ウツボについて
見た目は独特の柄に顔は怖いイメージのウツボは、南西諸島に生息しているウナギ目の大型肉食魚です。長い矢を入れる容器に似ていることから「ウツボ」と名付けられたそうです。写真でも見れるように口がとても大きく目の後方まであり、まるで口裂け女のようです。
ウツボは海のギャングと呼ばれている
ウツボには多くの種類がいて体長20㎝から4mになる種類もいます。多くの種類は1m程で、大きな口と鋭い歯を持っているのが特徴です。腹びれと胸びれは退化してしまって無く、背びれ、尾びれ、尻びれが繋がっています。海のギャングと呼ばれますが、性格は穏やかな方で、攻撃しなければ自ら噛みつきにくることはないようです。
ウツボはあごが特徴的
ウツボは咽頭顎というものを持っていて、これは食べたものを食堂に通すために口顎の奥に隠されています。ウツボは動きが遅いので一度捕まえた獲物が逃げないように鋭い歯を持っています。更に先ほど書いた咽頭顎を用いて獲物を口の奥にしか行けない仕組みが出来ています。逃げようとすればするほど食い込んでくる恐ろしい仕組みになっているんです。人間でも噛まれたら数針縫う事にはなるでしょうね。
ウツボはタコやエビを食べる
ウツボは肉食魚で魚やタコやエビ、カニなどの甲殻類も食べます。タコにとってウツボは天敵なのです。基本的には巣穴にじっとしていて獲物が来るのを待っていますが、夜に海底を泳いで狩りをすることもあるそうです。ウツボはサンゴ礁や岩礁に住む者の頂点にいる存在なのです。
ウツボは伊勢海老と友達?
伊勢海老とウツボはウィンウィンの関係にあるんです。伊勢海老につられてやってきたタコをウツボは餌にするので伊勢海老にとってはタコから守ってもらえ、ウツボにとっては餌を運んでくれるいいやつなんですね。
伊勢海老の生態についてはコチラ
ウツボを食べてみよう
見た目も行動も獰猛としか思えないウツボ。到底食べようとは思えませんが、蓋を開けてみると意外やイケる魚なんですよ。釣り上げたウツボをどう処理していいか分かりやすく説明するので是非捌いて食べてみてください。
意外とウツボは食べられている
鋭い歯で漁業の網などを食いちぎってしまったり、釣れても噛まれると困るので糸ごと切って逃がす方も多いですが、意外と各地で食べられています。千葉県の館山では塩漬けにして天日干しにしたり、和歌山県では正月料理の材料として重宝されていたりします。
ウツボの味
小骨が多いので捌くのが少し大変ですが、捌いてみると美しい白身でクセがなく食べやすい味です。薄造りにすればフグと間違えるような美味しさがあるとか。また旬の頃の脂がのったウツボの皮が美味なんです。
ウツボの捌き方
実際にウツボの捌いてみましょう。まずウツボは皮が硬いのと、骨が沢山あることを頭にいれておいてください。よく切れる包丁を用意しておきましょう。また、ウツボはサイズが大きいので場所の確保も必要です。
表面のぬめりをとる
タワシなどを使用して、ウツボの表面にあるぬめりをゴシゴシ落としてください。塩で揉んでぬめりを取る方法もありますがタワシの方が早く落ちると思います。皮が硬いので遠慮なくこすってください。
背開きの要領で
頭は落とし切らず中骨に当たるくらいまで包丁を入れます。背開きの要領で中骨を意識しながら少しずつ包丁をいれましょう。皮が硬く、身はブヨブヨしていて捌き辛いので少しずつ無理なく切っていってください。
中骨をとる
中骨の底面側に包丁を入れ、骨に沿って身からはがすように切れ目を入れていきます。尾まできたら尾側から包丁を入れ頭に向かって骨を身から外していき中骨を切落します。その際内臓を切らないように気をつけてください。
内臓を取る
内臓の膜も結構丈夫なので、包丁で切り込みを入れてはがすと取りやすいです。頭も落として出来上がりです。頭を落とす際はとても硬いのでケガをしないように気を付けてください。無理な時はキッチンバサミで切っても大丈夫です。皮の柄や顔からは想像できないような美しい白身です。
骨抜きの仕方
ウツボの背中側にはとても沢山の骨があり、ハモのように骨切りをしたりもしますが、とても硬い骨なので素人には難しくまた、骨抜きもプロでも完全には取り切れないほど多いとか。勿体ないですが、背びれ側の骨は身ごと削ぎ落しましょう。また肛門付近にも硬い骨があるのでそちらも身ごと削いぎます。
ウツボを捌くときの注意点
いくら死んでいるからといっても歯の鋭いウツボです。表面はぬめりも強く骨は硬いのでけがをしてしまうと大変です。ふざけてウツボの口に手を突っ込んで遊ぶようなことはしないでください。ウツボを捌く時の注意点を紹介しますので、気を付けて料理をしてください。
目打ちは必須!
ウナギやアナゴでもそうですが、ぬめりがきつく体は長く更にウツボの身は柔らかいので目打ちをすることをおすすめします。ついでに尾も固定出来れば捌きやすくなります。生きているウツボを捌く時には暴れて噛まれるのを防御出来るので目打ちはした方が安心して捌くことが出来ます。
ぬめりに注意する
ウツボの皮は硬く骨も沢山あります。ぬめりをしっかり取らないと捌く際に包丁でケガをしてしまう可能性があるので、ぬめりはしっかり取るようにし、軍手などをはめて捌くと滑りにくくなります。
ウツボ料理のおすすめを紹介!
この綺麗な白身とコラーゲンたっぷりの皮などを使ってウツボを満喫しましょう。ウツボは大きいので色んな料理にして楽しむことができるので、美味しいウツボを食べてみてください。色んなウツボ料理を紹介します。
ウツボ料理のおすすめ10選①ウツボの刺身
ウツボはスッポンに負けないほどの滋養があると言われています。ウツボの白身はクセがなく淡泊ですが食感が楽しめるお魚です。旬の時期には脂ものっているのでお刺身でいただくのが美味しいですね。薄造りは骨を避けて調理出来るのでお刺身よりおススメです。
フグにも負けない美味しさ
とても丈夫な骨を身に隠し持っているウツボの刺身は骨に十分気を付けなければなりませんが、骨を確かめながら出来る薄造りであれば何とか出来るものです。苦労はしますが、比較的骨の少ない頭側の腹側は脂がのっていて美味しく、よく動かす尻尾側は歯ごたえがある食感で美味いです。
ウツボの刺身の作り方
刺身にするなら腹側の冊が他の部位より骨が少ないのでおすすめです。他の魚とは違い皮が硬いので身を削いで皮から剥がす感覚で冊を作ります。指で手寧に骨を確認しながら包丁を引きながら薄く切っていきましょう。身がブヨブヨしていて切りにくいですが、焦らず骨をしっかり確認しながら進めてください。
ウツボ料理のおすすめ10選②ウツボの唐揚
ウツボ料理の定番の唐揚げです。竜田揚げにしても塩コショウでシンプルに食べても美味しい一品です。酒の肴にもおかずにもなりますね。今回はシンプルに塩コショウでの作り方を紹介します。
皮ごと食べれて旨味が凝縮
硬くて分厚いウツボの皮はコラーゲンがたっぷりです。淡泊な白身も皮と一緒に揚げれば皮からの旨味が白身に染みて更に美味しくなります。唐揚の他に竜田揚げにしても美味しいです。
ウツボの唐揚げ(塩コショウ)の作り方
材料
ウツボ:6切約100g 塩コショウ:小さじ1/2 片栗粉:大さじ2 揚げ油:適量
作り方
- ウツボは3ミリくらいの厚さに削ぎ切りにします。塩コショウをふりかけます。
- 揚げ油を170~180℃に熱し、塩コショウしたウツボに片栗粉をまぶします。
- カリッとなるまで揚げれば出来上がりです。
ウツボ料理のおすすめ10選③ウツボのたたき
高知県の郷土料理でもあるウツボのたたきの作り方を紹介します。ネギやミョウガなど薬味にくるんでお好みのタレでいただいてください。
女性必見!嬉しいコラーゲン
皮ごと表面を焼いていただくウツボのたたきは、皮を焼くことでコラーゲンたっぷりの旨味が染み出し、皮と身の間にはぷるぷるの食感が凝縮されたウツボのおすすめ料理です。女性には嬉しい美味しい料理です。
ウツボのたたきの作り方
材料
ウツボ(シッポより前の身2/3くらい):適量 薬味(お好みで):ネギ、ミョウガ等 タレ(お好みで):ポン酢等
作り方
- 捌いたウツボを頭から肛門までくらいを使用します。身が分厚く脂がのっている箇所です。
- ガスバーナーで表面をじっくり炙ります。
- 直火などで焼く場合はじっくり様子を見ながらじわじわと焼き上げ皮がパリパリになるまで焼きます。急いで焼くと身が硬くなりすぎ、また焼き損じると生臭さが残ってしまうのでミディアムレアくらいのつもりで焼き上げてください。
- 薄く削いでお皿に薬味と一緒に盛り付ければ完成です。
- 薬味を巻いてポン酢でいただいたり、わさび醤油などお好みのタレで召し上がってください。
ウツボ料理のおすすめ10選④ウツボの兜煮
ウツボの頭も捨てずに使いましょう。高知県ではまとめて作ってご近所に配ったりする習慣があるのだとか。身を煮つけにしてももちろんいいですよ。
甘辛く煮汁が染みてぷるぷる
いただくからには余すところなくいただきたいものです。見た目はちょっとグロくて食べれる所も少ないですが、とておいしくいただけます。じっくりコトコト炊いてください。
ウツボの兜煮の作り方
材料
ウツボの頭 醤油:1 みりん:1 酒:2 砂糖又はザラメ:お好みの分量
※筆者のおすすめ分量ですのでおたまで表示しています。
作り方
- 捌いた残りの頭を使用します。下顎の部分にキッチンバサミなどで切り込みを入れエラをはずします。
- 頭までぬめりとりが出来てない場合は熱湯をかけてぬめりを落とします。塩もみではなく始めから頭ごと熱湯でぬめり取りをされている場合は不要です。
- ウツボの頭、酒、しょうゆ、みりん、砂糖を鍋に入れ落とし蓋をしてじっくり煮立たせます。臭みが気になる方は刻み生姜を入れても良いです。途中で何度か煮汁をウツボに回しかけながら煮るとまんべんなく煮つける事ができます。
- 筆者は水を入れては調理しませんが、早く煮詰まってしまうので気になる方は水を適量入れて煮つけても良いです。
ウツボ料理のおすすめ10選⑤ウツボの煮凝り
ウツボはゼラチン質が多いので煮つけにしても固まるほど。煮て型に入れておくだけで勝手に固まってくれます。野菜と一緒に煮込めば臭さも気になりません。
コラーゲンを活かした一品
ぷるぷるのウツボはゼラチン質が多く捌くのにはブヨブヨしていて捌きにくいですが、寒天を入れなくても勝手に固まってくれるほどの強さがあります。美しい見た目と上品な味わいです。
ウツボの煮凝り
材料
ウツボ:1kg 醤油:500ml 生姜:少々 水:適量
作り方
- ウツボは細かく適当なサイズに切ります。
- 鍋に水をいれ切ったウツボと生姜の千切り、醤油を入れて煮ます。
- 汁ごと型に入れて冷やします。
ウツボ料理のおすすめ10選⑥ウツボの干物
ワイルドに開いたウツボを干せば焼いて食べる事も出来、冷凍保存も出来て一石二鳥です。沢山釣れた時など重宝しますね。骨の処理だけキチンと出来ていればフワフワな身を楽しむことが出来ます。
塩焼きだけでなくアレンジも可能
塩焼きにして食べるのも美味しいですが、細かく切って唐揚などにしても普通に唐揚した時とは違うパリパリの食感が楽しめ、おつまみにもなりますよ。
ウツボの干物
材料
捌いたウツボ 食塩 水
作り方
- 骨をしっかり取ったウツボを用意します。
- 水適量に食塩を入れます。舐めてみて塩辛いくらいの濃度でウツボをつけます。
- 漬け時間は20分~30分くらい。量やウツボの大きさによって微調整してください。
- お天気が良く風が吹いているくらいに軒下などで天日干ししてください。