マンチニールは世界で最も危険な木?死に至る?謎の木マンチニールに迫る!

かわいらしい白い5枚からなる花びらをもつ花が散った後に結実します。子供の手のひらでぴったり持てるくらいの大きさで到底毒があるなんて想像もつかない姿をしています。ですがここまでお話ししてきたように猛毒を含んでいます。

実を食べるとどうなる?

この猛毒の果実を実際に食べてしまった人の記録がイギリス医師会雑誌に残っています。放射線医学顧問であったニコラ・ストリックランドはトバゴ共和国の旅行中に、実を食べてしまった経験を以下の様に述べています。

 「海辺の砂浜を歩いていたらココナッツやマンゴーに紛れて、緑色の丸い木の実を見つけました。私と友人はその果物を一口齧ると、たちまち甘い、心地よい味わいが口の中に広がりました。しかし数分後、口の中全体が違和感に包まれ、徐々に燃えるような痛みと共に喉が締め上げられる感覚を覚えました。」 (引用:Eating a manchineel “beach apple”(2000))

マンチニールは実だけでなく樹液や葉腋も危険

繰り返し述べていますがこの毒性はその樹木全体にあります。樹液や葉の付け根である葉腋、果実までです。古くから知られているこの毒性をうまく利用したケースもありますが大きな被害を受けたケースもあります。

樹液は先住民が毒矢として利用

猛毒があることを知っていたカリブの先住民たちは狩りのときに使用する矢の先にこの植物の樹液を塗り獲物をしとめていました。狩りに使うだけでなく戦闘の末の捕虜をこの木に縛り付け、徐々に幹から毒を浸透させ処刑したなんていうおそろしい話も残っています。

樹液で探検家は死亡

先住民たちの間では知れ渡っていた強い毒性は戦いにももちろん利用されていました。水にこの毒を溶かして敵に飲ませていたり、戦闘の際にも毒矢を使用していました。スペイン探検家のフアン・ポンセ・デ・レオンはこの毒矢を受けて死亡したとあります。

知らない観光客なども被害続出

現在でもこの植物の被害にあう人はいます。毒性を知らず、ビーチを歩いていてスコールに振られた観光客たちが雨宿りをした木がたまたま運悪くこの木であった場合、雨にわずかに混ざった樹液によって皮膚がたちまち水ぶくれになってしまうのです。

マンチニールは燃やしても毒性がある!

触るだけで水ぶくれができる恐ろしいこの毒性はなんと燃やしても力を失うことはありません。この木を燃やすと毒性を持つ化学物質が煙となって空気中に飛散し、吸い込んだり目に入ると有害です。

毒が目に入れば失明?

この木を燃やした煙が目に入ってしまうと目の粘膜が炎症を起こし、ひどい場合だと失明に至るケースもあります。有害な木だからといって安直に燃やしてしまうととんでもない被害を受けることになるのです。

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