ロブスターには寿命がないって本当?
「不老不死」というもの、それは誰もが羨む能力ではないでしょうか。見出しの通り、彼らは寿命の概念のない生き物と言われています。そのような不可思議なことがあるのでしょうか。その謎に迫っていきましょう。
理論上は寿命が無い!
結論から言うと、あくまでも理論上の話なのです。不老不死と言われている理由にはどうやら彼ら甲殻類の特徴でもある脱皮が深く関わっているようです。それでは、「理論上は寿命がない」という謎を解き明かしていきましょう。
なぜロブスターには寿命がないのか!
正確に申し上げますと、寿命がないというよりは「老化を強力に防止する」働きが彼らには備わっているということなのです。不老不死でないとしても何とも羨ましい機能です。どのようなメカニズムなのか詳しく説明していきましょう。
脱皮で内臓ごと生まれ変わるから
彼らは甲殻類でありますので、脱皮を何度も繰り返すことによって成長していきます。驚くことになんと彼らは脱皮の際、身にまとった殻だけでなく内臓も同時に入れ替わるのです。この点が、ほかの甲殻類と違っています。
「テロメア」が老化を抑えるから
テロメアは生物の寿命を司ると言われています。細胞分裂の際、テロメアが短くなっていくことで老化現象は起こります。しかし、テロメラーゼという合成酵素が活発であるとテロメアを伸ばすことが可能となるのです。彼らは、このテロメラーゼという合成酵素の働きが生物の中でも活発なのです。
ロブスターとは?
彼らは不老不死(理論上です)の不可思議な生き物であることにここまで触れてきましたが、そもそも謎多き彼らは一体どんな生き物なのでしょうか。食べたことや見たことはあっても、あまり知られていないロブスターの生態などについて迫っていきたいと思います。
エビの一種
見た目の通り、ロブスターはエビの一種です。ザリガニ下目アカザエビ科ロブスター属の甲殻類です。体調は50センチほどで、前脚がとても大きいハサミになっているのが特徴的です。性格は見た目通り大変どう猛です。
主な生息地はアメリカ東海岸
主な生息地は、アメリカの東海岸です。その他にも、地中海や北欧のノルウェー、南アフリカなどにも生息しています。私たちがよく目するロブスターは赤い色をしているものが多いですが、体の色は生息地によって違い、青、灰色、クリーム色など様々です。
別名「オマール海老」
実は、ロブスターとオマール海老はなんと同じ生き物なのです。ロブスターは英語の「lobster」に由来し、フランス語では「homard(オマール)」と呼ばれているのです。レストランなどでしばしば「オマール海老」と書いてあるのを目にしますね。
寿命が無い不老不死のロブスターが死ぬとき【内的要因】
それでは、彼らの基本情報を理解したところで不老不死についての話に戻りましょう。老化を強力に防止できる彼らが死んでしまう原因にはどんなものがあるのでしょうか。まずは死の内的要因についてご紹介いたします。
脱皮不全
彼らの不老不死と言われるキーワード、それは脱皮です。もちろん、その脱皮に失敗してしまうと死んでしまいます。実際、彼らの最大の死因は命がけの脱皮によるものだそうです。先ほども記述したように、臓器も一緒に脱皮するので死んでしまうリスクが上がるのもうなずけます。
心臓と脳は脱皮できない
彼らは臓器ごと脱皮すると申しましたが、実際に脱皮するのは消化器官の外壁のみです。心臓や脳のような重要な器官は老いていますので機能不全や病気などで死んでしまいます。心臓や脳ともに脱皮することが出来るのであれば、本当の不老不死は可能なのでしょうね。
寿命が無い不老不死のロブスターが死ぬとき【外的要因】
彼らは寿命は長いですが、生活環境で長生きをすることは難しい生き物なのです。それはロブスターをエサとして捕食するものがたくさんいるからです。ここではロブスターの外的要因の死について紹介いたします。
敵からの捕食
彼らの天敵は、海水の生物の中ではまず一番にタコがあげられます。タコはその見た目と動きからのんびりした性格に見えますが実はとてもどう猛な肉食生物なのです。タコの鉱物は甲殻類で、しばしばロブスターも標的にされます。サメなどの大型魚も彼らを捕食します。
人間による漁獲
そして忘れてはいけないのが、我々人間も彼らにとって猛威なのです。現在世界中でロブスターは高級食材として食されています。そのため、たくさんのロブスターが我々人間によって漁獲されている現実があります。彼らにとって人間も天敵なのです。
ロブスターの他にも寿命のない生物がいる!
ロブスター以外にも不老不死と言われている生き物がいるのですがご存知でしょうか。そんな羨ましい力を持った生き物たちをここでは紹介していきます。彼らはどのような生態をしているのでしょうか。
クマムシ
皆さんはクマムシをご存知でしょうか?彼らは非常に小さな体をしています。彼らは代謝を止めて乾眠という状態に入ります。乾眠中は一切老化現象が起きないのです。乾眠中の彼らはとても頑丈で熱にも乾燥にも強く、自然界の中で彼らが死ぬということはほぼないのです。
ベニクラゲ
その名の通り、クラゲの仲間です。年齢を重ねたベニクラゲは、若返り始めるのです。彼らは老いてもまた子供に戻って成長を繰り返します。ロブスターのように脳や心臓が老いてきて死んでしまうという事はありません。体調が小さいので、捕食さえされなければ永遠に生きられるのです。
余談ではありますが、不老長寿・不老不死伝説として知られる八百比丘尼の伝説をご存知ですか?気になった方はこちらからどうぞ。
ロブスターと同じく伊勢海老にも寿命がない?
私たち日本人はロブスターよりも伊勢海老のほうがなにかと馴染み深いのではないでしょうか。ロブスター、伊勢海老、両者ともに高級食材であることには間違いありません。彼らもロブスターと同じように寿命がない生き物なのかその秘密に迫っていきます。
伊勢海老とは
伊勢海老はエビ目イセエビ下目イセエビ科に属しています。全身が赤色でトゲのついた殻に覆われています。長い触覚を持っているのが特徴的であり、伊勢海老の由来は伊勢が主産地ということからです。体長は平均で約30~40㎝です。
伊勢海老とロブスターの違い
ロブスターはとても弾力のあるプリっとした食感であります。伊勢海老はというとロブスターに比べると食感はソフトで柔らかめです。金額的な面からみると、伊勢海老はその人気や漁獲量から最近値段が高騰しておりロブスターの二倍以上の値が付いています。
伊勢海老の寿命は長くて30年
伊勢海老の寿命は10年以上といわれており、長いものでは25~30年生きるそうです。死因の多くはロブスターと同じと言っても過言ではありません。タコなどによる天敵による捕食や、脱皮の失敗、人間の漁獲によるものです。