更にアジアでは有名な西遊記の中での斉天大聖孫悟空や、インドの神話における神の一柱であるハヌマーンなど、物語の主人公になったり神話の中で神格化されることもあります。このように、地域によってイメージや扱われ方には相当に違いがあるということが分かるでしょう。
都市伝説としての猿の手
どうせ願いをかなえてくれるのであれば、自分の望んだ形でかなえてほしいというのが真実でしょう。しかしそれに大きな代償を必要とするため悪い印象を受けることが多いですが、どこでも同じ扱いを受けているわけではありませんでした。それでは都市伝説としてみた時のこのアイテムはどうなっているのでしょうか。
多くは小説を元にした怪談
この願いをかなえるアイテムという分かりやすくも良くある手はいろんな怪談の中で使われています。話の内容によっては少しばかりアレンジが加わっているともありますが、その多くは今回ご紹介した原作の内容を基にしている物語です。また、創作のアイテムとして出てくるといったこともあるようです。
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猿の手が登場する主な作品
冒頭辺りでもご紹介しました通りこのアイテムはオカルトの話の中でも比較的有名で、前述しました通りいろんな怪談になっているという形で都市伝説化しています。そしてこれだけ有名なためにそこでとどまるだけでなく、アニメーションの中でもこの手を基にして物語が作られているのです。
作品①化物語
例えば、西尾維新の物語シリーズの最初の作品「化物語」の中でも登場しています。まずこの物語は、主人公の阿良々木暦が同じ高校のクラスメイトである戦場ヶ原ひたぎと出会い、彼女が怪異に悩まされていたことを知って解決を試みるところから、いろんな都市伝説的な話に首を突っ込んでいくというものになります。
そして肝心の猿の手が出てくるのは、ヒロインの戦場ヶ原ひたぎと中学生の時の後輩であった神原駿河です。2人は中学時代お互いの部活で非常に優秀な成績を治めていたために有名になり「ヴァルハラコンビ」とも呼ばれ当人同士の中も良かったのです。ところが、戦場ヶ原が怪異に出会ってしまったために疎遠になってしまいます。
主人公を呪った
そして神原はそれを救うことができなかったのを阿良々木が解決し恋仲になったのを知り嫉妬心が芽生え、元々持っていた猿の手に主人公を無意識化ではありますが排除しようとしました。また小学校でも運動会のかけっこで1位になりたいと願ったところ、足が速くなるのではなくかけっこに参加するクラスメイトを体調不良にすることでかなえています。
ちなみにこの神原という少女は主人公たちの通う高校でバスケットボール部に所属しており、中学時代からの能力を生かして試合でも活躍、校内で知らぬ者はいないほどの人気を集めてはいますが、腕が猿のそれになってしまっており隠すために腕すべてに包帯を巻き付けていました。
作品②XXXHOLiC
同じくアニメの「XXXHOLiC」という作品でも登場しています。主人公の郁子たちが家の宝物庫を掃除していると、そこへ一人の女性が表れて中に合った筒に興味があり譲ってほしいといいます。それを了承しましたが、しかし郁子はその代わりに絶対に開けてはならないといいます。
しかし次の日人とぶつかって筒の中身が飛び出てしまいます。それこそが猿の手。雨が降ってほしいといえばその通りになるなど力を信じる女性でしたが、願い事の1つだった大学の論文が盗作だと連絡が入り、「お前のせいなんだから今すぐ全部消して」と願ったところその通り彼女自身が消えてしまったという形です。
猿にまつわる都市伝説
化物語など様々な有名アニメ、もといその原作の中でも今回ご紹介する手が登場していますし、内容も作品内でかたられているためにこれらを見て存在を知ったという方も多いのではないでしょうか。そんなこのアイテムはミイラの手の存在だけに限らず、違う形で都市伝説化しているのです。
恐怖の悪夢「猿夢」
それが「猿夢」という物語です。電車の中でアナウンスがなされ、それがされていくごとにどんどん電車内の人が殺されていくという凄惨な物語なのですが、あまりにもその内容がグロテスクでおぞましいためにインターネット上で検索をかけてはならない単語の1つとまでも言われています。
猿の手から学ぶべき教訓:願いは簡単に叶うものではない
いろいろと手に関する内容や原作、都市伝説や登場した作品などについてご紹介しました。こういったおとぎ話には大抵の場合そのストーリーから学ぶべき教訓があるのですが、このアイテムから得られる教訓とは何なのでしょうか。
対価もなしに得るものはない
まず一番に学ぶべきなのは、自分が何の対価を支払うことなく何かを得られるということはよっぽどのことが無い限りないということです。それこそご紹介しましたアラジンの魔法のランプのように都合の良いアイテムではなく大きな対価を支払っているため、それが浮き彫りにされているのです。
簡単に叶うものほど疑わなばならない
よく言われるのが旨い話ほど裏があるということですが、これはこの話にも当てはめることができます。ただ願うだけで自分のその願いをかなえることができるというのはうさん臭くて信じられないという方もいらっしゃるかもしれませんが、実際その通りでまず疑ってかかることが大事というのも教訓になっているかもしれません。
怪しいものには手を出さない
願いを叶えるアイテムも使い方次第や欲を出しすぎると不幸になるように必ず代償・対価が必要なものです。ましてや簡単に叶うならばわざわざ謎のアイテムを使用する必要があるでしょうか?そして当たり前かもしれませんが触らぬ神に祟りなし、怪しいものには深くかかわらないことが身のためです。
望まぬ形であっても願いを叶えたいですか?
ということで、今回は猿の手というオカルトの世界の中でも有名なアイテムについてどんなものなのかやどんな話から出たものなのか、登場した作品やまことしやかにささやかれている都市伝説などについてご紹介しました。やはり声を大にして言いたいことは、簡単に願いをかなえることはできず大きな対価を必要とするということです。
このアイテムの最も恐ろしいところは、やはり願いを望んだ自分が予期せぬ、ともすれば不幸になってしまうような大きな代償を支払うことで実現しているということです。もし自分の手にそれがあったとしたら、望まない形であったとしても自分の願いをかなえたいとあなたは思うでしょうか。
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