「すいっちょん」という鳴き声をもつ虫ウマオイ!その正体は獰猛な肉食系

因みに「ハタケノウマオイ」のピッチの速い鳴き声については音量が少々小さいですがこちらの動画で聞く事が出来ますので、是非聞いてみて両種の鳴き方の違いを確認してみるのも良いかも知れません。

「すいっちょん」と間違いやすい虫

キリギリス科の昆虫と言えば代表格のキリギリスやクツワムシ、その他もササキリ、ツユムシなど基本的に草の色を保護色とする仲間なので、昆虫観察に慣れてない人が一見しただけだと「すいっちょん」との見分けは付かないかも知れませんが、それぞれ目印となる特徴がちゃんと有りますのでしっかり抑えて置きたい所です。

ガチャガチャと鳴くクツワムシ

「すいっちょん」と同様バッタ目キリギリス科の「クツワムシ」はメスだと10㎝近くなるかなりの大型の昆虫で褐色部分が大きく目立つのが特徴。個体によっては褐色部分が全身に渡る事も有りますし体高も高くズングリとしています。秋の風物詩としても知名度が有る虫ですが動画で判る通り鳴き声が全く違い「ガチャガチャ」とした声になります。

好む環境は「すいっちょん」と同じく林の下草ですが、その食性は非常に雑多で肉食だけではなくマメ科の植物なども好みます。その中でも特にくずの葉が大好物で飼育下では金魚や亀の餌などでも喜んで食べてくれたりします。

ジ、ジ、ジと鳴くツユムシ

同じくバッタ目キリギリス科ですがこのツユムシは雑食の「クツワムシ」とも肉食の「すいっちょん」とも違い完全な草食性の昆虫です。動画の通り鳴き方も非常に地味でこちらを見付ける方が却って難しいかも知れません。体長は「すいっちょん」に似ており29~38㎜前後ですが形は「すいっちょん」より更にバッタに近くなります。

また褐色部分が大きく違っており、「すいっちょん」は複眼まで褐色となっているのですが、「ツユムシ」の方は羽の付け根のみが褐色で頭まで色が届いていませんので覚えておくと見分けるのに役立ちます。

童謡「虫の声」にも登場する「すいっちょん」

今も親しまれ続ける童謡「虫の声」ですが、この歌に「すいっちょん」が登場するのをご存じでしょうか。この歌は1912(明治45)年に発行された唱歌集「尋常小学唱歌」第三学年用に掲載された文部省唱歌で、日本の秋の風情を感じられる歌でも有りますが虫の声と名前をセットで自然と覚えられるので教材としても秀逸な作品です。

童謡「虫の声」とはどんな歌?

松虫、鈴虫、コウロギ、クツワムシ、そして「すいっちょん」と秋の夜を賑やかす虫が揃って登場する素朴で素直な曲で子供も大人も親しめる「虫の声」は日本の秋の原風景が浮かんで来そうです。蛇足ですが、二番のトップバッター「コウロギ」は発表当時キリギリスだったのですが差し替えられてしまいました。

何故かそうなったかと言いますと、その昔の日本、つまり「枕草子」などの古典では「キリギリス」と「コウロギ」を取り違えていたと言う説を採用した為です。「きりきりきりきり、キリギリス」と踏んでいた韻が失われてしまったのは少し惜しい気がします。

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