燻製を食べたい!方法は3つ
燻製の方法は、大きく分けると3つあるというのはご存知ですか。作り方を変えることで、仕上がりの食感がまったく違ったものになります。食べたいもののジューシーさやシーンを想定して、燻製にかける時間や温度を調節しましょう
温燻
一番スタンダードなのが、温燻。50~80度で数時間~1日をかけていぶします。食材の水分は半分くらい残っているので、塩分が薄く口当たりが優しいです。そのかわり保存期間は長くても3日~5日。燻製できる食材は、たいていの場合温燻で食べることができます。
冷燻
20度前後、室温状態でいぶすのが冷燻。数日~数週間をかけていぶすので、食材の水分がほとんど抜けた仕上がりになります。固くなりますが、そのかわり一か月ほどの保存がききます。作るのに時間がかかるので、高温多湿の夏場には食材が痛みやすく、作るのに適しません。
熱燻
80度以上の温度で作るのが、熱燻。15分~1時間ほどいぶすと完成です。食材の水分がしっかり残っているので、ジューシーな味わい。食品に対して加熱するというより、煙で香り付けをする感覚。なので、生ものを熱燻で調理する場合、保存性はあまりありません。すぐに完成するので、アウトドアに最適です。
燻製を食べたい!作り方のステップ
燻製には、いくつかのステップがあります。となると、初心者にとってみては、面倒で敷居が高いかな、と思われがちですが、実際にやってみると意外と簡単なものです。詳しい手順を見ていきましょう。
塩漬け
一番最初のステップは「塩漬け」。「ソミュール液(濃度4~20%の塩水に砂糖とスパイスを混ぜた液)に、食材を付け、冷蔵庫に入れて塩分をなじませていきます。殺菌と味付けの効果があり、何日間もつけるとそれだけ燻製後の保存期間も長くなります。
塩だし
塩分がしみこみ、殺菌された食材から、塩分を取り除くのが「塩だし」。食材をボールに入れて水道水を流し込み、塩分と食材の汚れを取り除いていきます。勢いよく水をかけると水が傷ついてしまうので、ボールの壁面に水道水をあてるようにしましょう。1時間~3時間ほどで綺麗になります。
乾燥
塩出しによって食材にしみ込んだ水分を飛ばします。キッチンペーパーで表面の水分をとり、風通しのいい涼しい日陰か冷蔵庫で自然乾燥。日陰の場合は虫が寄りやすいので、メッシュ袋に入れて吊るすといいでしょう。扇風機を当てると早く乾燥します。アウトドアで燻製を作る場合は、出発までにこの段階まで済ませておきましょう。
注意点
暑い時期は冷蔵庫に入れて乾燥させるのがいいのですが、外に出すと食材の表面に水分がつくことがあります。水分がついたままスモークすると、酸味のある燻製になってしまうので、常温に戻した段階でしっかり水分をふき取ることが大切です。
燻煙
いよいよ燻煙に入ります。燻製剤(燻製チップもしくはブロック)の煙を充満させた燻製器に食材を入れ、温度調節をしながらいぶしていきます。燻製剤に食材が当たらないように、燻製剤の上に網を置いたり、食材を蓋からつるしておきます。水分が抜ける事と、煙の成分により、殺菌されますし、腐敗効果もあります。
燻製での注意点
肉や魚介類など、火を通すことで液体が出てくる食材をスモークする場合は、燻製剤に液体が落ちないように気を付けましょう。食材を乗せる網の下に、くしゃくしゃにしたアルミホイルを敷いておくのがおすすめです。
熟成
できたての燻製は、煙や塩の味がなじんでいなくて、鼻に少々きつく感じます。熱燻以外は、すぐに食べるのではなくて少し寝かせます。日陰や冷蔵庫で数時間休ませれば、味が柔らかくなじんで食べごろです。
燻製食材のおすすめ|人気・定番6選
おススメの燻製食材を見ていきましょう。まずは、定番で、かつ初心者にも作りやすいものを紹介します。すべて生ものではないので、中まで火を通すことを考える必要がなく、短時間で作ることができます。
①チーズ
スモークチーズといえば、燻製の代表選手。スモーカーの上部にセットし、とけてしまわないように温度調節をしながら燻製しましょう。チーズにコショウなどのスパイスを擦りつけてスモークするのもおすすめ。
スモークに向くチーズ
大きなプロセスチーズや6pチーズ、さけるチーズなら温度に強いのでスモークにぴったり。カマンベールチーズでも、ホールのままなら解け流れないので燻製できます。まるごと豪快にスモークしてとろとろを食べてみてもいいですね。
②たまご
そのまま食べても、他の料理のトッピングにしてもおいしいのがたまご。ゆでたまごを2時間ほど麺つゆにつけておき、スモークします。半熟たまごを軽く熱燻すれば絶品に。切り分けた時の黄身のトロトロ感がたまりません。
③トマト
野菜も燻製できます。下処理もいらないので簡単、初心者向け。プチトマトなら、表面を拭いてから燻煙器にセットするだけ。10分ほどで、うまみが凝縮した燻製トマトのできあがりです。加熱することで甘みが強く感じられます。
④かまぼこ
かまぼこも、下処理が簡単で簡単にできるので初心者におススメの食材。スモークする前に、少し表面に塩を振ります。すると水分が出てくるので、拭きとってからスモーク。10分でできますが、途中でまた水分が表面についてくるので、一度ふたを開けて水分をふきとりましょう。
⑤たくあん
人気が急上昇しているのが、たくわんの燻製「いぶりがっこ」。もともと秋田県でよく食べられていたのですが、今では各地で販売されるほどになりました。自分で作る場合は、たくわんをスライスして水分をのぞき、温燻で5分、その後加熱しないまま30分ほどおいておけばスモーキーないぶりがっこのできあがり。日本酒にピッタリです。
⑥醤油
食材ではなく、調味料をスモークしてしまったのが燻製醤油。食材をいぶさなくても、これを少しかけるだけで燻製の香りを楽しめます。お刺身に垂らしてもいいですが、おすすめは玉子かけごはんです。
作り方
燻製器に燻製チップを入れて火をつけ、網を乗せ、煙を出します。ボールやトレイなど、口の広い容器に醤油を流し込み、網に乗せます。弱火で15分スモークし、その後火を消してから5分。煙の味がなじめば完成です。
燻製食材のおすすめ|コンビニ食材4選
お次は、コンビニで購入する事の出来る食材です。こちらも生ものはないので初心者向き。味付けもされているので、下処理をしなくても簡単に出来上がるのですが、仕上がりは驚きの美味しさです。
①サラダチキン
コンビニで人気のお惣菜といえば、サラダチキン。そのまま食べてもおいしいのですが、様々なアレンジ方法がネットをにぎわせています。燻製にしてもはずれません。味付けも過熱もいらないので、初心者にも簡単。
作り方
下処理は要りません。しっかり水分をふき取るだけ。燻製器に燻製チップをいれて煙を出したら、網に乗せたサラダチキンを入れます。低めの温燻で1時間ほどスモークすると出来上がり。高めだとぱさぱさしてしまうので気を付けて。
②ミックスナッツ
もともと塩分、乾燥もほどよくほどこされているのがミックスナッツ。下処理抜きで、アルミホイルで作ったお皿に乗せ、煙の出ている燻製器に入れます。50度くらいで1時間スモークすれば、香ばしく仕上がります。
③ポテトチップス
さらに簡単にできるのが、スナック菓子類。熱を通すだけで燻製になるので、ちゃんとした燻製剤がなくても、お茶っ葉の出がらしをフライパンで煎じるだけでも手軽に作れます。ほんのりついた香ばしさには抵抗できません。
作り方
コンパクトスモーカーか、それを出すのも面倒ならフライパンにアルミ箔を敷き、茶葉を乗せます。さらにアルミ箔、網を敷いたらポテチを乗せ、ボールで蓋をして着火。煙が出てきたら火を弱め、5分で完成です。
④チーズ鱈
チーズの加工品、チーズ鱈。鱈がすでに燻製されているのですが、再燻製することであたたまり、香ばしさが食欲をくすぐります。チーズがトロトロのあいだに口に入れてしまいましょう。ビールにもピッタリ。
作り方
コンパクトスモーカーにチップの燻製剤を乗せて着火、煙が出てきたら網を敷いてチーズ鱈を乗せます。5分間温燻したら、スモーキーな色が全体についてきます。5分で完成するので、食べたい!と思い立ってから作ってもすぐ食べられます。
燻製食材のおすすめ|肉類3選
燻製に慣れてきたら、いよいよ本格的な燻製をしていきましょう。お肉の中でも、おいしくて病みつきになるようなおススメなもの3点です。じっくりとスモーキーな香りをつけて、あふれる肉汁とともに味わいましょう。
①ソーセージ
味付けされて販売されているソーセージなので、下処理が不要。すでに加熱されているものを購入すれば簡単に作れるので、初心者向きです。子どもでも喜ぶ燻製。生ソーセージを間違えて買わないようにしましょう。
作り方
常温に戻したソーセージを軽く拭きます。燻製器に燻製チップを入れ、アルミホイルを敷いて着火。煙がたっぷり出てきたら網に乗せたソーセージを入れて蓋をし、中火にして10分加熱。香織がよく、油も溶けてジューシーになった燻製ソーセージの出来上がりです。
②ベーコン
燻製肉といえば、ベーコンです。豚のばら肉から手間暇をかけ、燻製して自家製ベーコンを作るのもいいですし、アウトドアで限られた時間で作るなら、既製品を熱燻するのもおすすめです。単品でもいいですし、サンドイッチやホットサラダなど他の食材と組み合わせて食べてもおいしい。
作り方・既製品の熱燻
既製品で簡易に作るやり方です。小さめの燻製器に燻製チップを乗せ、着火。煙が出てきたらアルミ、網を敷いて、ベーコンを乗せます。蓋をして、熱燻でスライスなら5分、ブロックなら15分くらいで完成です。
作り方・自家製ベーコン
作る過程から楽しむなら、自家製で。豚のばら肉のかたまりをソミュール液につけ、冷蔵庫で1週間保管。3時間ほど塩出しをし、2日間乾燥させてから温燻へ。3時間くらいスモークさせたら完成! 冷蔵庫で1日寝かせれば食べごろです。
③牛肉
お肉の王様、牛肉。これを燻製すると、なおさら王様感が強く、安いお肉でも味が濃厚なお肉になります。薄いお肉でジャーキーを作ることも多いですが、厚みのあるかたまり肉・ステーキ肉を燻製すると絶品な仕上がりに。
作り方
キッチンペーパーで牛肉の表面の水分を覗いておきます。燻製器に燻製剤を入れて着火して、しっかり煙を出します。アルミ、網を敷いて塩コショウをした牛肉を乗せて、蓋。弱めの火にして5分待ち、ひっくり返してさらに5分。最後にフライパンで表面に焼きめを付けたらレアステーキ風燻製ができあがります。
燻製食材のおすすめ|魚介類7選
魚介類の燻製もおすすめです。もともとがたんぱくな味わいの食材でも、うまみがしっかりと凝縮した仕上がりに。ゆっくりと日本酒をかたむけながら味わってみてください。オリーブオイル漬けもおすすめ
①ほたて
ぷりぷりのホタテでも、柔らかい貝柱だけでもおいしく燻製できます。冷燻、温燻、熱燻すべてが可能で、それぞれ違う舌触りを楽しむことができます。温燻でも1時間~2時間ほどスモークすれば食べられるので、アウトドアで作ることが可能です。ただし、熟成させた方が美味しいので、すぐ食べたいなら熱燻にするのがおすすめです。
作り方・温燻
ホタテを1日塩漬け、軽く水洗い、1日乾燥させておきます。煙が充満した燻製器に入れて、60度で1時間スモークしてから、裏返し、さらに1時間スモークするといい色になります。風の当たる場所か、冷蔵庫で、1日熟成させれば完成。更にオリーブオイルにつけると絶品です。
作り方・熱燻
ホタテをキッチンペーパーの上に並べて塩を振ります。裏返してもう一度塩。水分が出てくるので、しっかりとペーパーに吸わせてから、ホイルと網を重ねた上に並べて煙が充満した燻製器へ。80度で8分ほどすると、裏返し、さらに5分ほどで完成。熟成は必要ないのですぐに食べられますが、これもオリーブオイル漬けにしてもおいしいです。
②たこ
普段はたこはたこ焼きくらいしか食べない人でも、たこの燻製ならスーパーやコンビニで食べたことがある、というくらいメジャーなタコクン。自分で作ると、肴として売っているタコクンとは全く違う食べ物じゃないかと思うくらいおいしくできます。タコを丸ごと買うと準備が大変なので、切ってゆでられている物を買うのがおすすめ。
作り方
タコを3時間~4時間ほど塩漬けしたあと、30分ほど塩出しします。キッチンペーパーに乗せて冷蔵庫に入れるか、日陰に吊るして2時間乾燥させます。網に乗せ、煙が充満した燻製器に入れます。温度は50度くらいの温燻がおすすめ。1時間スモーク、ひっくり返して1時間スモークさせたら、半日間熟成させて完成です。
③ししゃも
頭から丸かじりして、カリカリな皮とふっくらしっとりした身や玉子を味わえるのがシシャモの燻製。もともと塩味が付いている干物の状態で販売されている物が多いので、下処理が必要ありません。初心者でもアウトドアで簡単に作れます。
作り方
1時間ほどキッチンペーパーの上に広げておき、乾燥させます。ホイルと網を重ねた上に移し、煙が充満した燻製器に入れて、15分間熱燻。表面が茶色くなり、頭の部分がパリパリになってきたら食べごろです。塾生は必要ないのですぐにかじりつきましょう。
④サーモン・鮭
魚介類の燻製で一番メジャーなものといえば、スモークサーモン。ロシアや北欧など、生魚を食べる習慣がない国でも、スモークサーモンがスーパーに並んでいるくらい、世界中で愛される燻製です。冷燻が一般的ですが、アウトドアで熱燻にしてもおいしく食べられます。塩味のついている切り身を買った場合は塩漬け・塩出しがはぶけます。
作り方
半日塩漬けし、流水で1時間塩出しします。表面の水分をぬぐい、3時間、日陰か冷蔵庫で乾燥。扇風機を当てると1時間でしっかり乾燥します。アルミ箔と網を重ねた上に乗せて、煙が充満した燻製器に入れます。120度で10分間スモークしたら、蓋を開けて。水分が出ていたらふき取り、ひっくり返して5分で完成です。
⑤さば
お家で食べる魚の定番、さば。焼いても似てもおいしいのですが、燻製にするといつもと違うおいしさが目を覚まします。スーパーに並んでいる段階で、すでに塩味がつけられているので、塩漬け・塩出しが不要。アウトドアで簡単に作れるのでお勧めです。日本酒にもご飯のお供にもぴったりです。