アイナメってどんな魚か知っておこう!
地味な体色、臆病な性格、暮らしているところは水深30m〜40mほどの薄暗い場所、とここまで聞くと陰気臭いイメージを抱いてしまいますが生態を掘り下げて行くと見方が変わるような心温まるエピソードもあり、自然と興味が湧いてきます。どんな魚なのか見ていきましょう。
アイナメの見た目の特徴
平均的な体長は30〜40センチで体色は生息環境で微妙な違いがあります。色は黒褐色から赤や黄色っぽいものまで様々です。オスは産卵期に婚姻色である黄色も表れます。アイナメ科の特有の「背びれが一本に繋がっている」「鱗が細かい」という特徴も見られ同科のクジメという魚とよく混同されます。両者の見分け方についてはこちらをどうぞ。
アイナメの生態・生息域といった特徴
北海道〜九州南部までの広い範囲に生息しています。海藻が茂った岩礁帯やテトラポッドのような陰のある場所を好みます。昼行性でオスは縄張り意識が強く、産卵期になると卵を守るという習性を持っています。その期間は約一ヶ月とも!しかし一方で守るべき卵を食べてしまうという矛盾するような生態も明らかになっています。
アイナメの釣り方は?
特に凝ったことをする必要もなく初心者でも狙えます。船釣りの場合は根掛かり、擦れ対策に太いハリスを用意し、船釣り専用の仕掛けや船宿の指示を仰ぎましょう。陸からだと大物狙いは投げ釣りを、手軽に楽しむなら落とし込みが一般的です。餌はアオイソメが主流です。ルアーの場合はテキサスリグで根掛かり予防を施すといいでしょう。
低水温を好み北海道では年中釣れますが、本州では初冬から初春がピークです。特に産卵期は沿岸に寄ってきて食欲も旺盛で陸からでもチャンスが多い時期と言えます。独特な餌の食べ方をするので合わせには駆け引きと我慢が求められます。難しさもありますが強い引きには中毒性がありハマる人が多くいます。詳しい釣り方は以下をご覧ください。
アイナメって何を食べてるの?
基本的には雑食です。エビやカニなどの甲殻類やイソメなどの多毛類を食べています。大きな個体になると小魚も捕食対象になります。しかし普段の行動範囲はそれほど広くないので貪欲に四方を探し回って捕食するということはあまりありません。岩の陰などで静かに待ち「来るもの拒まず」のスタンスが基本です。
アイナメの別名は?
呼び名に地域差があります。北海道では「アブラコ」関西では「アブラウオ」「アブラメ」と呼ばれ、これは体表面が油を塗ったようにテカテカしていることからきています。また根魚を由来として宮城県では「ネウ」、食味が絶品で籾種を買うお金まで使ってしまったという逸話から広島県では「モミダネウシナイ」とも呼ばれます。
アイナメの旬はいつ?おいしい時期を知ろう!
既に江戸時代には食されていました。その頃から味の評価は高く、身分の高い人しか食べることができなかったという逸話も残っています。一方で病人に食べさせたりお喰い初めに使われたりなど、ヘルシーで食べやすいという認識もあったことが伺えます。
アイナメの味は上品!
淡白ですが濃厚な旨みのある白身は多くの人を虜にしています。食べ方も様々でシコシコした食感を楽しめる刺身や、モチモチの弾力を楽しめる皮の湯引きなど、どんな調理法でも満足に食せる魚です。中でも皮付きを炙って食べる刺身は皮の香ばしさ、皮下の脂の甘み、さっぱりした白身を同時に味わえることでとても人気があります。
アイナメの旬は夏から冬
10月〜2月頃が産卵期です。およそ4ヶ月前くらいから栄養を蓄え始めるとされており逆算して考えてみると夏頃からが旬といえます。ずんぐりと丸みを帯びた個体が多くなる初夏は真鯛の倍の値がつくこともあります。
おいしいアイナメの見分け方
以前は釣り人や飲食店など限られた人にのみに扱われることが多く、一般的に流通することは稀でしたが近年は魚屋でも丸1匹で売られていることも珍しくなくなりました。しかし鮮度の落ちが早い魚でもあるので見極めが非常に重要です。売っているものを目の前にした時、鮮度の良さをどのように見分けたらいいのかを解説します。
まずは基本の鮮度を見よう
鮮度の判別方法は一般的な魚と大差ありません。まずは以下を確認してみましょう。
- 体の色がはっきりしている
- エラが綺麗な紅色をしている
- 目が濁らず、澄んでいる
- 腹がブヨブヨにならず張りがある
体の表面で判断することもできる
別名「アブラメ」の由来にもなっている特徴的なヌメヌメとした体表面が鮮度の良し悪しを判断する基準にもなります。新鮮な状態で見られるヌメリは鮮度低下に伴って固くなる性質をもっています。触ってもツルツルと滑ることなくざらっとした感触が強くなります。触れてみたり目視して照り具合で見分けるのも一つの手段といえます。
アイナメの締め方をチェック!
釣ったら鮮度を保ったまま持ち帰り、完璧な状態でいただきたいものです。そのためには釣り上げたものを放置するのではなく、正しい方法で締めることが重要になってきます。「いかに余計なストレスを加えずに即死させるか」がコツです。その方法について紹介します。
アイナメを活き締めにしよう
釣った直後から鮮度の劣化はスタートします。苦しさでのたうちまわる魚には過度のストレスがかかり、味は落ちていく一方です。また暴れる事で全身に血が周り、調理時にその臭いが魚肉に混ざってしまいます。これを防ぐためにも一刻も早く楽な状態にしてあげることが大切です。
締める方法には様々ですがアイナメのような中型の魚には活き締めといって、即死させ血を抜き神経を抜く作業が一番合っています。以下はその方法を手順ごとにまとめています。なお、動画には人によっては刺激が強い箇所も含まれているので注意してご覧ください。
脳を破壊し即座に息の根を止める
場所は眉間か側頭部のどちらでも選択できます。眉間の場合は目と目の間の撫で軽く凹みを感じる位置を、側頭部は目からエラ方向に親指1本分離れた位置が目安です。刺した後、ぶるっと震えた後に口が開いた状態になれば成功です。フィッシュピックかハサミで行います。
血抜きを行う
エラ蓋の上部の後ろにナイフで切り込みを入れます。エラ周辺の幕を切り、太い血管を切ります。血管の見分けは困難でもあるので中骨を断ち切るように作業しましょう。続いて尾の付け根にも切り込みを入れます。血が溢れ出てくるので海水などできれいに洗い、氷入りのクーラーへ入れます。
神経を締める
ある程度血を流したら眉間に軽く穴を開け専用のワイヤーを通し神経を締めます。少しずつ入れていくとある時点で魚のピクッとした反応が出るのでその時点で完了です。体表面にある側線を意識して通すのがコツです。
アイナメを締める際におすすめの道具をチェックしよう
正しい締め方を学んでも道具がなければ実践に踏み切れません。また似たような形状のものを使うよりは、それ専門の道具の方が理に叶っていることが多く使いやすいのが現実です。これから紹介する道具をチェックして確実に締める準備をしましょう。
締めハサミ
先に長細いハサミであれば眉間や側頭部を突くときや、エラ幕や奥の血管を断ち切る時に目的の部位に行き届きやすくスムーズな作業が期待できます。また切れ味も重視すべき点なので、事務用品のものではなく調理用の方が合っています。
フィッシュピック
突くための道具です。定めた箇所を一撃で仕留められる可能性はハサミより勝ります。こちらのフィッシュピックはリールノブを参考に取っ手が作られているので安定感も抜群です。また専用のカバーもあり持ち運びも安全に行えます。