キスについて
まずはキスの見た目や生息地、旬の時期について、ご紹介します。「キス」という魚がどのような特徴があるのか見ていきましょう。
キスはスズキの仲間
キスはスズキの仲間で、スズキ目スズキ亜目キス科です。私たちが「キス」と呼んでいる魚は正しくは「シロギス」と言います。他にもキス科には「アオギス」や「ホシギス」などがいます。またキスはゴカイやイソメなど、多毛類や甲殻類を好むため、浅い海岸沿いに生息していのが特徴です。
キスの見た目
キス(シロギス)の体は、背側が淡い黄色で、腹部が白い色をしています。そのためシロギスという名前なのです。体の表面はざらざらとした感触をしているのが特徴です。背ビレは前と後に分かれており、それぞれ同じような形をしているのが特徴です。口は小さく、少しだけ下を向いています。
キスの旬は春から夏
キスの旬は海水の温度が上がる春から夏にかけてです。水温が上がると浅瀬に現れます。逆に秋から寒い冬の時期は深い場所に移動していきます。初夏から初秋の間が繁殖期で、この時期がキス釣りのベストシーズンです。これからキス釣りを始めてみたいという方はこちらの記事も併せてご覧ください。
キスは小さい魚ではない?
スーパーや飲食店で目にするキスは15〜20cmほどの大きさで、これは通常のキスの大きさです。しかし時期によっては大きいもので約35cmの大物キスも存在します。
キスの捌き方をご紹介!
キスはいろんな調理法で、その味を楽しむことができます。例えば、代表的な天ぷらやシンプルな塩焼き、煮付け、新鮮であればお刺身でいただいても美味しいです。そこでキスを美味しくいただくにはそれぞれの調理にあった捌き方をすることが大切です。ここでは捌き方とその手順をご紹介します。
キスの捌き方をご紹介①背開き
干物用や天ぷら、フライを調理する時に行われる捌き方が「背開き」です。ポイントを踏まえながら、手順をみていきましょう。
キスの背開き:基本情報
まずはキスの背開きについて、簡単に説明します。後で動画も交えてご説明しますのでじっくりご覧ください。
小さなキスは背開きがおすすめ
背開きは頭を落とした後に、背中側の頭部の方から尾にかけて骨と身の間に包丁の先を入れていきます。この時、お腹の部分まで完全に切らないようにします。切り口を開けば干物用に、さらに骨を除けば天ぷらやフライにできます。背開きは小型から中型の20cm以下の大きさのキスに向いています。
背開きは簡単に行える方法
背開きは三枚おろしより工程が少なく、比較的簡単に行うことができる捌き方です。さらに身の部分の外側が薄くなりすぎないので、調理をしていても身が崩れにくいので扱いやすいです。
キスの背開き:手順
キスの背開きの手順とポイントを説明します。ここからは動画を交えながらご説明していきましょう。
①ウロコを取り内臓の処理をする
まずウロコをとっていきます。キスのウロコは目が細かいので小出刃の刃先を使って、ウロコの流れに逆らうように引き落とします。次にヒレを持ち上げ、斜めに頭を落とします。そして包丁で内臓を取り除いたら、ウロコや腹の中の血合いなどの汚れを水で洗います。この時、水気はしっかりと取っておりましょう。
②背中から包丁を入れる
背中側の頭部の切り口から背びれに沿って包丁で浅く切り込みを入れます。その切り込み部分から刃を滑らせるように背骨〜腹側へ切り込みます。この時、骨の方に身が残らないように、骨と身のちょうど間が綺麗に離れるように少しずつ刃の角度を変えながら切り開きます。開いた時に身の厚さが均等になっていないと、調理した時に熱の入り方にムラができてしまいます。
②の補足:おなかのほうも忘れずに切る
切り込みは背骨に止まらず、腹側まで深く包丁を入れます。しかし、腹部まで切ってしまうと2つに別れてしますので気をつけましょう。開いた時に身の厚さが均等になるように刃を入れることがポイントです。
③骨をとる
背骨がまな板側になるよにキスを裏に返して、同じように反対側も身から骨をそぎ落とします。また刃をまな板に軽く押し当てながら、滑らせていくと綺麗に切り離すことができます。何度も身を包丁の刃で傷つけると味が落ちるので気をつけましょう。
腹骨の処理の方法
頭部側の腹の部分にある腹骨も切って落としましょう。身に沿うようにして腹骨を落とします。揚げてしまえば腹骨も一緒に食べることはできますが、小さなお子さんや口当たりが気になる方は腹骨を除くことで、より美味しくいただけます。
キスの捌き方をご紹介②三枚おろし
次に三枚おろしの手順やポイントについてご紹介します。背開きに比べると、少し工程が多く難しいように感じるかもしれません。しかし、三枚おろしをマスターすれば新鮮なキスを味わうことができ、料理の幅も広がります。
キスの三枚おろし:基本情報
まずはキスの三枚おろしについて、簡単に説明します。どの魚をおろすときにも使える技術ですので覚えておいて損はないでしょう。
三枚おろしは刺身におすすめ
三枚おろしは基本の捌き方で、中骨を境にして身を右身と左身、中骨の3つに分けることから「三枚おろし」といいます。主にお刺身料理に向いています。さらに身の表面を炙ることで、淡白なキスの旨味を楽しむことができます。三枚おろしは身が充分にないと調理できないので、20cm以上の大きさのキスに向いています。
三枚おろしは覚えておくと便利
三枚おろしは基本の捌き方なので、お刺身料理に向いているのはもちろん、様々なお料理に活用できます。身と骨を完全に分けることで食べやすく、天ぷらや塩焼き、煮付けなど、どのような調理法方にも適しています。また残った骨の部分を素揚げすると、カルシウム豊富のお菓子として美味しくいただけます。
キスの三枚おろし:手順
キスの三枚おろしの手順とポイントを説明します。文字で読むと難しく感じるかもしれませんが実際の動画を見ながらコツをつかめば簡単にできます。
①ウロコを取り内臓の処理をする
背開きの手順と同様、まず最初にウロコを刃先で引き落とし、内臓を取り除きます。そのあと血合いやウロコを水で洗い流しましょう。布巾などで水気をしっかりととっておきます。
②切れ込みを入れる
背びれの方から背骨に沿って包丁で切り込みを入れていきます。腹側も同様に切り込みを入れましょう。この時、身に骨が残らないように、身と骨のちょうど間を切りましょう。また、一気に背骨と身を引き離さなように少しずつ丁寧に切り進めていくとよいです。
③骨に沿って包丁を進める
頭部側から尾びれに向かって包丁を寝かせるように入れていきます。この時、背骨に身が残らないように、背骨の真上を通るように包丁の刃を入れましょう。尾びれまで刃を入れることが難しい場合は背骨の中間まで刃を入れ、尾びれからも頭部側へと包丁を入れるとよいです。これで半身を切り離すことができます。
④骨をとる
背骨がまな板側になるよにキスを裏に返して、同じように反対側の身も切り落としていきます。この時、包丁の刃をまな板に対して平行に保つように気をつけましょう。また刃をまな板に軽く押し当てながら、滑らせていくと綺麗に切り離すことができます。何度も身を包丁の刃で傷つけると味が落ちてしまうので、なるべく切れ味のよい包丁を使うようにしましょう。
刺身にする場合
お刺身にする場合は、さらに半身から腹骨をそぎ落とします。加熱調理をするのであれば気にならない方もいると覆いますが、口当たりのよい刺身にするためには腹骨や小さな骨も取り除くと、より美味しくいただけます。小さな骨はピンセットを使うと、除きやすいです。キスの刺身について、もっと知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
キスの捌き方をご紹介③大名おろし・松葉おろし
ご紹介したキスの捌き方の中でも最も簡単な捌き方です。初心者の方は大名おろし・松葉おろしからマスターするといいでしょう。ここでは手順やポイントだけでなく、大名おろしと松葉おろしの違いや名前の由来などもご紹介します。