刺されたら一巻の終わり?毒をもつイモガイの危険性に要注意!対処法も

ここまで、イモガイに対する脅威を述べてきましたが、そんなイモガイが一部では食用とされているのです。イモガイの毒は胃酸で分解されるので、口にしても問題はありません。ただし、煮た時に身が殻の中に入り込んでしまい、取り出すのが困難になってしまうので、あまり食用にされることはありませんが、一部では食用として出されています。

沖縄ではポピュラーな食材

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イモガイは食用としてはあまり知られていませんが、イモガイの生息地である沖縄では食用としてされており、郷土料理としてレストランなどで、食べることができます。味もなかなかに美味しいので、沖縄へ観光の際はぜひ一度食べてみてはいかがでしょうか。

バター焼き、蒸し貝などレシピ多数

イモガイの味はクセも特になく、コリコリとした触感もあり、意外と美味しく食べられるので、自宅などで食べている人もいます。漁師の間では塩ゆでにしてその場で食べられたり、他にもポン酢や味噌味で味をつけたり、バター焼きや酒蒸しなどにしても美味しくいただけます。

イモガイにも天敵はいる

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猛毒を操る危険な貝としてイモガイをこれまで紹介してきました。しかし、そんなイモガイも完全に無敵というわけではなく、最大の武器である毒銛が効かない天敵に対しては無力になってしまい逆に捕食されてしまいます。そんなイモガイに対する天敵と呼ばれる存在を紹介しましょう。

カニには毒針が刺さらない

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イモガイの天敵はカニなどの甲殻類です。甲殻類は硬い甲羅をもっているので、毒銛が全然刺さらないのです。なので、イモガイはなすすべもなく割とあっさり捕食されてしまうのです。他には同じイモガイでも、貝類を主食とするタガヤサンミナシガイなどの種類も天敵となります。

イモガイの毒に新たな鎮痛剤開発の期待

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近年、イモガイがもつ毒である、貝毒「コノトキシン」という神経毒を利用して、新たな鎮痛剤の開発に期待がもたれています。手術後の痛みを抑えたり、神経細胞の回復が速まる効果も確認されています。現在は臨床試験中ですが、アルツハイマー病やてんかん、パーキンソン病の治療にも使える可能性があるのです。

「コノトキシン」とは

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コノトキシンの主成分は多種類のペプチドで構成されています。細胞間や細胞内の情報伝達を担っているイオンチャンネルを塞ぎ、神経の伝達を防ぐことで麻痺などの症状を起こします。1個体のイモガイには、100~300種類のペプチドが含まれていると考えられており、現在研究されているのはそのごく一部に過ぎないのです。

ヤキイモの毒はモルヒネの1000倍!?

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ヤキイモのもつ毒に含まれているペプチドには、モルヒネの1000倍もの鎮痛作用が含まれています。この成分を利用して開発されたのが、ジコノタイドです。初めてイモガイの毒から由来して作られた鎮痛剤で、現在医薬品として承認されており、中毒性や副作用も少ないため、将来はモルヒネに代わる鎮痛剤として期待がもたれています。

イモガイに似た貝マガキガイ

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イモガイに似ている貝として、マガキガイがいます。どちらかといえばイモガイよりこのマガキガイの方が知名度があります。無毒で食用にもされており、アクアリウムの底砂や苔、バクテリアの掃除役として飼育している人も多いです。このマガキガイを採取するつもりが、イモガイを拾ってしまい、刺されてしまう事故も起きてしまっています。

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