コハダとは
コハダはお寿司屋さんで誰もが一度は目にしたことがある、定番の光物ネタです。その名前以外に、名前やその調理方法で様々面白い逸話があったりするのは知っていますか?コハダは一体どんな魚なのでしょう?まずはこの魚について一緒に見ていきましょう。
コハダは夏から秋が旬の魚
寿司のネタで大事なのは旬です。旬は、その魚がもっともおいしく食べられる時期のことです。秋にはサンマ、冬にはブリがよく見かけられるように、コハダにも旬があります。お寿司屋さんでよく見かけるコハダの旬は7月~9月の夏から秋にかけてといわれていますが、実は成長期によって旬が変わる、少し変わった魚なのです。
コハダは出世魚
コハダは成長時期によって名前が変わる、「出世魚」と呼ばれる魚です。有名どころでいうハマチやスズキと同じように、コハダも「シンコ」、「コハダ」、「ナカズミ」、「コノシロ」と成長時期によって呼ばれる名前が違います。先ほど述べたように、それぞれで旬も違い、シンコの旬はコハダより早い夏、コノシロは晩秋から冬が旬となっています。
コハダの名前の由来
戦国時代の頃にコノシロの名前が広まったといわれています。生まれる子の健康を祈って地中に埋める風習から「児(こ)の代(しろ)」と呼ばれるようになった、と伝えられています。しかし「この城を食べる」とも読めることから縁起が悪いため、武士が食べることは禁止されました。そのため庶民は「コハダ」と呼んで食べていたといわれています。
コハダの味は職人によって変わる?
コハダ寿司は捌いたコハダを塩や酢に漬けて仕込みをするのですが、この塩や酢の量、漬ける時間は決まりがないので、お店ごとに異なっています。また、季節や温度によってそのあたりのさじ加減が変わるため、好みの味を出すには経験や勘が必要になってきます。味が変わるのは職人のこだわりによるものなのです。
コハダ寿司の作り方をご紹介
なかなか奥が深く、「人によって味が変わるなんて難しそう……」と思われるかもしれませんが、手順は少なく材料も塩と酢と、お家にあるものでできるので、簡単においしいコハダ寿司を楽しめます。ここからはコハダ寿司を作るための手順とポイントをご紹介します。
コハダ寿司を作ろう!①コハダの捌き方
まずはネタ用にコハダを捌いていきましょう。この過程で重要なのはウロコと骨を取っておくことです。コハダは小骨が多く、酢締めで骨が柔らかくなるため気にならなくなるとはいえ、多く残っているとやはり食べづらいと感じます。食べるとき気にならないように、しっかりと取っておきましょう。
コハダの捌き方は簡単!
コハダは魚を捌く際の基本となる三枚おろしで捌いていきます。お寿司屋さんの職人が使うような長い包丁でなくても、お家にあるまな板と包丁で簡単に捌くことができます。それでは、処理の手順を見ていきましょう。
コハダを真水につける
コハダは皮を剥くことができないので、しっかりとウロコを取っていきます。そのためにはまず準備として、コハダを真水に漬けておきます。乾いているとウロコが落としにくいので、真水につけることでウロコを浮かせ、落としやすくするのです。他の魚は塩水につけることが多いですが、コハダは色が落ちにくいため真水で大丈夫です。
うろこをとる
包丁の刃でコハダの身体の表面を撫でるように擦り、ウロコを落としていきます。このときに背びれも落としておきましょう。市販のうろこ引きを使っても大丈夫です。力を入れて擦ると身が傷んでしまうため、力は入れすぎず素早く落としていきましょう。ウロコを落としたら流水で洗います。
頭を落として内蔵の処理をする
まず斜めに包丁を入れ、コハダの頭を落とします。次に腹の底の部分を少し切り落とし、中からはらわたと腹についている血合いを取り出します。取り出したあとは尾を落とし、腹を開いて流水できれいに洗い流します。
三枚におろす
まず片面をおろします。しっかりともう一方の手でコハダを押さえておき、頭側から包丁を入れ、中骨に沿って尾の方まで切り下げていきます。一度にスッと切るのは難しいので、何度か包丁を前後させながら進めます。片面をはがしたら裏返し、もう一方の面も同じように切っていきます。すると、コハダが三枚に分かれます。
腹の骨を取る
おろした半身の腹側が左に向くように置き、すくように包丁を入れ腹の骨を取ります。皮一枚になったところで包丁を立てるときれいに取り除くことができます。同様に、もう一方の身にも腹骨がありますので切り落とします。捌き終えたら、キッチンペーパーなどで水分を拭き取ります。
コハダ寿司を作ろう!②コハダの酢締め
コハダを捌いたら、次は酢締めに入ります。コハダ寿司の味を決める過程といっても過言ではありません。酢と塩で締めることで臭みがなくなり、より一層コハダの旨みを引き出すことができます。また、昆布やゆずの風味を加えた酢を使うとまた違った味わいが出ますので色々試してみるのもよいでしょう。
コハダの身に塩をかける
濡らしたざる、またはバッドに塩を振ります。その上に皮を下に、身を上にしてコハダを重ならないように並べます。並べたら、コハダの身にも塩をまぶします。その後冷蔵庫で30分~1時間ほど置いておきます。目安としては塩がコハダから出る水分で溶けてくるくらいです。塩が馴染んだら、流水で洗います。
塩加減は好みで
前述したとおり、塩の量には規定の分量がありません。魚の大きさや脂の乗り、季節などによって変わってきます。目安はコハダの身がうっすら見えるくらいの塩加減です。また塩は気温が高いほど早くなじむため、夏は短め、冬は長めにつけておきましょう。大きさにばらつきがある場合はコハダを大きさごとに分けて、漬ける時間を変えましょう。
コハダを酢になじませる
洗ったコハダを酢洗いします。酢洗いとは、コハダをゆすぐように酢にくぐらせ、酢を馴染ませることです。ここでは「二番酢」といって、一度使った古い酢を使うか、または酢と水を同量で混ぜたものを使います。
馴染ませたらすぐに酢を切る
ここではまだ酢に漬けこみません。酢洗いしたらすぐざるにあげ、余分な水分をキッチンペーパーなどで拭き取ります。この酢洗いをしておくことで、コハダのぬめりを取り、青臭さや魚臭さを取り除くことができるのです。
コハダを酢につける
次は本漬けです。ここでは未使用の一番酢を使用します。新しいバッドやボウルに皮が下になるようコハダを並べ、酢を注ぎます。このとき酢はコハダが完全に浸かる量にします。このまま、コハダの身が白くなるまで30分程度漬けます。ここでも季節によって漬ける時間が変わります。夏は25分くらい、冬は35分ほどつけましょう。
色が抜けないように注意
本漬けの酢は必ず冷やしたものを使うようにします。酢の温度が高いとコハダの皮が剥がれたり、背中の光が落ちたり、色飛びしたりしてしまいます。なので、酢の温度には充分注意が必要です。特に夏はしっかり酢を冷やしておきましょう。
コハダ寿司を作ろう!④寿司を握る
コハダの酢締めができあがったらネタの完成です。ここからはいよいよ寿司を握っていきます。寿司の握り方にもコツがありますので、見ていきましょう。ここまでくればおいしいコハダ寿司を完成させるまであと一歩です!
シャリを準備する
米一合に対しすし酢大さじ2杯ほどの分量を合わせて酢飯を作っていきます。市販のものでもよいですし、自家製のすし酢をお好みで使うのもよいでしょう。おいしい酢飯の作り方は以下の通りです。
普段よりも気持ち少なめの水加減で炊いたごはん3合を、飯台のまん中に山を作るようにのせたら、「ミツカン すし酢」大さじ6杯分をしゃもじに垂らしながら回しかけます。すし酢が全体にいきわたるよう、底の方から大きくほぐしたら、縦と横に切るようにして平らに広げます。さらに、うちわであおいで水分を飛ばし、ツヤを出します。最後にごはんの上下を返し、もう一度軽くほぐします。混ぜすぎて練らないようにするのがポイント。時間をかけすぎるとツヤがなくボソボソした口当たりになるので注意を。引用元:ミツカン公式サイト
コハダの上にシャリを乗せる
まず右手で一個分のシャリ(ピンポン玉くらいの大きさ)を取って丸め、左手にコハダをのせます。(ワサビはこの時コハダにつけます。)左手のコハダの上にシャリを乗せたら、左手の親指で軽くシャリを押さえ、へこませます。右手の人差し指で押さえて底を作り、ひっくり返します。
寿司を握る
まず右手の中指と親指、そして左手の親指それぞれ使って側面を軽く押さえます。次に右手の人差し指でネタの上を軽く押さえてネタの形を整えます。一方の形が整ったら寿司を180度回転させて、もう一方の形も整えます。
握るときは素早く行う!
おいしい寿司を作るためには、あまりシャリを押さえず素早く握ることがポイントです。おにぎりのようにぎゅっと握る必要はありません。箸で持った時に崩れず、口の中で解けやすい固さがちょうどいい固さです。
コハダ寿司を作ろう!⑤寿司をもっと楽しむコツ
おいしいコハダ寿司が完成していざ実食、その前に寿司の食べ方にもコツがあることを知っていますか?家で食べるときもお寿司屋さんに行っても使える、寿司がもっとおいしくなる食べ方をお教えします。
醤油をつけるときはネタ側に!
醤油をつけるときはネタ側に少量だけつけることがポイントです。ベッタリつけてしまうと醤油の味ばかりでネタ本来の味がしなくなってしまいます。さらにシャリ側につけるとシャリが醤油を吸ってしまい味が濃くなったり、崩れて醤油皿にシャリが残ってしまうことがあります。