西鉄バスジャック事件【ネオ麦茶】 の全貌と犯人の現在に迫る

そもそも犯人はなぜこのような凶行に走ったのでしょうか?ここからは、どこにでもいる17歳の少年がなぜバスジャックに走ったのか、その動機と、そこに至るまでの人生の経緯を紐解いていきます。

いじめから引きこもりへ

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少年は中学時代いじめを受けながら、反動のように家族に暴力を振るっていました。勉強は得意で有名進学校に入学するものの、校風を理由にほんのひと月ほどで中退してしまいます。

少年の、人付き合いが不得意でストレスを溜めやすい人格が見て取れます。

家庭内暴力に走る日々

やがて自室でパソコンに没頭しはじめ、家庭内暴力は悪化の一途を辿ります。一家は少年の癇癪に困り果てていました。

ある時、少年が父親とドライブを楽しんでいる最中、母親は彼の部屋で立てこもりを予告する犯行声明文を発見します。

両親の裏切りがあり犯行を決意

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強い危険性を感じた両親は、手を尽くし少年を精神療養所に入院させます。

専門家に頼るのは至極妥当な対処ですが、少年にとっては裏切りでしかなく「絶対に許さない」と激しく怒りを露わにしました。この一件は彼を「犯人」たらしめる要因になります。

入院していたはずの少年が、なぜバスジャック犯に?

家庭では暴君であった少年ですが、施設内の評判は大変良好でした。おとなしくて知的でしっかり者、他の患者やスタッフにも礼儀正しく、健全な優等生ということで、危険性は低いと判断されたのでしょう。ほどなく外出が許可されます。

外出許可を経ての外泊許可、そして犯行へ。

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後に豊川市主婦殺人事件のニュースを聞いた少年は、同世代である犯人に強い親近感と憧れを抱きました。その歪んだ賛美を気取られぬまま、少年の問題は緩和されつつあるとして、ついに外泊が許可されます。

彼はかねての予告通り学校を襲撃するつもりでしたが、連休中であったため、標的はバスに変更されたというわけです。

西鉄バスジャック事件の犯人(ネオ麦茶)を駆り立てた事件

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少年は同世代の犯罪を賛辞する傾向がありました。当時、未成年の凶悪犯が続発したことから、彼らは「キレる17歳」と呼ばれるようになりました。次からは、犯人に影響を及ぼした「キレる17歳」事件をお伝えします。

豊川市主婦殺人事件の影響

平成12年、西鉄バスジャック事件の直前、愛知県で起こった17歳の高校生による主婦殺害事件です。同じ年の若者が起こしためった刺し殺人という凶行を、少年は「自分と同じだ」と歓喜し大いに絶賛しました。

神戸連続児童殺傷事件(酒鬼薔薇聖斗事件)の影響

平成9年に発生した、かの有名な神戸の凶悪殺傷事件です。少年はこの犯人にかなり入れ込み、模倣した名で各所に犯行予告を送るなど、崇拝に近い傾倒を見せています。少年がここから強烈な影響を受けたことは間違いありません。

同時期に発生した主な少年事件は6件

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平成12年は特に少年による凶悪犯罪事件が多く、豊川市主婦殺人事件と西鉄バスジャック事件、岡山金属バット母親殺害事件、山口母親殺害事件、大分一家6人殺傷事件、歌舞伎町ビデオ店爆破事件という異常な密度でした。

なお時々、次の事件も平成の未成年犯罪として挙げられることがありますが、発生時は昭和だったため分類が異なります。

こちらも少年が引き起こした悲惨で悲痛な事件のひとつです。

西鉄バスジャック事件の被害者と模倣犯の発生

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ここからは詳細な被害の全容と、事件を真似て行われた模倣犯罪について記します。精神的に未成熟な人間ほど自身と他人を同一視し、モラルを簡単に見失ってしまうという一例です。

日本のバスジャック初の死者

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他に発生したバスジャックと今回の件で明らかに違うのは、唯一人質が死亡したという点です。人質22名、うち3名が切り付けられるなどして、2名が重症。女性1名が失血性ショック死という惨劇を迎えました。

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