えますが、実は1726年に建てられた現存する日本最古の山小屋として知られるのがこの立山室堂(室堂小屋)です。改修を加えられながら、なんと1980年代までは実際に現役の宿泊施設として使用されており、現在は国指定重要文化財として保存されています。
直径30cmほどもある柱の木材は立山の美女平付近(標高約1000m)で伐採された物と言われていますが、それを建造当時どうやってここまで運んだのかはいまだに謎。15世紀にはすでに何らかの建造物があったことも発掘調査で判明しており、立山と人との歴史を感じさせてくれるスポットです。
スポット情報
- 住所:富山県中新川郡立山町芦峅寺室堂平
- 電話:076-462-9971 (立山町商工観光課)
- 冬季は閉鎖
- 内部見学:300円
- アクセス:立山黒部アルペンルート室堂ターミナルから徒歩約10分
雷鳥沢キャンプ場でお風呂!?宿泊も可能な温泉施設
最近は温泉が楽しめるキャンプ場も増えていますよね。でも雷鳥沢キャンプ場は標高2300m、温泉はさすがにキャンプを終えてからだなと思った方、あきらめるのはまだ早いです!
実は雷鳥沢キャンプ場の近くには温泉施設がいくつかあります。しかもそのうち一つは日本一標高が高いところにある温泉としても超有名。立ち寄り入浴だけでなく宿泊も可能というのですから、これは見逃せませんね!
みくりが池温泉
日本一の高所標高2410m!しかも天然温泉なのがみくりが池温泉です。源泉は先ほど紹介した地獄谷。立ち寄り湯だけでなく宿泊もOK。さすがにホテルや旅館のようにはいかず宿泊は一部個室を除いて基本は相部屋ですが、女性専用部屋もあるので女性でも安心です。
雷鳥沢キャンプ場からの帰り道、お風呂につかって疲れをゆっくりと癒してビールやソフトクリームでほっと一息つけば、それも素敵な思い出になりますね。テント泊はちょっと心配という方、また山小屋相部屋デビューをしてみたいという方はぜひ一度体験してみてはいかがでしょうか。
施設情報
- 住所:富山県中新川郡立山町室堂平
- 電話:076-463-1441
- アクセス:室堂ターミナルから徒歩約15分
- 営業期間:【2019年】4/15~11/24
- 日帰り入浴:9:00~16:00 大人700円 小人500円(タオル・浴衣有料レンタルあり)
- 宿泊料金:相部屋1泊2食付9300円~(シーズンにより価格変動あり)
- 宿泊予約・施設HP:みくりが池温泉http://www.mikuri.com/index.html
雷鳥沢ヒュッテ&ロッジ立山連峰
雷鳥沢ヒュッテとロッジ立山連峰は雷鳥沢キャンプ場からすぐ横の見える位置、徒歩約5分の所にある温泉宿泊施設。室堂ターミナルからは距離があるので、みくりが池温泉より日帰り入浴客も少ない穴場温泉です。
こちらも源泉は地獄谷。キャンプ場のそばにあるのでテントを張って夕方までに景色を眺めながらさっと一風呂というぜいたくなキャンプができるかも。ただし冷える時期には湯冷めに注意。湯上りのビールも標高が高いと酔いが回るのも早いので飲み過ぎにはくれぐれもご注意を。
施設情報
- 住所:富山県中新川郡立山町芦峅寺
- 電話:連絡事務所 076-482-1617
- アクセス:室堂ターミナルから徒歩約40分
- 営業期間:立山黒部アルペンルート開通時~10月下旬(要確認)
- 日帰り入浴:10:00~18:30受付(19:00退館) 大人700円
- 宿泊料金:両施設とも相部屋1泊2食付9200円~(詳細は直接問い合わせ)
- 宿泊予約【雷鳥沢ヒュッテ】:076-463-1835(FAX兼用・FAX専用予約用紙はHPから)
- 宿泊予約【ロッジ立山連峰】:076-463-6004(FAX兼用・FAX専用予約用紙はHPから)
- 施設HP:雷鳥沢ヒュッテ&ロッジ立山連峰:http://www.raichozawa.net/index.html
雷鳥沢キャンプ場が平地と違う点は?
気温は標高が100m上昇するごとに0.6℃づつ下がっていくので、雷鳥沢キャンプ場は大まかに言っても平地より15℃ほど低くなります。そのため、季節が夏であっても平地のキャンプ場と同じような感覚で行くと、とても寒い思いをすることになります。かなり長い期間、雪も融けずに残っているのでその点も平地とは異なります。