立山黒部アルペンルートの散策コースは初夏なら新緑が見どころのスポットも多いです。しかしアルペンルートスポット間の標高差は約2000mあり、上と下で気候は全く異なります。アルペンルートの中でも標高の低いところでは新緑でも、標高2300mでさらに山の深くに位置する雷鳥沢キャンプ場はまだ雪が残る別世界ということもあるので注意しましょう。
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雷鳥沢キャンプ場のシーズンごとの特徴は?
雷鳥沢キャンプ場は、徒歩の起点である室堂ターミナルまでの唯一の交通機関である立山黒部アルペンルートの営業期間(2019年は4月15日(月)~11月30日(土))の間しか行くことができません。雷鳥沢キャンプ場はその限られた期間の間にも、さまざまな気候の変化があります。
春(4~6月)
春の雷鳥沢キャンプ場はまだ雪に覆われています。筆者の体験ですが5月のGWの時期でも辺り一面が銀世界の雪上キャンプ。雷鳥沢野営管理所もまだ雪の下で、数m積もった雪を掘って中に出入りする状態でした。夕方からは少し雪もふぶいて、持参した衣類をすべて着込んでシュラフに潜り込んでも寒かったです。
雪が解けて地面が顔を出し始めるのは6月を過ぎて7月頃からなので、この季節はまだまだ雪があることを前提にした冬用の装備が必須です。地表(雪上)からの冷えを防ぐマットはもちろん、シュラフも冬用の耐冷温度があるものを装備していきましょう。雪道を歩くために念のためアイゼンやストックがあると安心です。
夏(7~8月)
7月に入ると雪も解け、ようやく新緑が鮮やかな季節になってきます。この時期でも室堂付近の平均気温は高くても15℃前後なので、雷鳥沢キャンプ場も一年のなかで最も過ごしやすいシーズンになります。ただし突然の夕立の後や夜は急激に冷え込むので長袖や雨具などの防寒・雨対策はしっかりしておきましょう。
また意外に見過ごされがちですが、高地の日差し(紫外線)は平地よりも想像以上に強いので、帽子や肌を露出しないような通気性の良い長袖の他、日焼け止めやサングラスなども準備しておくと役立ちます。
秋(9~10月)
9月~10月に入ると紅葉シーズンとなり、夏に次ぐハイシーズンになります。ただし10月を過ぎると平均気温は10℃を下回り、早くも雪が降り始めこともあるので、キャンプ装備としては再び冬用を想定した方が良い時期です。
初冬(11月)
11月は平均気温も氷点下になり完全に厳冬期のキャンプになります。ただ忘れてはいけないのは雷鳥沢野営管理所が一足早く10月末で閉鎖されていること。つまり11月はキャンプはできますが水場とトイレはありません。
水は持っていくとしてトイレは?というと室堂ターミナルで販売している携帯トイレを購入持参するのがルールです。その他にも細かい注意点がたくさんあり、一年を通じてこの時期だけはベテランアウトドアマンにしかおすすめできません。
室堂平周辺積雪期利用適正化協議会:http://www.pref.toyama.jp/cms_pfile/00010471/01046592.pdf
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雷鳥沢キャンプ場は混雑するの?
雷鳥沢キャンプ場は平地のキャンプ場とはかなり条件が異なりますが、シーズンを通じて本当にたくさんの人が訪れているのでしょうか?実際の混雑状況を見てみましょう。
ハイシーズンは混雑も
雪もなく過ごしやすい夏場(夏休み)は最も人出が多くなり、その時期にはキャンプ場にたくさんのテントが張られ、いわゆる混雑という状況になることもあります。
筆者が経験した、まだ雪に覆われた5月のGWでも、キャンプ場を目指すキャンパーだけでなく、温泉が目的の人たちで、ルートが少し行列していたくらいの人出がありました。そう言えば、分厚いオーバーを着込んだちょっと腰の曲がったおばあちゃんが雪道をよちよちと温泉目指して歩いていたのがとても印象に残っていま
混雑するテントも名物の1つ
混雑すると言ってもキャンプエリアは広いのであまり気にはなりません。むしろカラフルなテントがエリア一杯に張られる様子は「テントの花」として名物にもなっています。みなさんもここでお気に入りのテントで花を咲かせてみてはいかがですか。筆者も緑色のモンベルのムーンライトテントで花ならぬ「葉」を少しだけ茂らせてきましたよ。
雷鳥沢キャンプ場を楽しむために
雷鳥沢キャンプ場には山岳地帯ならではのマナーやルールがあります。自分のためだけではなく次に来るキャンパー、そして環境のために、必ず守りたい点をお伝えします。
希少な高山植物・野生動物を傷つけない
雷鳥沢キャンプ場を含む立山地域は中部山岳国立公園に指定されているエリアです。有名なライチョウだけでなく希少な高山植物もたくさん生息、生育しています。きれいな花を見かけても折り取るのは絶対NG。思い出にするときはぜひ写真で。テントを張る際にも植物を傷めないように細心の注意を払いましょう。
ドローンは使用NG
これだけきれいな風景なのだから、ドローンで空撮できたら素敵だなと思う方もいると思いますが、室堂周辺を含むアルペンルートはドローン撮影が禁止されています。またそれ以外の立山地域も、環境省から「動物へのストレス、落下による植生へのダメージ防止」のため「使用は控えるように」との通達がでていますので、ドローンは使用しないようにしましょう。
ゴミは必ず持ち帰り
高地にある雷鳥沢キャンプ場ではゴミはその場で処理することができず平地に下ろすしかありません。多くの利用者がゴミを残すとその処理の負担は大変なものになります。自分で出したごみは必ず持ち帰りましょう。もちろんゴミのポイ捨ては環境保護の点からも厳禁です。
防寒対策・装備は念入りに
繰り返しになりますが防寒対策はしっかりしていきましょう。服装の点だけでなく食料や携行食も少しだけ余裕を持っていくのがおすすめです。筆者は5月のGWの雷鳥沢キャンプで、晩ごはんにサッポロ一番のインスタントラーメンを一度に2袋食べてもまったく満腹感を得られなかったという経験をしました。
歩行によるカロリー消耗もあったとは思いますが、寒いとそれだけで体の熱量が奪われてお腹がすきます。小腹がすいたなという時にちょっとつまめるチョコレート(気温が低いと溶ける心配もありません)などの甘いものなど、お好みで構わないのでお持ちすることをおすすめします。もちろんキャンプでは食べることも楽しみの一つですからね。
雷鳥沢キャンプ場の生情報!体験ブログで雰囲気チェック
雷鳥沢を実際に体験してきた方の生の情報を見てみましょう。たくさんのキャンプファンが雷鳥沢キャンプ場の体験をブログで紹介しています。その中からいくつかをご紹介しますので雰囲気を感じてみてください。
5月だけど銀世界!春の雪中雷鳥沢キャンプ
筆者も経験した5月のGWの雷鳥沢キャンプの様子です。辺り一面銀世界ですが、たくさんテントが張られているのが分かります。ブログ主さんの服装装備も紹介されていますので、この時期にキャンプを考えている方にはとても参考になるブログです。
8月は涼しく爽やかに!ハイシーズンの雷鳥沢キャンプ
8月の夏の真っ盛りの雷鳥沢キャンプ場の体験ブログで、たくさんのテントの花も咲いているのもわかります。8月とはいえところどころ雪が残っているのはさすが立山。きれいな写真で夏の雷鳥沢の爽快な雰囲気を存分に知ることができるブログです。
秋は色とりどりの絶景!紅葉の雷鳥沢キャンプ
秋の紅葉の様子がとてもよくわかります。長野県側から室堂へアクセスする経路もブログ内で紹介されているのでその点も参考になりますね。晩ごはんが「これぞキャンプ飯」という感じでとても美味しそうです。
冷え込みはやっぱり厳しい!10月の雷鳥沢キャンプ
ご夫婦で雷鳥沢キャンプを楽しまれている様子がわかります。皆さん本当によくライチョウに遭遇されていてうらやましい限りです。筆者と季節は違えどブログ主さんも夜の寒さについて触れているので、防寒対策はやはり必須です。
みんな何食べてる?立山・雷鳥沢のキャンプ飯!
キャンプの楽しみはやっぱりご飯!雷鳥沢を訪れたキャンパーのみなさんはどんなキャンプ飯を楽しんでいるのでしょうか。SNSに投稿されたものの中から厳選して紹介します。
ここはやっぱりガッツリと!ステーキ&ご飯
ワイルドな山に来たなら食事もワイルドに。最強クッカーメスティンで炊いたご飯に、豪快にニンニクたっぷりのステーキを乗っけて栄養補給しましょう。疲れも一気に吹き飛びます。
疲れをいやす甘いひととき!バナナホットサンド
がっつりキャンプ飯もいいけれど、甘いバナナをたっぷり挟んだホットサンドは身も心もほっこりさせてくれる素敵なメニューです。チャムスのホットサンドメーカーがとってもおしゃれです。
やっぱり欠かせない!安心のインスタントラーメン
見慣れた具材も入ってるのでカップヌードルのようですが、左下に注目。登山者の間で密かに人気のカップヌードルリフィルをさりげなく使っているのがポイントです。山に来たらやっぱりインスタントラーメンは欠かせません。
ヤバいアレ忘れた!そんな時はこちらをチェック!
念入りに準備したはずなのにうっかり忘れもの、また「まあなくてもいいか」と装備から外したけどやっぱり持って来ればよかった、と後悔した経験のある方はいませんか。室堂ターミナルの売店ではキャンプグッズは売ってないだろうし仕方ないな…とあきらめるのはまだ早いかも?実は意外なところにご存知「モンベル」のショップを発見しました。
モンベル フレンドショップ立山【みくりが池温泉】
雷鳥沢キャンプ場への道すがら、既にご紹介した日本一高所の温泉「みくりが池温泉」の売店にはモンベルのフレンドショップが併設されています。さすがに品ぞろえは通常のショップのようにはいきませんが、ちょっとした小物ならココで入手が可能かもしれません。
また、モンベルとみくりが池温泉のコラボグッズもあるようなので、記念のお土産にもいかがでしょう。雷鳥沢の思い出にちょっと立ち寄ってみたくなりますね。
登山キャンプ入門にもおすすめ!雷鳥沢キャンプ場でキャンプレベルアップ!
標高約2300mに位置する立山の雷鳥沢キャンプ場についてご紹介しました。自然を楽しむのがアウトドアの魅力だとすると、見どころやおすすめスポットも多いので、ここはその醍醐味をダイレクトに体験できるキャンプ場と言えるでしょう。
一年の内で行ける期間は限られますが、キャンプビギナーの方でも挑戦する価値が十分あるキャンプ場です。もちろん立地条件から事前の準備は念入りに。まずはハイシーズンの夏場などに雷鳥沢キャンプ計画を立ててみてはいかがでしょうか。一度体験するだけで、あなたのキャンプレベルも一気にアップしますよ。